「・・・このごろ人工頭脳というは、何でも出来るっていう事をみんな言うでしょう。学者だってそんなことを言ってるやつがある。そんな馬鹿なこと。ポーに聞いてごらんなさい。人工頭脳というのは、メカニズムですよ。ね。計算はするけれども、判断はしないね。だから計算というのは非常に速くできるってことだよ。数を計算するの、これが考えられないほど速くできるってこと、これが人工頭脳でしょう。だけどこっちにするか、あっちにするかということは全然範疇の違ったことじゃないか。これは判断でしょう。判断というのは、だから機械的にできないよ。メカニカルにはできないよ。」　
小林秀雄　雑誌「宝石」での江戸川乱歩との対談にて（1964年）