トーニャ_

『アイ,トーニャ』あのとき、彼女はまだ23歳だった… 5/4(金)~公開

映画鑑賞メモ

原題:I, Tonya ★★★★★ こ・れ・が、面白かったんですね! 

フィギュアスケート史上最もスキャンダラスといわれた元・米オリンピック代表選手トーニャ・ハーディングを『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビーが熱演している『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

第90回アカデミー賞には主演女優賞(マーゴット)、助演女優賞(アリソン・ジャネイ)、編集賞の3部門にノミネートされ、TV界ではエミー賞を何度も獲得いしているアリソン・ジャネイが見事受賞しました。

平昌冬季五輪つながりで、アカデミー賞もあるちょうど2~3月ごろに公開となればよかったのかなと思いますが、

ゴールデンウィーク5月4日(金・祝)の公開です。

どうやら、アリソンが演じた“毒母”が高い評価を受けていることから、母の日に合わせた様子です


それはさておき、

本作からまず思うのは

あの事件、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」のとき、彼女はまだ23歳だったのかという事実、

史上2人目のトリプルアクセル成功者であったこと(初めて飛んだ伊藤みどりも偉大だ!)、

知られざる暴力にまみれた生い立ち、夫とのDV結婚生活…。

私たちはトーニャについて、あの事件について、いったい何を知っていたというのでしょう。


あらすじ

アメリカ北西部オレゴン州ポートランド。貧しい家庭で育ったトーニャ・ハーディングは、4歳にしてフィギュアスケートの才能を開花させ、やがてアメリカ人女性初のトリプルアクセルに成功、1992年のアルベールビル、94年のリレハンメルと2度のオリンピック代表選手となりました。

しかし、彼女のDV夫ジェフの友人の策略によりトーニャのライバルであるナンシー・ケリガンを襲撃したことで、彼女のスケート人生は一挙に転落。リレハンメルでは前代未聞の「靴紐トラブル」もあり、一度は世界中から愛されたはずが、トーニャはフィギュア界から永久追放されてしまうことに…。


マーゴット演じるトーニャ、セバスチャン・スタン(『キャプテン・アメリカ』シリーズ)演じる元夫ジェフ、アリソン・ジャネイ演じるトーニャの“鬼母”ラヴォナらの、どこか小憎らしい、人を小馬鹿にしたようなインタビューの再現から物語は始まるのですが、実は深い深い、奥深い。

フィギュアのみならず、オリンピック、スポーツの英才教育、貧困と暴力の連鎖、メディアや大衆の“倫理観”などについても、風穴あけております。


また、“毒母”というのは日本でもドラマなどで取り上げられてきましたが、ラヴォナの場合は、日常的な言葉での叱責はもちろん、身体的な暴力も多いこと。虐待です、あれ。

トーニャの子ども時代を演じたgifted/ギフテッドの天使マッケナ・グレイスも、とんでもないことになっておりました!

助演女優賞受賞のアリソンの、ベテランのなりきりぶりに震撼!


まったく、なんという親子、

なんという夫婦、

なんというオリンピック選手。

でも最後には、彼女のことが好きになっているから不思議です。


とあるシーンでは、こちらに向かって語りかけるトーニャ。

そのセリフを真摯に受けとめるのに、今はいい機会です。


スケートリンクでのダイナミックなカメラは臨場感たっぷり、隣で彼女を追いかけているような気分にもなります。

マーゴットはオスカー初ノミネートも納得の熱演でした。実際にスケートもかなり猛特訓したそうな。

そして自身で設立したラッキーチャップ・エンターテインメントが製作を手がけており、彼女自身が本作のプロデューサーでもあるのです。



また、ミュージック・スーパーバイザーとして海外ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」でもいい仕事をしたスーザン・ジェイコブズが参加。

実際にトーニャが演技で使ったZZトップの「スリーピング・バッグ」や、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol2 』を思い出す「ザ・チェイン」などなど、サントラも郷愁を誘います。


とても頭がキレるとは言い難かった襲撃事件の顚末や、キーパーソンとなるある人物にも苦笑しながらも、

いつの間にかペーソスの利いた物語になっている妙。

『スリー・ビリボード』とともに作品賞にノミネートされてもよかったのに…。実に今年らしい作品なのだと思います。



しかも!

こんな役をやってるセバスタが、同じゴールデンウイーク公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にもバッキー/ウィンターソルジャーとして出演! ファンには嬉しいですが、いいのでしょうか、こっちではあんなふうなのに!


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