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あんときのデジカメ 寄り道とは気合を入れるものではありません with CONTAX U4R


(はじめに)「五月から九月まではすごく長いけれど、九月を過ぎると日も短くなり、あたりも秋めいて、木々は紅葉する。もう時間は残り少ない」季節が好きです。1ヶ月ぶりにお気に入りの寄り道コースをサイクリングしてきました。今回はお供は、京セラコンタックスU4Rです。

さあ! 寄り道するぞ!って気合を入れるってなんだか違いますよね

 誰にでも、その人自身のとっておきの寄り道コース、あるいは息抜きスポットというものがあると思います。僕の場合、職場を出て帰宅するときに、少し遠回りをして、瀬戸内海の街道を走り、造船所のクレーン群を眺めるのがお気に入りのコースです。

 月に1度か2度は、夜勤を終えてからそのコースをサイクリングするのですが、9月は職場での新しいプロジェクトの立ち上げや、夜勤明けなのにそのまま夕方から仕事というタイトな勤務スケジュールの都合で、寄り道することができませんした。それはそれでちょっとしたストレスになってしまうのですが、10月に入ってからようやく寄り道することができました。

 寄り道とか息抜きというものは、たとえば、気合を入れて「さあ! 寄り道するぞ」とか「よっしゃあああ、息抜きするぞ」っていうものではありませんので、「さて、今日はちょっとお忍びかな」という感覚でサイクリングしてきました。

 ちょっとした、そして久しぶりの遠回りになりましたが、それでも、ひと月もそのコースを巡回していませんと、季節の変化に驚いてしまいますね。その日は、ちょうど夏物の単衣のジャケットを羽織っていただけですが、少し肌寒いぐらいで、空も海も秋模様でした。夏は暑いので大嫌いですが、ちょっとした物悲しさがありますね。こういうときには「セプテンバー・ソング」に限ります。もはやセプテンバーではありませんが。


 シナトラの古い唄に「セプテンバー・ソング」というのがある。
 「五月から九月まではすごく長いけれど、九月を過ぎると日も短くなり、あたりも秋めいて、木々は紅葉する。もう時間は残り少ない」という意味の唄である。
 こういうのを聴いていると--すごく良い唄なんだけど--心が暗くなってくる。やはり死ぬ時は夏、という感じで年を取りたい。
(出典)村上春樹「夏について」、村上春樹『村上朝日堂』新潮文庫、昭和六二年、21頁。

ライカVSコンタックス ではなくて、ライカとコンタックスでよいのでは?

 さて、世を二分するといえば大袈裟かも知れませんが、カメラといえばライカ、あるいはコンタックスというのが老舗中の老舗で、このことに疑いを挟む人物はそう多く存在するとは思えません。そして……そのことは実際には日本だけの現象ですが……一方をリスペクトする立場は他方をけなし、あるいはその逆というわけです。要するに「ライカのほうがコンタックスよりすごい」あるいは「コンタックスのほうがライカよりすごい」という論争です。

 正直に言えば、僕自身はいわゆる「ライカ党」で、はじめて意識的に購入したカメラはバルナックライカのIIIfで、これにエルマー50mmをつけてカメラデビューしました。そのうち収集癖が始まったのですが、そんな論争とは無関係に、オールドコンタックスならばIIa、IIIaなんかも使っています。いまではほとんどフィルムを入れることもありませんが、ヤシカコンタックスのRTSや139Qなんかもよくつかっていました。京セラ時代ですと、やはりズームレンズの搭載されたTVSを長く利用し、完全にデジタルへ移行するまで10年以上は使っていたのではないかと思います。

 こちらはすごいというのが、対抗軸との貶し合いになっても意味がありません。よければよいで使えばいいのではないか……。というあたりはコレクターとしてはだめなのかもしれませんが。

 ちなみに京セラコンタックスのデジタルは、TVS digitalとU4Rを持ち合わせていますが、今回は後者で寄り道の記録を残してみました。

落ち着いた色彩再現力はさすがコンタックス

 京セラコンタックスのはなったスタイリッシュなコンパクトデジタルカメラのひとつがCONTAX U4Rで製造販売は2004年のことといいます。私事ですが当時はまだまだデジタルカメラを信用することができず、コンタックスでいえば、TVSをメインで利用していたころです。それから15年も経ったことに驚きつつ、当時は敬遠していたデジタルカメラをメインで利用するようになっていますから不思議なものです。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は有効画素数400万画素1/2.7型CCD、レンズは35ミリカメラ換算で38-115mmの3倍ズームになります。いわゆる「コンパクトデジタルカメラ」としては普通のスペックですが、高速起動とピントを合わせながら高速連写が可能がことがこのカメラの特徴となっています。

 カメラはこの時期に流行したスイバル構造で、レンズ部分が回転し、撮影位置の自由度が高く、金属製のボディと本革張りは非常に仕上がりがよくコンタックスの品の良さを今に伝えているのではないでしょうか。

 レンズはもちろん「カールツァイス T*」です。

 いわゆる「T*」(ティースター)ですよね。

 では、今更2004年11月発売の「あんときのデジカメ」の写り具合、操作感はいかがなものでしょうか。端的に言えば、よく写りますね。そして色彩の再現力があえていえば控えめで、僕としてはここに好意を抱いています。ギラギラしたデジカメの誇張された再現力にちょっと食傷気味なところもあり、この抑えられた表現力にカメラの奥深さを感じてしまいます。そして現行機種と比べると酷ですが、高速起動と連写は秀逸で、ちょっとした「パラパラ漫画」をつくる感覚で連写できるほどです。

 なお、2003年発売のTVS Digital(500万画素 1/1.8型CCD)と比較した場合、U4Rはどう評価できるでしょうか?。操作系は圧倒的にU4Rの勝利ですね。日常生活を切り取るガジェットとしてはまだまだ現役ですので、大切に使っていこうと思います。

 以下、作例です。拙い写真ですがご笑覧下さればと思います。


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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は画像は2272×1704サイズで保存。撮影は10月7日。撮影場所は香川県三豊市、仲多度郡多度津町。


氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。