見出し画像

<実証実験レポート>「竹害」から「地域資源」へ。放置竹林の竹を有効活用したい!

本記事は、掲題の実証実験に伴走者として参加したひょうごTECH事務局スタッフによるレポートです。

実証事業者:リーフエア株式会社
フィールド提供者:淡路県民局
課題:「竹害」から「地域資源」へ。放置竹林の竹を有効活用したい!

プロジェクト概要

 タケノコの輸入やプラスチックなど建材の代替品の増加、人口減少・高齢化の進行により竹林の定期的な管理が行き届かないことから、放置竹林が拡大し、全国的に問題となっています。
兵庫県も同様で、県内でも特に淡路島で顕著になっています。淡路島の竹林面積の割合は10年で約6倍に増加し、島内面積の約4.5%を占めるまでになり、さらなる増加の防止が課題となっています。

淡路島内市別の竹林面積(出典:日本森林技術協会)

本プロジェクトでは、淡路島産の竹を使用した製品開発だけでなく、竹林の伐採から運搬までを含めた新たなアイデアを募集しました。
様々な企業から提案があった中で実証実験のパートナーとしてお願いしたのは、“竹イノベーション研究会”にも所属し、竹に関する専門知識やネットワークを持つ、リーフエア株式会社。
 
今回の実証実験では、地元の事業者と連携し、防草効果のある竹の土系舗装「バンブーペイブ工法」を施工し、有効性を実証することとしました。
「バンブーペイブ工法」とは、竹チップ・土・専用固化材を混合した土系舗装のことで、見た目はほぼ土ですが、特徴として、防草・透水性・保水性・炭素固定(CO2削減)効果があります。
施工法だけでなく、地元の事業者と連携し供給する仕組みづくり構築も期待されました。

実証実験の詳細

まずは、施工場所の検討からスタート。
PRにもつながることから、一般の方の目に触れる場所である県立淡路島公園での施工が決定しました。
この実証実験の特徴は、地元業者と連携し施工を行うという点です。
淡路県民局から呼びかけをし、事業者向けの説明会を10月に実施しました。島内の舗装技術を持つ事業者、竹や土を供給できる事業者、地元企業や竹の取り組みに関わる関係者に対し、プロジェクトと施工について直接説明を行いました。

11月には、淡路島の企業から竹チップ(乾燥、粉砕)と真砂土を調達し、舗装材の配合試験を実施。適正配合を決定し、竹チップと真砂土の使用量が決まりました。

実証実験の結果

12月、県立淡路島公園で施工を実施。
施工見学会とし、説明会の出席者や関係者が参加しました。

今回の施工面積は22.99㎡、竹チップ使用量122.4kgを使用しました。
1㎡あたり5.3㎏の竹チップを使用したことになり、施工面積が増えると竹チップ使用量も増加し、放置竹林対策の一助となり得ます。
現地では、竹チップなど使用する材料及び施工方法について質疑応答も行われ、参加者からも「自社で施工できる」との声があり、施工性が高く評価されました。
また、周囲に竹チップを敷設し、舗装部分への土砂流入防止、景観性向上を図るとともに、防草効果の確認を行うことにしました。

今後の展開

周囲の景観にマッチしながらも、固まっているため歩きやすい土系舗装は、来園者からも好評とのことです。一部修復が必要な箇所はあったものの、補修方法も一つの実証となりました。

周囲に敷設した竹チップも、施工後、雨の日や風が強い日もあったそうですが、淡路県民局の方が現地を訪れたところ、竹チップはほとんど飛んでおらず、東屋への土砂の流入もありませんでした。

ひょうごTECHイノベーションプロジェクトの実証期間は1月末までの為、防草効果や耐久性を確認する期間が短く、今後も継続的に検証していきます。

淡路県民局のご担当者様がきめ細やかに様々な調整・対応をしてくださり、リーフエアの稲元さんも宮城から何度も淡路島に足を運び、各所に説明をし、現場を仕切っていただき、しっかりと連携ができていたプロジェクトでした。

今回の実証をきっかけに、県内の企業などからリーフエアへ問い合わせが複数あり、現在計画を進めています。「淡路島だけでなく全県に拡大させ、新しい竹の利活用推進を兵庫県から発信したい!」と、稲元さんが意気込みを語ってくれました。

竹の利活用法だけでなく、地元の事業者と連携する仕組みづくりも構築でき、新しい可能性が見える実証となりました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?