「見せ算」考

昨年のM1グランプリでさや香が最終決戦で披露したネタ「見せ算」。

審査員からの票は1票も入らず、「なぜこれを最終決戦でやった!?」と良くも悪くも大きな反響がありました。

「見せ算」について、先日飲みの席で考察したので(笑)、その議論の成果をまとめたいと思います。


まず前提として、ネタから推測される見せ算のルールは以下の通りです。

見せ算のルール

見せ算とは

四則演算(足し算・引き算・かけ算・割り算)に告ぐ5つ目の演算。
「2つの数字を見せ合わせてどう思うか」を求める演算で、その演算結果を「眼(がん)」という。
(足し算→和、引き算→差、かけ算→積、割り算→商、見せ算→眼)

見せ算の演算規則(1桁の自然数どうしの場合)

2つの自然数n,mにおいて

①n=mの場合、n見せmの眼は0となる。
(例)1見せ1=0
∵自分と同じ格好の人が向こうからやってきたら「恥ず!」ってなってその場を立ち去り、何も残らなくなるから

②n>mの場合、n見せmおよびm見せnの眼はnとなる。
(例)1見せ2=2
∵自分より大きな人を見ると、「怖い」と感じて小さい方が逃げ出し、大きい方のみが残るから

※ネタ中は名言されていませんが、見せ算の特性を考えた場合、交換法則は成り立つと考えられます。

見せ算の応用例

①6見せ9=11
先ほどの演算規則②を参照すると眼は9になりそうですが、11になります。
これは、2つの数字を反転すると同じ形になるため、「あれは自分か!?」とビックリして近づいて凝視するから。
そのため2人の人が近づいて11の形。
「いやお前の指が1になってるだけやん!」というツッコミが入ります。

②2見せ5=1.1
こちらも演算規則②では5となりそうですが、1.1になります。
これは、2つの数字をデジタル表記した場合に同じ形になるため、遠目に見ると「あれは自分か!?」となるから。
ここまでだと6見せ9の場合と同じで11になりそうです。
しかし、近づいてよ~く見てみると、2と5は反転させても同じ形にはなりません。
そのため、「全然違うやん!」とビックリしてしまい、持っていたスマホを落とします。
そのスマホが小数点となり、1.1となります。

③1見せ100=83
演算規則②では100となりそうですが、83になります。
これは、1対100ではあまりにも数が違いすぎるため、1は100を見ると「もう逃げられへん」と開き直って、覚悟を決めて100の群れに突っ込みます。
そこで17人ぐらい倒して83人残るためです。
「いやそれはお前のさじ加減やろ!」とツッコミが入ります。


以上の演算規則をもとに、「12見せ15が何になるか」を真剣に議論しました。
2桁どうしの見せ算についてはネタ中に名言されていないんですよね。
まず見せ算をややこしくしているのが、演算規則①②のように「数字の大小」を元に判断しているパターンと、応用例①②のように、「数字の形」を元に判断しているパターンが混在している点です。
そのため、両方のパターンで場合分けして考察する必要があります。

数字の大小を元に判断する場合

演算規則②を参照すると、12は15を見て逃げていくので、15が残り、眼は15となりそうです。
応用例③のような、圧倒的な数の差は感じません。
ただ、12と15だとどちらも集団で大差ないので、12が15に恐怖心はそんなに感じないのではないか?と思いました。
そこで見せ合う両者が敵対している、という大前提を疑ってみることにしました。

例えば12と15の群れがいずれも陽キャだった場合。
大学のサークルの飲み会集団などを想像すると良いでしょう。
店の外で2組が会った場合、「あれ?同じ大学ですよね?サークルどこですか?良かったら一緒に飲みません?」ってなって2つの群れが合体するかもしれません。
そうすると12と15が一緒になるので眼は27となります。

一方で12と15の群れがいずれも陰キャだった場合。
陰キャは知らない人たちに話しかけるはずがありません。
見ず知らずの他人が道の向こうから来たって何か起こるわけないです。
お互い素通りです。
そしたらその場には一人も残りませんよね。ですからこの場合の眼は0です。

他にもそれぞれの集団の特性として様々な背景を考えてみました。
例えば15の側がマルチ勧誘の組織で、飲み会終わりの12を勧誘したとします。
すると12の側は誘われるがままに15の側と杯をともにします。
信頼関係を構築したところでLINEグループに招待され、だんだん込み入った話をされることになります。
共通のLINEグループに入るためこの段階では眼は27となりそうです。
しかし、時間経過とともに「これなんか怪しい勧誘じゃないかな…」と不信感をもって退会する人が出てきます。
よって、1週間後には26、2週間後には25といったように、眼が変化していくことになります。
つまり眼は一意に定まらず、時間tの関数になることがわかります。

