ユーチューブで平原綾香さんの「ジュピター」のミュージックビデオのフルバージョン版を聴きました。映像も音質も素晴らしくてこれが彼女のすごさが伝わるジュピターの決定版といえると思います。

一番初め、歌い出す前に大きく息を吸い込むブレス音にドキッとさせられました。普通はブレス音は雑音であり、録音には入らないようにするものだと思うのですが彼女はその雑音さえ表現にしてしまったように思えます。
こうして吸った息を音に変えているんだということ、彼女が生きて呼吸する生身の存在なんだという事実がその瞬間に胸に刺さったのです。
【58】の記事で平原さんについて書いたときに綾香さんがジャズ一家に育ち幼いころはご父君の吹くサックスを父の歌声だと思っていたという逸話を紹介しましたが、彼女の歌を聴くと自分自身を一つの楽器として演奏しているという感じを受けます。このMVではホルストの原曲では1分40秒でしかない部分を様々な変奏によって6分5秒もの長さにして演奏しており、彼女の力の奥行の深さに感銘を受けます。
この曲もいろいろな人にカバーされていますが、いずれも浅くて薄く軽くて彼女のような力を感じることはできませんでした。

けれどそんな中で異色のジュピターがありました。全く知らなかったのですが古川愛理さんという方です。彼女のジュピターのパワーと存在感は胸を熱くさせます。

彼女は今は力が認められきているようですが、このころはまだ無名の路上ミュージシャンの一人に過ぎなかったのでしょうか。
ギター一本で真っ向から勝負してくる彼女のジュピターには応援したくなってしまいます。