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胆大心小

昨日から武満徹のエッセイ集を読んでいる。
大学時代から彼の曲やスケッチなどには触れていたが、その時はそこまで興味を抱かなかった。まさか今になってその人物像を知ろうとするとは。

エッセイを読んでみると、文章だけでも面白いし、人柄が伝わってくる。同時にこの人がどうやって喋って、どういう雰囲気を持つ人なのかも知りたくなった。そこで武満の過去のインタビュー映像などを漁り始めたのだが、改めてYouTubeがある時代はすごいと感心した。20年以上も前のドキュメンタリ映像を、誰かが数年前にアップしてくれていたのだ。

文章と映像で喋る姿の両方を見ていると、彼は胆大心小なのだなと感じる。文章では大胆で強気、肝が座っていることが伝わる。一方で、ドキュメンタリーで話す姿を観ていると、非常に繊細で臆病そうにすら見えるのだ。頭の中にたくさんの音やイメージ、言葉で溢れているからこそ、喋るよりも書く方がまとまるのかもしれない。

エッセイではジョン・ケージとも交流があったことも触れられていた。武満の視点を通してケージを知ることができるのは面白い。そんなことを思ったタイミングで、別のドキュメンタリー映像を観始めると、武満が森の中を散策するシーンが映し出された。「しかし今日は空が高いよね」と言いながら、草木をかき分けてキノコを見つけ出す。

「これは食べられるけれど、おいしくない」

そう言って、キノコ片手に苦笑い。なんというか、この一言を聞いて、ケージと武満がどんな雑談をしていたかものすごく想像がついてしまった。ケージも相当なキノコ好きだからだ。そういえばジョン・ケージのドキュメンタリーでも似たようなキノコの採集シーンがあった。類友すぎる。

この2人がキノコの話をしている資料を探そうと思った。
今日は脱線してばかりである。

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