数字の形を元に判断する場合

ネタの中では通常フォントでの数字の形とデジタル表記(7セグメント)での形が例に挙げられていましたが、他にも漢数字、ローマ数字など様々なパターンが考えられます。
また、「12」「15」と2桁の数字をまとめて1つの形として扱うか、「1」「2」「1」「5」と桁ごとに分けて考えるかによって眼が変わってきます。

①通常フォントの場合

「12」「15」とまとめて1つの形で扱う場合は、デジタル表記すると上下反転すると同じ形になります。
しかし近づくと全然違うことに気づいてビックリしてスマホを落とすため、12.15となりそうです。

また「1」「2」「1」「5」と分けて考える場合は、左右から近づいてくることを考えると最初に見せ合うことになるのは真ん中の「2」と「1」になりそうです。
すると演算規則②より1が立ち去るので2が残ります(ここでまた数字の大きさの話を持ち込んでいるのが論理破綻していますが笑)。
「1」「2」「5」になりましたね。
ここで問題になるのが、「1」と「2」を最初に見せ合うのか、それとも「2」と「5」を最初に見せ合うのかです。
例えば、割り算の場合、1÷2÷5は1÷2を計算し、その商を5で割ります。
ここの順番を入れ替えると商が変わります。入れ替える場合は( )が必要になります。
そのため見せ算でも左から順に計算するという原則を適用します。
1見せ2はやはり2なので「2」「5」が残ります。
最後に2見せ5を行いますが、これは応用例②より1.1となります。
よって、12見せ15の眼は1.1となります。

さらに別のパターンとして、筆算のようにして、「まず1の位どうしの見せ算をして、その後10の位どうしの見せ算をする」ということを考えてみます。
1の位どうしの見せ算を行うと、2見せ5で1.1となります。
10の位どうしの見せ算を行うと、1見せ1で0となります。
最後に各位どうしで見せ合います。
「0見せ1.1」ですが、片方が0なので実体がありません。
1.1側は何も思わず、その場を素通りするだけです。
そのため、0見せ1.1の眼は0となり、最終的に12見せ15の眼も0となります。

②デジタル表記の場合

応用例②の場合は近づいて見ることによって通常フォントでの違いに気が付くものでしたが、今回はそれとは異なり「デジタル表記の姿のまま」近づいていくことにします。
上下反転させると同じになるため、応用例①に則り近づいて凝視して1215となりそうです。
でもこれは一本道で近づいてお互いに正面から向き合う場合ですよね。
もし歩道側から12が近づき、車道側から15から近づいた場合、すれ違う過程で12と15が完全に重なる瞬間がありますね。
その瞬間を道路と垂直方向から眺めると、1と1が完全に重なります。
そしてデジタルの2と5が重なると…そう!8になりますね。
ということで12見せ15の眼は18です。

③「十二」見せ「十五」の場合

これも一文字ごとに分解して考え、まずは真ん中の「二」と「十」を見せ合います。
「二」と「十」が近づき重なり合うと…「王」という形になります。
「王」に左から「十」が近づく訳ですが、「十」は「王」という絶対権力者を見せられると、服従して頭を垂れます。
同様に、右側の「五」も「王」を見せられると頭を垂れます。
結果として「王」は「十」や「五」を家来として従え権力が肥大化し、「大王」となります。
よって、十二見せ十五の眼は大王です。

④「一二」見せ「一五」の場合

葉書とかで縦書きにする場合はこういう表記になりますよね。
まず真ん中の「二」と「一」が近づき重なり合うと…「三」になります。
すると「一三五」…そう、語呂合わせで「ヒミコ」ですね。
卑弥呼は邪馬台国を建国した後、亡くなり前方後円墳に埋葬されます。
そのため最終的に残るは前方後円墳です。
よって、一二見せ一五の眼は前方後円墳です。

⑤ローマ数字の場合

ローマ数字で表記するとXIIとXVとなります。
まず真ん中の「II」と「X」が近づいていくわけですが、Xの形状は2本の剣がクロスした、非常に鋭利な凶器です。
そのため、XがIIを突き刺し、IIは命を落とします。
すると「X」「X」「V」が残りますが、「X」と「X」どうしが戦ってもお互いに傷つき無益な殺生となるので、片方が立ち去ります。
残った方の「X」が「V」を突き刺して殺し、「X」が残ります。
よって、XII見せXVの眼はXです。


いかがでしょうか?
色々と矛盾点はありそうですが、まあネタなので(笑)
なんか書いてて途中で恥ずかしくなってきました(笑)

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