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【78】月光天文台の夜の観望会に行ってきました 2022.10.1

丹奈トンネルはご存知ですか。
昨夜は丹奈トンネルの直上にあたる伊豆函南の原生林にひっそりと佇む、月光天文台の観望会に行って土星や木星を見てきました。
 この天文台に出会ったのは、もう20年位前のことでした。
その時は家から、まだ幼かった娘を載せて車で「酪農王国オラッチェ」という観光牧場に向かっていたのです。
 まだナビなどなくて、道路地図を見ながらの運転だったのですが、「函南原生林」という所に入り込むと、昼でも薄暗い道はくねくね曲がって分かれたり交わったりしていて、あっという間に方向感覚は失われ、完全に道に迷ってしまいました。気付くと、「あれ、ここさっき通った所じゃん」と方向音痴ぶりをいかんなく発揮し、訳の分からない状況に陥っていたのですが、そんな中でふと出会った道の分岐点に、「月光天文台500m」という案内板を見付けたのです。
「月光天文台!?」
長野まゆみさんの小説に出てきそうなこの名前に一発でやられてしまい、先にここを見に行こうかということになったのでした。
森の中に突然現れた小さな天文台は、賢治さんの「注文の多い料理店」みたいで、星や鉱物、化石など天文・地学の展示があったり、星座盤を売っていたり、プラネタリウムまであったりしていて、もうすっかりとりこになってしまいました。

 天文台を楽しく見学した後は、気を取り直してオラッチェに向かい、なんとかたどりつきました。
 アイスクリームが美味しかった♡

その後、月光天文台には、プラネタリウムで「銀河鉄道の夜」の全天周映画を見たり、月に1、2回開かれる夜中の観望会で大接近した火星の姿を望遠鏡で見せていただいたり何回か行ったことがあります。

今回は木星が衝を迎え大接近をしていることがあり、久しぶりに行ってみようかということになって娘の運転で観望会に参加してきました。

前回来た時からは十年位経っているような気がしますが、やはり原生林に入ると道は記憶していた以上に曲がりくねって離合集散しており、ナビの有難さが改めて沁みました。

でもね、最初からナビがあったら天文台に出会うこともなかったのですから良し悪しでもありますね。

観望会は18:30-20:00で、まず20分くらいプラネタリウムで今夜の星空の模様を予習してから星の観測に入りました。
最初にメインの50㎝の大望遠鏡で土星の観測、土星も8月に衝を迎えたばかりで近接しているので、環っかが以前にみたときより大きく綺麗に見えて感激しました。

その後は駿河湾の夜景を見渡す屋上に出て、涼しい夜風に吹かれながら、設置された何本かの望遠鏡で、木星、月面、アンドロメダ大星雲、琴座の環状星雲などを見せていただきました。
木星は本体の縞模様がはっきり、ガリレオの4大衛星もクリアで、私がカメラで撮ってお伝えしたものとは当然ですが比べものにならない美しさでした。
月面のクレーターもくっきり鮮やか、
そして新兵器の電子望遠鏡では光を5分とかの間蓄積して暗い星も見えるようにしているとかで、アンドロメダ大星雲(今は星雲とは言わずアンドロメダ銀河と呼ぶそうです)が明るくはっきり見えました。最後に電子望遠鏡で見せていただいた琴座の環状星雲は周囲が赤く中央が美しいエメラルド色で宝石のように幻想的でした。

約1時間半、暑くなく寒くなく、空気が澄んで、心地よい夜風に吹かれながらの幸せな観望会でした。
集まった人たち皆が去りがたく、もう一回、もう一回と望遠鏡に並び、時間延長になっても何を言わず暖かく対応していただいた天文台の方々の優しさに感謝です。

天文台に着いたとき少し雲が出てきていて心配しましたが杞憂でした
夜の月光天文台
駿河湾残照
著者近影
プラネタリウムの天井
50cmの大望遠鏡が狙うのはポツンと光る土星
屋上からの月と駿河湾の夜景
沼津の街の灯りと駿河湾

望遠鏡で見えたのは大体こんな感じでしたね。

土星、木星、月、アンドロメダ銀河、琴座環状星雲

おまけ
 屋上から北の方角に、色を変えてライトアップしている塔のようなものが見えました。
位置関係からして、多分、日本一長い吊り橋「三島スカイウォーク」じゃないかと思います。

青くなったり、赤くなったり

余談1:函南について
 昔は箱根山は函根山と書いたそうです。函館のハコですね。なので函南というのは箱根の南の地域という意味になります。函南の東部の丹奈盆地はその下を丹奈トンネルが通っており、丹奈牛乳でも知られる酪農が盛んな地域になっています。
余談2:天下の険:箱根山の意味
 箱根山が天下の険と言われるのはなぜかご存知ですか?
 箱根山って聞くと何か一つの山があるという風に私も昔勘違いしていたのですが、実は独立峰ではないのですね。下の地形図のように北は丹沢から伊豆半島の南端まで山がつながった山脈のようになっていて、ちょっと迂回するということが出来ないのです。
 昔の東海道線は北に大回りして、今の御殿場線のルートで箱根のラインを横断していました。
 丹奈トンネルは難工事だったと聞きますが、ショートカットの経済効果はすごく大きい偉大な工事だったと思います。

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