やがて哀しきおばちゃんブティック
おばちゃんがやってる、おばちゃんブティック
おじさんがやってる、おじさん向け紳士服店
平成一桁の時代まではこういったお店がたくさんあった。
新規のお客さんは増えそうに無く
増やすつもりもなさそう。
常連さんだけを相手に商売をして
オーナーも、お客さんも、
品ぞろえやお店自体までもがいっしょに歳をとっていくお店。
1993年、16歳で洋服屋を開業したばかりのわたしは
こういうお店もきっとオープンしたばかりの頃はオーナーさんも若く、品ぞろえもお客さんも若かったんだろうな…とキラキラしていたであろう過去を想像して
なんだか悲しい気持ちになった。
そしてわたしは16歳にして
自分自身といっしょにお店が歳をとるような経営は絶対に避けようと心に決めた。
「自分が着たいものをつくる」
20年前くらいからよく耳にするようになり、
今だにアパレル界隈でよく聞く言葉。
こういう言葉を耳にすると、それはつまり
おばちゃんブティックの考え方なんじゃないかな…
って、悲しい気持ちになる。
「大人の女性のための…」
というようなワードも同様に、悲しい。
昭和〜平成一桁時代までによく見かけた
「ミセスのための…」
というような同義語を思い出す。
年齢に見合ったファッションというのも大切だと思う。
でも
自分がお客だったら何歳になってもおばちゃんブティックでは買い物したくない。
わたしの店のお客様のボリュームゾーンは20代だけど
「大人の女性」世代のお客様もたくさんいる。
商品は
「自分が着たい」ものではなく
「お店に置きたい」という気持ちを大切に仕入れをしてきた。
こんなお店でありたい、という理想は開業したときからずっと、若い世代が気軽に買えるプライスですこし特別なものが手に入る店。
開業した16歳のときはほとんどのお客様は年上で、それから25年経った今はほとんど年下になった。
自分とお客様が同世代であったときはほんのわずかしかない。
個人の小さな店は店主の年齢でお店の様子が変わるのはある程度しかたないかもしれないが、
わたしはいつまでも若い世代によろこんでもらえる服屋でありたい。
16歳の時に感じたこと、
開業した時に心に決めたことを忘れないように。
これからも。
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