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【コラム】「笑顔を科学する。楽しいから笑うのではない,笑うから楽しいのだ。」

「楽しいから笑うのではない,笑うから楽しいのだ」とは,アメリカの哲学者であり、心理学者であるウィリアム・ジェームズの名言です。

「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」は、世界の三大幸福論のひとつを書いた、フランスの哲学者アランの言葉です。
前者は、辛いことや悲しいことがあっても笑顔でいることを心掛けるだけで、自然と明るく前向きな気持ちになるということを説いています。
後者は、どんなに絶望しても、希望を持って笑顔で生きることが、幸福につながるということです。
人生は山あり谷ありで、時には辛い出来事や悲しい出来事も。しかし、これは長い人生を歩んでいく上で仕方のない、誰にでも起こることです。
そのため、どうせ同じ人生を歩んでいくのであれば,少しでも楽しい人生を歩んでいけた方が良いでしょう。
その為には、人間にとって笑顔を作る努力をすることが大切なのです。


笑いを もう少し哲学してみたいと思います。
 
ヘラクレイトスもデモクリトス この2人は古代ギリシアの哲学者ですが。
実は「ヘラクレイトスは泣き、デモクリトスは笑った」と西洋では古来より、言われてきました。ヘラクレスは「万物は流転する」の言葉で知られ、デモクリトスは原子論の提唱者として有名です。
ヘラクレイトスが泣き、デモクリトスが笑ったのはどちらも世の無常と不条理であるのです。「泣く哲学者」ヘラクレイトスはそれを嘆いて泣き、「笑う哲学者」デモクリトスはそれがどうにもあほらしくて笑ったのだそう。このように人間は気の持ちようで、同じことに笑うこともできれば泣くこともできるのです。別の言い方をすれば、「人は何にでも笑える」ということになります。
 
次に、ちょっと科学していきましょう。
 
万学(ばんがく)の祖アリストテレスが『Parts of Animals』(動物部分論)の中で「人間だけが笑う動物である」と説いて以来、2千年以上ずっとその言葉が繰り返されてきました。しかし、進化論の祖ダーウィンは、人間および動物の表情の中で「霊長類も笑う」と反論しました。実際、チンパンジーなど、とりわけ子どもたちは遊びの中で互いにじゃれ合って笑うそうです。ただ、その笑いの目的は自分たちが遊んでいることを相互に確認し、ほぼ、きずなを強めることに限定されているそうです。そのため、愉快だから、おかしいからとか、ましてや苦しまぎれに笑うようなことはありません。
その意味では、本格的に笑うのはやはり人間だけです。
 
 笑いの表情は、頬をピクッと動かすだけのものから、涙を流したり、身をよじらせての大爆笑まで実に千変万化です。
基本的に、笑いを「笑顔」と「笑い声」の2つに大別することとします。
声がなく顔の表情だけの笑いと声を上げての笑い、つまり英語の「smile」と「laugh」の2つに大別してみます。以下、それぞれ「微笑」「音笑」ということにしましょう。微笑も音笑も本能的行動です。
 
1.微笑
人間は母親の胎内で妊娠8か月頃から微笑し始める。条件次第では、赤ちゃんは生まれたその日から微笑することができるのです。特に睡眠時によく現れるこの笑顔を「新生児微笑」と呼びます。胎内にいるときから微笑するのは、生まれたらすぐに微笑できるようになるための表情筋の準備運動らしい。
 
 なぜ生まれてすぐに微笑むのかといえば、人間は他の動物に比較して際立って大きな脳をしているので、他の動物と同じくらい身体が成熟する段階まで胎内にいると、脳が巨大になりすぎて頭が産道を通れなくなります。そこで、頭が産道を通れるようにと、よく約1年早産することになるといわれているように、小さく、ひ弱に生まれてくるのです。極端にひ弱だから、周囲の人間たち、とりわけ親の念入りな養育行動を必要としますから、親に「かわいい」と思ってもらうことが必要になり、ニコニコしいるのです。赤ちゃんが一番かわいく見えるのはどんなときか、それは笑っているときです。したがって、新生児微笑は赤ちゃんの本能的なサバイバル戦略なのである。
 微笑は、もちろん大人になっても大切。成長してからも親のみならず他人に好意を持ってもらうために不可欠な表情であり続ける。すなわち、微笑とは、人間たちが好意を持って機嫌よく接し合い、関わり合うために不可欠な表情といえる。人類はコミュニケーション手段を著しく高度に発達させることになった。その頂点をなすのは言語であるが、言語はジェスチャーの進化形態である。そして、そのジェスチャーの最も主要な基盤となるのが顔の表情です。つまりできるだけ多くの表情が演出できるよう、結果的に人類の顔面には他の動物には見られない多数の微細な筋肉が発達した。約20種類の表情筋がそれである。
 
2.音笑
 さて、微笑の次は音笑である。音笑は生後約4か月後に現れます。笑い声の特徴は、息を断続的に吐き出しながら声帯を振動させるそうで、「はっはっは」になるようです。笑い声なしの笑顔はあっても、笑顔なしの笑い声は普通ありません。まぁ。ひきつり笑はあるかもしれません。英語ではsmileとlaughを区別するけれども、両者はいわばグラデーションようにつながっているわけです、微笑の延長上に音笑があります。表情筋の動きが大きくなって臨界点に達すると、呼吸が深く激しくなって笑い声が発せられ始め、笑い声が大きくなるとともに、肺、横隔膜、腹筋等の筋肉が大きく収縮するという仕組みです。こうした呼吸系の筋肉運動を可能にするためには身をよじったり、のけぞったりする必要があり、それも限界に達すると、足を踏み鳴らしたりするようになり、しまいには、駆け出します。(笑)
 
 なぜここまでやる必要があるのか。そもそも音笑は何のためにあるのか。「笑いという刺激」はいずれ何らかの興奮を生じさせるものであり、どのような種類の興奮も長時間脳内に滞留することは生命にとって危険であるために、何らかの方法で放出されなければならない。そこでこの過剰になった脳神経性の興奮エネルギーを筋肉の運動エネルギーに転換して放出するそうです。その過程で呼吸器系の器官にエネルギーの放出が集中して生起するのが音笑ではないかと考えられているのです。
 
ということで、笑顔は良いことが多いのですが、科学的にも身体によいのです。
 
「笑う門には福来る」「笑いは百薬(ひゃくやく」の長」などことわざにもあるように笑いは健康に良いということは昔からいわれてきました。なぜ笑いが健康に良いのか少しずつ科学的にも明らかになってきています。
 
●笑いのメカニズム 笑いが起こるには、まず言葉や写真など笑いを引き起こす外界の刺激が、目や耳を通って脳に入ります。そして脳の中でどの中枢に伝わるかで快の笑い、社交上の笑い、緊張緩和の笑いなど笑いの種類が変わってきます。 笑いが起こるとβエンドルフィンやセロトニンなどの快楽ホルモンが分泌され、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を抑える働きをします。また笑うことで大量の酸素が取り入れられ、脳の働きが活発になり集中力もアップします。
●笑いの効果・がんに効果的なNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させ、免疫力を向上させる。
・血糖値の急激な上昇を抑える。
・副交感神経を優位にして、血圧の上昇を抑える。
・脳の血流量が増加し、認知症予防になる。
・笑って横隔膜を動かすことによって腹筋を使うので、運動効果がある。顔の筋肉も動くため、顔の筋トレにもなる。
・気持ちが穏やかになり、ストレス発散につながる。・コミュニケーションを促進させる。
どうでしょうか!?

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