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骨盤帯~臨床応用~

理学療法士として臨床経験を積み、現在は自費診療で「姿勢を歩き方の改善から症状の改善を図る」ための予防医療を展開しています。

これは私がセミナーで行った資料を説明文と共に載せております。
これがおススメな方は下記の様なセラピストです。

解剖学、運動学、生理学、力学…いろいろ学んできたけれど
・改めて骨盤帯を学び直したい方
・普段何気なく行っているけど、もっとアプローチの精度を高めたい方
・論理的に骨盤帯のアプローチを行いたい方
・自費診療でも通用するレベルの内容を知りたい方
・運動器に苦手意識を持っている方
・臨床でどういった知識が必要なのかもっと知りたい方
・臨床で知識をどう活用したら良いのかもっと知りたい方

…などです

骨盤帯に焦点を当てていますが、ヒトを診る事は一緒なので応用が効くようになります。そんな骨盤帯~臨床応用~の目次をご覧ください。

1.基礎知識
 ①レントゲンでの評価
 ②触診や評価による疼痛部位特定の基礎知識
 ③骨盤帯の運動学(股関節の動きを含む)
 ④骨盤帯の疼痛症状
 ⑤痛みの基礎知識

2.評価方法
 ①問診のポイント
 ②評価のポイント
 ③姿勢や動作のポイント
 ④統合と解釈

3.運動療法(仙腸関節を例に)
 ①呼吸運動
 ②可動域向上運動
 ③筋機能向上運動
 ④有酸素運動

4.自主トレ
 ①組織学的自主トレ
 ②力学的自主トレ

目次を見てもわかるように骨盤帯を学ぶだけでこんなにも視点が広がります。ここまでご覧になっているのであれば、あなたは一生懸命勉強をしていると思います。そして、臨床に真面目に向き合いたいと思っているはずです。そのために努力を惜しまず情報を収集していませんか(私はそうでした)。

たしかに努力はものすごく大切です。
でももっと大切な事は臨床を楽しむことです。
楽しむには臨床に即した知識や技術を知る事が近道です。
その臨床を楽しむために必要な知識をさっそくお伝えします。

骨盤帯セミナーでは、仙腸関節痛を例に実技を行いましたが、骨盤帯に存在する組織の触診にも時間をかけました。

理由は簡単で、
触診できる
=評価力が高まる
=臨床の土台が形成できる
が成り立つからです。

さて、臨床だけに留まりませんが、学ぶ上で最も重要な事は何でしょうか。

私は抽象度を上げる事だと思っています。


抽象度とは情報量の大小の度合いを意味し、抽象度を上げるとは得られた情報を高い視点で考える事になります。

具体的な例を挙げると、ストレッチや関節可動域練習などは組織の柔軟性を高めるという目的があります。これを高い視点で考えると、組織の柔軟性が高まるから、動きの範囲が広がり体の負担が減ります。この動きとは各関節の運動が集合したものであり、円運動(回転運動)と並進運動により成り立ちます。そして、円運動と並進運動は物理学的法則に従い、古典物理、相対論、量子論の立場で動きを考察することができます。

このように柔軟性を高めるストレッチを行っていたとしても、抽象度を上げて考えると動きの法則を考察したアプローチが可能となり、どの部位にどの方向でストレッチをするかで動きが変化することが想像できるようになり、臨床に幅が生まれてきます。

このように、抽象度を上げるように意識しながら骨盤帯のセミナー資料を読み進めて行ってください(*^-^*)

1.基礎知識

①レントゲンで考える事

骨形態から機能を予測する上で臨床上大切な事をお伝えします。

まず、骨盤腔の面積をパッと見ます。
左の写真のように骨盤腔の面積が大きい場合、骨盤は前傾であると考え、股関節軽度屈曲位をイメージします。
右の写真のように骨盤腔の面積が小さい場合、骨盤は後傾であると考え、股関節軽度伸展位をイメージします。

面白いのですが骨盤が前傾しているから腰椎は前弯、後傾しているから腰椎は後弯かと言えば「そうとも言えない症例」に多々出くわします。

これは体幹の質量中心の位置関係によって変化するからです。

スエーバックのように胸椎が後弯し体幹の質量中心が後方に位置すると、骨盤が前方に位置し、骨盤は後傾しても下位腰椎は過前弯となります。

このように骨形態から機能を予測しても、大切な事は実際の症例はどうなっているかを確認することが大切なのです。


実際のレントゲンをみてみましょう。

骨盤腔

レントゲン画像の骨盤腔の面積は広いので、前傾と考えます。
このため股関節軽度屈曲位の姿勢を呈している可能性があります。これを踏まえて、股関節伸展が必要な歩行の立脚終期はどう動くのかな…などを考えておきます。
ちなみにこれほど骨盤が前傾しても本症例は腰椎がほぼフラットでした。


腸骨稜

次に、腸骨稜の高さを比較してみます。
明らかな左右差があれば見かけ上の脚長差を考慮します。
骨盤が挙上している側の踵接地の遅れが生じて、立脚期に何かしらのストレスを生んでいるかもな…と考えたり、体幹の前額面の骨形態はどうなっているかな…と考えたりします。


脚長差

そして、股関節疾患の場合であれば左右坐骨結節(私は左右涙痕線をいつも見ています)のラインから左右小転子の高さを比較して、より詳細に脚長差を考察します。

ここで強くお伝えしたいことはレントゲンでいくら脚長差を正確に計測(例えば7㎜と計測)できても、その高さ分インソールで補正してはいけません

面白いのですが0.5㎜や1.5㎜で十分という症例も実在します。
あくまで参考に留め、実際には目の前の人がどう動くかが大切です。


恥骨結合

最後に、私は恥骨結合の左右差を比較しておきます。
恥骨結合部のわずかなズレは股関節の可動域と相関しやすいように感じています。
特に開排制限として現れ、恥骨結合のズレを補整するように筋収縮させると開排制限が改善する症例を多く経験しております。
(実技で実際に方法を提示)


1枚のレントゲンからこういった事を予測し、実際の症例の動きや主訴をしっかり把握することがとても大切です。
参考になりましたでしょうか(*^-^*)


②触診と評価の基礎知識

問診と評価で目的が明確になりますが、このとき触診できる力が最も大切だとかんじています。臨床において目的がしっかりすれば対応方法はいくらでも考える事ができます。そのための基礎知識を説明します。

腹筋群

まず、腸骨稜の前面には腹筋群が存在しています。腸骨稜の骨模型を持っている人は是非確認してみてください。
写真のように腸骨稜には外唇・中間線・内唇の線が確認でき、ここに腹筋群が付着しています。

臨床では腹横筋が重要視されています。この腹横筋は、内腹斜筋が収縮する前に腹横筋を収縮させられるかが重要と言われています。でもこれをどう確認すれば良いのでしょうか。それは解剖を知っていれば簡単に分かります。


腹筋群は4つに分類され図の矢印のように走行をしております。この腹筋群の関係をよくご覧ください(体表解剖研究会資料より改編)。

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