数年ぶりに書店で本を買う|鵼の碑 

17年、経ちました、待ちました。 
万感の思いを込めて隙あらば自分語り、始まります。

先月『「鵼の碑」が9月14日に発売されます』という告知があった。かれこれ10年以上「いつ出るのか」「どうなってるんだ」「発売されないんじゃないか(泣)」と、ファンの間で年に1回話題になる伝説小説である。ワ〇ピース、ハ〇ターハ●ターが完結するまではしねないよ、という人の気持ちが分かる。私は百鬼夜行シリーズが完結するまではしねないな。

待った甲斐があった。ついに「鵼の碑」を読むことが出来そうだ。これは夢か?疑いながらも、Xを見たりして、書籍が出来上がってるのを見て、Amazonで予約が開始され「これは現実だあ~~」と思い始めた。いよいよだ。電子書籍で読むか、ハードカバーか、ノベルス版で読むか3択に悩み始めた。(いつものようになんでもいいことで悩んでいる)

かつて私は本や漫画が一人暮らしの家には多すぎるので全て実家に置いていた。ところが数年前の台風被害によって実家の屋根が吹き飛び、大雨が建物内に降り注ぎ、私の書物たちは全てダメになってしまった。このことがあってから、「紙」で書籍を買うことをやめた。鉄筋コンクリート造に住んでいようが天災は忘れた頃にやって来るのだし、また失うのはいやだなあと思った。
しかし今回はワケが違う。百鬼夜行シリーズだから。きっと電子書籍で読んだら、読破する頃には目の形が3になっちゃう。ただでさえ視力が少ないのに。でも、通勤時間でも手軽に読みたいなあ~~、全種類買っちゃうかな~~どうしよ~~、どグダグダしていた。

「どうしよっかな~」と解決する気もなく来てしまった9月14日。仕事の昼休みに本屋に走った。販売品を見てときめいたら現品を買おうということだけ決めていた。良かった、ちゃんと実在していた。ときめく前に「買わなきゃ!」と迷わずノベルス版を買った。店員さんがカバーかけるのを手間取っていて、わかる、そんな分厚い本にカバーしないよね、と声をかけたかった。店員さんから受け取って「やったー!!手に入ったぞ!読めるぞー!」と駆け出したい気持ちになる本はいつぶりだろう。紙の本だからこその感情、久しぶりだ。

帰宅して超高速で家事を終わらせ、筋トレをし、茶を入れ、姿勢と呼吸を整える。あとは就寝までの2時間、ゆったりと浸るだけだ。
ところが読み始めてみたら、読めることが嬉しすぎて、3ページ読んでは表紙を眺めたり、本をさすったりして読み進められない。ついでにいうと厚い本を読み慣れていなくて読みやすい姿勢がわからない。
邪魅から17年経つのに、登場人物たちの生活がそのまま続いているように読むことが出来るのは本当に素晴らしいこと。
至福の時間をありがとうございます。

当面の間の楽しみが出来た。
「やった!」を積み重ねてささやかな生活は続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?