魚返洋平(うがえりようへい)

コピーライター。広告会社に勤務しています。2019年に著書『男コピーライター、育休をと…

魚返洋平(うがえりようへい)

コピーライター。広告会社に勤務しています。2019年に著書『男コピーライター、育休をとる。』(大和書房)を刊行。妻(会社員)と、保育園児の娘と、東京暮らし。1981年生まれ。ビクターミュージックスクール作詞コース卒。

マガジン

  • 『男コピーライター、育休をとる』全話を原作者視点で語る

    2021年のWOWOWオリジナルドラマ『男コピーライター、育休をとる。』 各話について、原作者(原作は同名の書籍。2019年刊行)ならではの視点から書いています。

最近の記事

クリスマスソングのような何かを/10年越しの競馬広告

3年間の長距離レース 2011年から2013年にかけて、競馬の広告をつくっていた。 JRAを担当していたのだ。 JRAの広告には大きく2つのラインがあって、ひとつは競馬に馴染みのない人を競馬に誘う、いわば新規顧客向けのシリーズ。俳優・タレントが出演し、楽しく競馬をやる様子を描くものだ。もうひとつは、「G Iレース告知プロモーション」と呼ばれるシリーズで、これは具体的なレースの広告である。「G I」というのは、かんたんに言うと最も大きな(格の高い)レース群のことだ。 コピ

    • 平凡な僕たちの子育て/『男コピーライター、育休をとる。』最終話を語る

      僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

      • “アフター育休”どうする問題/『男コピーライター、育休をとる。』第11話を語る

        僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

        • そこに、育休は2つあった/『男コピーライター、育休をとる。』第10話(保活回)を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

        クリスマスソングのような何かを/10年越しの競馬広告

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        • 『男コピーライター、育休をとる』全話を原作者視点で語る
          10本

        記事

          ついに「保活」がドラマになった!/『男コピーライター、育休をとる。』第9話(保活回)を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

          ついに「保活」がドラマになった!/『男コピーライター、育休をとる。』第9話(保活回)を語る

          “パパ友”より“町友”か/『男コピーライター、育休をとる。』第7話・第8話を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

          “パパ友”より“町友”か/『男コピーライター、育休をとる。』第7話・第8話を語る

          オムツ交換台が男子トイレにないなんて/『男コピーライター、育休をとる。』第5話・第6話を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

          オムツ交換台が男子トイレにないなんて/『男コピーライター、育休をとる。』第5話・第6話を語る

          育児は、“全編ワンカット”だ/『男コピーライター、育休をとる。』第3話・第4話を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

          育児は、“全編ワンカット”だ/『男コピーライター、育休をとる。』第3話・第4話を語る

          育休マイスターは実在する! /『男コピーライター、育休をとる。』第2話を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

          育休マイスターは実在する! /『男コピーライター、育休をとる。』第2話を語る

          一生でいちばん優しくなれる一年が /『男コピーライター、育休をとる。』第1話を語る

          僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がWOWOWでドラマ化され、7月9日から放送・配信がスタートした。 主人公・魚返「洋介」を瀬戸康史さん、妻の「愛子」を瀧内公美さんが演じている。 ノンフィクションエッセイである原作にドラマならではの脚色や創作が加わり、もうひとつの魚返家の話が誕生した。まるで平行世界に転生した自分たちを見るような不思議な感覚だ。 このnoteでは、「原作者 兼 視聴者」の視点で、ドラマの各話に沿って原作(実話)との比較を楽しみつつ、ちょっ

          一生でいちばん優しくなれる一年が /『男コピーライター、育休をとる。』第1話を語る

          男コピーライター、『男コピーライター、育休をとる。』を観る。

          およそ2年ぶりにnoteを書きます。 僕(魚返洋平)の著書『男コピーライター、育休をとる。』がドラマ化され、7月9日からWOWOWで放送・配信がスタートしました。 「魚返夫妻」を演じるのは、瀬戸康史さんと瀧内公美さん。 原作はエッセイでノンフィクションだけれど、これをドラマ化するにあたってはいろいろと脚色や創作が施されている。 そんなこともあって、ドラマの主人公はコピーライター魚返洋「介」。原作者である僕とは一字違いで、年齢もすこし若い。勤めている広告会社も架空のものだ

          男コピーライター、『男コピーライター、育休をとる。』を観る。

          その子守唄はやめておけ

           去年のちょうどいまごろ書いた文章が、ハードディスクから発見された。書いたきりどこにもアップしていなかったので、この機会に載せておこう。  1年前、わが娘コケコは1歳5カ月だった。幼児と暮らしていると、たった1年でも「懐かしい」というには充分な時間である。ああ、こんな時期もたしかにあったなと思う。以下がその文章だ。 * * * 子守唄をなにか なにか1曲でいいから、決定的な子守唄が欲しいと思っていた。  昼食を食べさせたあとのひととき。あるいは夜、妻が風呂に入っているあい

          その子守唄はやめておけ

          “原感触” の夏

          自転車時代 原風景ならぬ、“原感触” の話をしようと思う。  “原感触” というのはこの夏、僕が勝手に考えた言葉で、そこそこ気に入っている。そして今回、記事タイトルとサムネイル画像との相乗効果で『奇跡の人』とかのあの "…WATER!" を連想する人もいるかもしれない(いるか?)けれども、あれとはなんら関係ありません。すみません。  それは、「電動アシスト付き自転車」によってもたらされたものだった。 前回の記事で書いたように、毎夕、保育園からの帰りにわが娘コケコを

          言葉は実際、風に乗る

          隣町の隣町の隣町まで あなたは、走行中のクルマの窓からゲロを吐いたことがあるだろうか? 僕は一度だけある。乗り物酔いしやすい体質だった小学生のころ、父の運転するクルマの後部座席から外に吐いた。エチケット袋が欲しい、と親に訴える暇もないほどクイックにそれはこみ上げてきたのだ。  「もんじゃ焼き」状になったブツはクルマの後方へと吹っ飛んでいったが、その行き先を見たくなくて、目を背けてしまった。ごめんなさい。こんな汚い書き出しで、ごめんなさい。乗り物って向かい風を呼ぶよね、という話

          抱きしめるとき、後ろの景色しか見えなくても

          投稿ボタンが錆びつく前に 後輩のコピーライターが悩んでいた。  仕事のなかで感じたことをwebにばんばん書いていきたい。のだけど、ちゃんと「言い当てる」ことが出来ているか気になって、ああでもないこうでもないと推敲を重ねるうちに、月日が流れ、おばあさんになり、かぐや姫は月に帰り、在りし日の記憶は消え、投稿ボタンは押されないまま錆びていって、途方に暮れてしまうんですよ。というのだ。  わかる!ものすごくわかる。そんな後輩に向けてビールをおごるつもりで、これを書く。  今年のはじ

          抱きしめるとき、後ろの景色しか見えなくても

          「忙しい?」ってエレベーターでみんな聞くけど

          手持ち無沙汰の人々 ここは会社のエレベーター。たまたま乗り合わせたのが、久しぶりに会う上司や先輩や同期だとする。すると互いに軽い会釈を交わしたあとで、だいたい「忙しい?」と聞かれる。10人に7人ぐらいは、そう聞いてくる。英語の“How are you?”ぐらいのニュアンスで。  ああそうか、エレベーターで重い話・長い話・濃い話なんてできないし(この場所で仕事の話はNGなんで!という主旨のコンプライアンス啓蒙ステッカーまで貼られている)、かといって階数表示のランプをずっと見てい

          「忙しい?」ってエレベーターでみんな聞くけど