暮らしと学問 8 田植えを撮影するために立ち止まり考えてみたこと

(はじめに)暮らしを安定させる大切な要素が日々のルーティーンワークですが、時としてそれは、生活から面白味を奪うものにもなります。この矛盾を解決するために必要なことは「立ち止まる」こと、そして「考えてみる」ことだと、田圃の前で考えてみました。

暮らしの安定とその面白味のなさ

 日常生活は、同じことの繰り返しがどうしても多くなります。しかし、つつがなく同じことが繰り返されることによって、日常生活はうまく回っています。それは、私たちの暮らしが安定している状態といってもよいでしょう。

 しかし、それは同時に「ルーティーンワーク」とも称されるように、機械のようにタスクが次々とこなされている状態と評価することも出来ます。暮らしが安定しているということは、同時に、繰り返される反復運動のように何の面白味もないことを物語っているのかもしれません。

 だからこそ、安定のなかで、彩りを見いだす意識的な取り組みが必要になってくるのではないでしょうか。

 そこにはいろいろなアプローチを考えてみることができると思いますが、筆者は「立ち止まる」ことを大切にしています。


立ち止まって考えてみる

 オートマチックにものごとが処理されていたとしても、時々メンテナンスというものは必要です。これは機械に対してだけでなく、私たちの暮らしにも当てはまります。筆者はそうした契機のひとつとして「立ち止まる」ように心がけています。そのことで、例えば、やり方を変えてみることで、よりスムーズに行われることを発見したり、見過ごしていた重要なポイントや喜びを見いだしたりすることができるからです。

 そしてもうひとつ付け加えるならば、立ち止まって「考えてみる」ことをおすすめしています。

 日頃、当たり前のように捉えていることがらに対して、改めて立ち止まり、考えてみることこそ、暮らしを豊かにしていく契機になり得るからです暮らしに注意を注がずして、それが彩り豊かなものになるはずがありません

田植えされた田圃の前で立ち止まり考えてみたこと

 筆者は、物理的によく立ち止まっています。趣味は写真撮影で、移動のほとんどはロードバイクという生活です。写真を撮るためには、必然的に立ち止まらなければなりません。ですから仕事へ行くときも、あるいは家庭へと戻るときにも、少しだけ時間に余裕をもって、往復するよう心がけています。

 さて、ここ数ヶ月、立ち止まっては撮影した風景のなかでショットが多くなったのが「田植え」です。日本の田園風景にノスタルジアを感じた訳ではありませんが、季節の風物詩としてやはり撮影回数が多くなります。田圃を前にして、立ち止まり、撮影し、そしてそのことを改めて考えてみると、意外な発見がありました。

 田植えの時期といえば一体いつ頃でしょうか?

 農家でもなければ正確に把握している人は少ないと思いますが、撮影のために立ち止まると、数ヶ月に渡るということを発見しました。

 筆者は讃岐で生活しておりますが、早いところですと、4月の半ばから始まり、遅いところですと、7月の中旬になってからようやくという田圃も見られます。当然、成長のスピードが異なりますので、刈り取りの時期も数ヶ月に及びます

 いまさら「田植え」を考察してもと思われるフシもあるかも知れませんが、改めて、立ち止まり、撮影して、そのことを考えてみるとおもしろいものです。

 以前ですと、田植えなんて一瞬で終わっちゃうものと、中途半端に理解していました。しかし、改めて、立ち止まり考えてみると、些細なことかも知れませんが、発見や新しい理解が立ち上がってくることに筆者は驚いています。

 これは私たちの暮らしでも同じかも知れません。

 改めて、立ち止まり、考えてみる契機を普段の暮らしのなかに組み込むことを筆者はおすすめします

 写真の撮影も楽しいものですよ。

実にその驚異(タウマゼイン)の情こそ智を愛し求める者の情なのだからね。つまり、求智(哲学)の始まりはこれよりほかにはないのだ。
(出典)プラトン(田中美知太郎訳)『テアイテトス』岩波文庫、1966年、50頁。


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氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。

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暮らしと学問

もともと学者をやっていたのですが、思い切って象牙の塔を飛び出してみました。社会の中で発見したり、考えたことを綴っていきたいと思います。毎週月曜日か日曜日に更新しています。 最近気になるのは、暮らしと学問の不毛の対立です。それをどのように切り結べばよいのか--。考えてみたい...
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