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テナント物件はじめての不動産契約は“ここも”見て!

はじめて自分のお店を持つという方は、店舗の賃貸借契約もはじめてかと思います。
わたしは1993年に開業以来、これまでに不動産賃貸借契約を20件以上、不動産売買契約を3件経験しています。

その実体験から、初心者が見落としがちな点や、実はしっかり確認が必要な点。場合によっては交渉してみた方が良い点について、
初心者向けに専門用語は最低限にして、今回は2点わかりやすくお話しします。

※首都圏・物販店舗のお話しになります。地域や業種によって差がある場合もございます。

わたしの仕事歴はこちら


  ・解約予告・

はじめての契約で解約予告に注目する方は少ないと思います。どれくらいが普通なのかもわからないでしょう。
不動産屋さんからもさらっと説明されて終わりです。

解約しないでずーっと続けていれば問題ないのですが、いろんな事情で解約する日が来るかもしれません。
退去時にあわてないよう
申し込み前にかならずチェックが必要です。

解約予告というのは、
△ヶ月前までに書面にて通知することによって契約を解除することができる。
といった感じの条項で、つまり、退去するときは△ヶ月前に言ってねってことなのですが、
この期間が
マンションやアパートなど住居用賃貸の場合1〜3ヶ月がほとんどなのに対し
テナント用の事業用賃貸の場合2ヶ月〜1年と長くなります。

これは解約予告期間中に次の借り手を募集するため、つまり貸主が空室のリスクを減らすための条項です。

借主にとってはこの期間は短いほうが良いです。

わたしの実体験では2〜3ヶ月の場合と6ヶ月の場合が同じくらいの数で、それ以上はごく稀です。

たとえば移転したくなった場合、
移転先の物件探しと現物件の解約の手続きを同時に進めます。
もし次の物件が早めに見つかり、契約すればすぐに家賃が発生しますので、現物件と移転先の両方の家賃を払うことになります。
この期間が長くなるとけっこうしんどいです。

現物件の解約・引き渡しが済んでから移転先を探すという方法をとったこともありますが、
タイミングが悪く移転先がなかなか見つからない場合は焦ります。

事業がうまくいかないで撤退する場合はもっとたいへん。
わたしにも経験がありますが、せっかくはじめたお店なのでギリまでがんばっちゃうと思います。
がんばったけどもうダメだ…ってなって、そこではじめて不動産会社に解約予告をだして、6ヶ月前予告の解約だった場合…
不採算の店舗に6ヶ月の家賃を払い続けるのは本当につらいです。


※実際の契約書の画像を有料部分に貼りました


   ・保証金・

保証金はマンションやアパートなどの住居用賃貸における敷金とほぼ同じと考えて問題ない、というような説明も目にします。
内容は同じようなものでも、実はその扱いに若干の違いがありますので注意が必要です。

住居用の敷金は家賃の1ヶ月分か2ヶ月分が相場ですが、
テナントの保証金の場合、わたしの実体験では家賃の2ヶ月〜12ヶ月分と幅がありました。

物販店舗の保証金の相場ですが
(ここ10年間のわたしの体感による)

・繁華街(お酒を提供する飲食店等が多いエリア)がいちばん高額(8ヶ月以上)
・次に商業地域の主要道路沿い一等地(6〜10ヶ月)
・ついで人気エリアのまあまあの立地(4〜8ヶ月)
・低額なのは立地が悪い小規模物件(2〜5ヶ月もしくは敷金扱いの場合も)

私の過去の経験上ではこれくらいが目安で、これ以上の場合やこのカッコ内の上限値でしたら、わたしの場合は交渉を入れます。

こちらも、大きな建物を一棟まるごと運営している専業大家さんのテナントビルなどは高額で、小規模で大家さんが不動産賃貸を専業にしていない物件は低額な場合が多いです。
この点も考慮して、その保証金が妥当であるか、交渉の余地がありそうか、判断をします。

保証金は預けるもので退去時に返ってくるんだから、ちょっと多くてもいいじゃんべつに。

と思っていると大間違い。

保証金の金額によって後々の出費に違いがでる場合があります。
基本的には保証金は少ない方が得です。

住居用賃貸の敷金は退去時にルームクリーニング等の実費を引かれて、残れば返却されるというイメージですが、
テナントの保証金の場合は償却というのが付き物で、これも物件ごとに差があります。

償却というのは無条件で差し引かれて戻ってこないお金ですので、契約前の申し込みの時点でしっかり確認が必要です。

ほとんど場合ついてくるのが、退去時の償却。

たとえば、
保証金3ヶ月(退去時に1ヶ月分償却)
といった場合、これを保証金2ヶ月に交渉できればイニシャルコストは減りますが、退去まで含めた総額の支出には差はありません。メリットが少ない上に、貸主の機嫌を損ねて破断になる可能性もありますので交渉しない方が無難でしょう。
もし予算オーバーであればこの場合は家賃を交渉したほうがよいですね。

保証金6ヶ月(退去時に20%償却)
このように償却がパーセンテージで表示される場合も多くあります。
この場合、保証金の金額によって償却される金額がかわりますので、できれば交渉したいところです。

たとえば家賃20万円で上記の条件の場合、
保証金が120万円、退去時の償却が24万円。

これを保証金5ヶ月に交渉できれば
保証金が100万円、退去時の償却が20万円になり、
入居時のイニシャルコストも、最終的な実質の支出も減らすことができます。

さらにもっとキツい償却もあります。

保証金△ヶ月(1年に5%償却、退去時20%償却)
とか

保証金◎ヶ月(更新時に10%償却、退去時20%償却)

こういった契約期間中に償却されていくタイプ。

これはヤバイです。
契約期間が長くなるとかなりの金額が償却されますので要注意です。

この場合の、年5%とか更新時10%というのは、
契約期間中に預けた保証金が目減りしていって最終的にゼロになるというものではなく
1年経って5%償却されたらその時点で償却分を補填するというものです。

家賃以外の高額の出費が契約期間中に発生しますので、
例えばすこし家賃が高い他の物件と比較検討する場合は、判断材料としてしっかり計算に入れる必要があります。

〜☆

ここから下の有料部分には
私が過去に契約したテナント物件の契約書の一部の
写真付きで解説しています。

契約書の写真をむやみに晒すのはどうかと思って
有料にしました。

無料部分のみで十分な内容だと思いますが
ご興味ある方はゼヒ。



・写真付きで解説(有料)

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