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アート、芸術と美術とは何か?

これを読んでいただく方には一言断わりをいれておきます。反論や異なる意見はありがたいが、脅迫は困ります。

さて、何故このテーマに興味を持ったかと言うと、一つは自分がアートに関わる仕事をするようになったということ。もう一つは「表現の不自由展」の中止問題があったから。

従軍慰安婦問題を政治的にどう解決すべきかはわからない。歴史認識についてどちらが正しいかという議論にも興味はない。しかし「平和の少女像は芸術ではない」という書き込みが多く見られ、それに関しては多少の違和感を覚えた。

辞書を引くと、美術は「絵画や彫刻」を指す言葉で、芸術は「文芸・絵画・彫刻・音楽・演劇のあらゆる創作・表現活動」を指す言葉とあります。つまり、美術は芸術の一部と捉えていいのかも知れません。(正確にはわかりませんが、そう理解しました)

でも、英語だと、芸術も美術も両方ともArt と訳されます。

美術の語源とされるドイツ語のクンストゲヴェルベ (Kunstgewerbe) という言葉を分解するとクンスト(Kunst)はアート、ゲヴェルベ(gewerbe)は稼業を意味します。英語ではIndustrial Art。

一方、芸術の語源は英語のArt(アート)で、明治の開国期に誕生したとされています。アートの語源はラテン語Ars(アルス)で、アルスの語源はギリシア語のTechne(テクネ―)のようです。テクネ―は自然に対置される人間の技術を意味し、容易に想像できるかも知れないが、英語のTechnique(テクニック)の語源でもあります。

調べれば調べるほどわからなくなり、新たな疑問も湧いてきました。

美術の語源となったクンストゲヴェルベにもアートにも「美」を表す文字は何処にも見当たらない。そもそも、美醜というのは「主観」でしかなく、普遍性のあるものではないのになぜ「美」という言葉をあてたかという疑問です。

感覚的には英語のArtは、人の情熱、思考や感覚を表現したもので、鑑賞者の受け取り方は関係ないと捉えています。美術に「美」とい意味があるとすると、Artの定義とはかなり異なっているような気がします。

平和の少女像を見て、
「これは政治的な意図があるもので、アートじゃない」という意見に対し、
「いやいやアートは政治的意図や醜美に影響されないはず。」と内心反論していました。

例えば、全部は見ていないが、GHQの検閲により上映できなくなったと言われている関川秀雄監督による日本映画「ひろしま」。
例えば、漫画「はだしのゲン」はどうなのか?
醜くくて、悲しくて、美しくなく、政治的意図があったとしても、両方ともArtと言っていいと思います。

もし、アート=芸術だとすると、芸術といっていいような気もします。

戦争は、自分が生まれる前の出来事です。しかし、アートによってそこから学ぶことができます。「美しい醜い」、「快、不快」に関わらずです。

そこにアートの本質があると自分は考えています。

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