私の会社には、社員旅行がある。いかにもINTJが避けそうなイベントだが、私は毎年楽しみにしている。自分が旅行先を決めるなら、絶対選ばないところに連れて行ってくれるからだ。
会社全体のイベントとは言え、日程のほとんどは自由行動なので、行きたいところに勝手に一人で行ける。集団行動しなくて済むのだ。さらに、役職者がちょっとお高いレストランに連れて行ってくれるのも、密かな楽しみだ。集団行動しかない旅行だったら、私は毎年両親を危篤にしなければならない。

この旅行で度々揉めることがある。
一人行動できない人の対応だ。社内で社員旅行を嫌がる人は何が嫌なんだろうと不思議に思っていた。一人行動できない人が存在していることは知っていたが、一人行動できないの意味を舐めていたのだ。
私は、旅行先が決まった瞬間「〇〇に一人でいく」とさっさと宣言するので、一人行動できない人のターゲットからは真っ先に外れていた。集団行動が出来ないし、する気もない私のライフハックだ。ターゲットにされるのは、一人行動もできるし集団行動もできる人だった。

昨年、久しぶりに社員旅行が解禁になった。そして、揉めた。一人行動できない人の行動をよく観察して、見えてきたことがある。
正確かどうかはわからないが、一人行動できない人はJ型が多い。そして、ターゲットにされるのはP型が多い。J型はさっさと自分の行きたいところを見つけて計画を組んでいるからかもしれない。
一人行動できない人は、どこに行くか決めてないP型に「どこに行く？」「一緒に行く？」「お昼はどこで食べる？」「晩御飯も一緒に食べよ」と付き纏っていた。そして、昨年、毎年付き合っていたP型がとうとう「ここには一人で行きたい」と言った。

一人行動できない人の怒りは凄まじかった。
「じゃあ私はどうすればいいの？」「私が一人で行動できないの知ってて、みんなが意地悪する」と大荒れだった。ちなみに、その人はそこそこ中年の女性だ。若者ではない。結局、別の人が立てた計画に組み込まれる形で、一人は回避できたようだ。相部屋の人と片時も離れずにいる姿は少し滑稽に見えたが、彼らにとっては重大事項なのだろう。彼らは一人行動もできないが、人と違った行動もできないようで、旅行不参加の選択肢はないらしい。
私には一人行動できない人の気持ちは永遠にわからないだろう。

世の中では、協調性や社交性が低い人が問題になりやすいが、一人行動できない人も厄介だと思った。楽しいことはみんなでワイワイやりたいのではなく、一人では何もできないからだ。一人では食事ができないだけではなく、食べる店も自分では選べない。いつ飲み会から引き上げるのかも、いつお風呂に入るかも、人に合わせる。
幼子ならわかるが、いい大人になってそんな人がいるのかと本当に驚いた。その人のmbtiは知らないが、INTJではないことは確実だろう。

今までいの一番に一人行動を宣言していたし、他の人のことがどうしているのか全く気にしていなかった。よくよく観察してみると、色んな人がいて、色んな人間模様があるのがよく見えてくる。やっぱり人間はこうでなくては、と妖怪のようなことを考えしまう。
やはりINTJの私は、集団の中の一人として観察するより、集団の外から観察する方が見えることが多い。