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5頭身のチェロ弾き〜小柄でもチェロは弾けるのか〜

小柄な方。これから楽器を始めよう!というとき、大きい楽器を選んでも大丈夫なのか?という不安があるのではないだろうか。
私の体験談をもとに、小柄で困ったこと・良かったこと・ちょっとした工夫などを紹介していく。

これを書いているのはチェロ暦10年、身長148㎝の女子。
手のサイズは、ピアノのオクターブがギリギリ届くか届かないか。
このスペックでもチェロを弾くのに問題はないか?
結論として、ハンディはある。
あるけれど、やってやれないことはない……といったところである。

手の大きさ・指や腕の長さ・体の大きさ・足の長さ(!)があるに越したことはない。
手が小さいと、弦を押さえるときに指がつる。
ボウイング(弓を動かす)でも、腕の長さが足りず重さが乗せきれない。
足が短いと、チェロを支えるためにつま先立ち状態。
楽器に足が生えて歩いている、くらいのサイズ感。持ち運ぶだけでわりと重労働、腰にくる。
練習場に着くまでに体力の限界を迎えることも……(あとはガッツで演奏するしかない)

チェロには分数楽器という、7/8サイズの小さめなものもある。小柄な人にはこちらの方が圧倒的にフィットする。
しかしチェロ本来の音色を求めると、やはりフルサイズに軍配が上がるのだ。

では、そんなハンディを感じながらもチェロを選択する価値はあるのだろうか。
個人的にはある、と答えたい。それを補って余りある喜びがあると感じるからだ。
逆にいえば、特にこだわりがないのなら小さい楽器を選択した方がいいかもしれない。

私の場合、身体が小さいことはコンプレックスにもつながっていた。
良くいえば威圧感がない、悪くいえば舐められやすい。(と感じてしまう)
大きいものへの憧れがあった。チェロを弾くことは自信につながった。
この太く厚い音が自分自身になったような気がしたのだ。
飲み会で「この音色を出す人はSだ」と言われた。そんな受け取り方をする人がいるものかと驚いた。

また正しい姿勢・弾き方が否応なく身につくという利点がある。
多少姿勢などに問題があってもなんとかなってしまうと、気づけないまま弾き続けてしまう場合もある。その点、間違った弾き方をしているとそもそも物理的に無理、と壁を突きつけられる。自分のからだが間違いを教えてくれるのだ。

ここまでに欠点として挙げた部分は、ちょっとした工夫で補えることもある。
足の長さ足りない問題には、ヒールのある靴を履けばいい。
ただ、チェロを持ち歩くのにヒールを履いていると脚にかなりの負担がかかる。
そこでオススメしたいのが、カカトのあるスリッパ。カバンに忍ばせておいて、練習場で履き替えるのだ。

分数楽器を使っていて大きな音が出せないときは、エンドピンを変えてみるのもオススメだ。
ステンレス製のものから鉄製のものに変えるだけで、音色は大きく変化する。(値段は少々はるのだが……)

知り合った人の中に(プロ含め)小柄なチェロ弾きは数名いる。私よりも小さい人だっている。しかしからだの大きさなど関係ないとばかりに、素晴らしい音色を奏でる人は多い。

小柄なことが不安な、チェロを愛しているあなたへ。
「その愛があれば大丈夫である」と、いち経験者として伝えたい。

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