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<実証実験レポート>デジタル技術で消防団強化!情報伝達の迅速化・団員増加により地域防災力を高めたい!

本記事は、掲題の実証実験に伴走者として参加したひょうごTECH事務局スタッフによるレポートです。

実証事業者:バーズ・ビュー株式会社
フィールド提供者:明石市消防局
課題:デジタル技術で消防団強化!情報伝達の迅速化・団員増加により地域防災力を高めたい!

プロジェクト概要

本プロジェクトは地域の消防団が主役です。
消防団は、平常時には訓練、火災予防の啓発などをし、災害時には地域を守るために出動し、消火活動や救助活動などを行っています。南海トラフ地震など、大規模な災害の発生が危惧される中、消防団を中核とした地域防災力の向上が求められており、 地域を守る消防団の果たす役割はますます大きくなっています。
本件の実証自治体である明石市では、市内の4地域にそれぞれ2分団が組織され、計8分団50班の消防団員が活動しています。市内全域で多くの消防団員が同時に活動していることもあり、災害時の情報共有や報告などを迅速に行うことが難しい場合もあります。迅速に情報を伝達することは、地域の安全だけでなく、消防団員の安全確保にも繋がります。今回実証に取り組む課題のひとつは、平時、有事における情報連携の効率化、迅速化です。
また、そんな地域の防災を担う消防団員の確保も課題となっており、本実証では①情報連携の効率化、②消防団員の確保、のふたつに取り組みました。

実証実験の詳細

今回の実証には、情報による「鳥の視点」で行政や医療機関と社会課題の解決を目指す、バーズ・ビュー株式会社の消防団専用の防災アシストアプリS.A.F.E.(Syoubou Assist Fire Emergency)を試験導入することとなりました。

現在の消防団の情報共有手段は電話やメール、文書の郵送等を中心としていることから、消防団員への伝達や、消防団員からの報告に時間を要していました。また、災害時においては多数の消防団車両が同時に活動するため、多くの情報を同時に処理する必要があり、各消防団員の活動状況を確実に把握することが課題となっていました。

そこで、今回の実証では、元々明石市で計画されていた消防団の訓練機会を活用し、アプリを活用した情報連携の試験を行うこととしました。消防団は団員それぞれが異なる本業を持つ特性上、実証実験のために集まっていただく機会を設けることは困難でありました。

まずは、訓練に先立って、オンラインによる実証実験の説明会を開催し、実証スケジュールやアプリの機能・操作などをお伝えしました。
役員以上の方が中心となって説明会に参加し、アプリの操作や機能について非常に興味を持たれている様子が印象的でした。

実際の検証機会としては、下記の3回を設定しました。
第1回 防火広報・ポンプ点検 (11月12日)
第2回 正副団長・分団長会議 (11月24日)
第3回 総合訓練 (11月26日)

発災、出動指令から現地到着報告、出動時及び撤収時における本部や班長との連絡交信をアプリのメッセージ機能を活用して行いました。 

写真は第1回訓練時における実証の様子です。
明石市消防局の方が消防団とのやりとりについて実証企業の担当者に質問しています。

そして、もうひとつの課題である消防団員の確保については、特に若者や女性の団員確保に向けて、実際に活動されている団員の生の声を届ける、団員インタビューを含めたPR動画の作成を行い、市内のショッピングモール等で放映を行いました。
動画は現在も明石市消防局の公式YouTubeチャンネルからご覧いただくことが可能です。


実証実験の結果

実証終了後、ご協力頂いた消防団の方々にアンケート調査を実施しました。
その結果として、アプリの導入により、情報連携の効率化が見込めると回答した方の割合が、80%以上を越えていました。特に、平時の運用については、89%以上の方がポジティブな回答をしていました。

また、実際にアプリを操作していただいたことにより、実際の運用に向けた機能面の改善点も可視化することができ、実証企業にとっても、機能改善に向けたリアルな材料を得ることができました。実際の改修作業は今後の取り組み課題のひとつとなっていますが、すでに着手されており、一部機能については改善されています。

また、団員確保については、動画の成果であるかどうかまでは言及できないものの、令和5年度は退団者を入団希望者が1名上回り(前年度は-11名)、令和6年度当初の消防団員数は、年々減少していた状況から増加となり、状況改善ができていることは嬉しい成果となっています。

加えて、ユニークな事例として、実証企業の担当者個人が、本実証をきっかけに所属自治体の消防団へ自ら入団するという微笑ましく頼もしい成果も生まれていました。

今後の展開

 今回の実証では明石市消防団にフォーカスした実証を行いましたが、課題である①情報連携の効率化、②消防団員の確保については、兵庫県内の全自治体、そして、全国の自治体にとっても共通課題となっています。

明石市消防団における課題解決に向けた取り組みの1つとして、今回の実証実験を踏まえ、今後、アプリの導入等について検討することになっています。

また、実証企業は、今回の実証成果を元に、他市町村の自治体でも引き続き実証の機会を模索しつつ、真の課題解決に向けた取り組みを継続していくこととなります。

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