【楽曲解説】ボカコレ2024冬参加曲「失格」に込めた思い
はじめまして、ボカロPの凵 -ukebako- と申します。
このnoteを読んでいる方はご存知かもしれませんが、
先日2/22〜2/25、niconico主催の「ボカコレ2024冬」というVOCALOID・合成音声の大きなお祭りがございました。
私はデビュー2年以内のボカロPとして、「失格」という楽曲でルーキー部門に出場し、
24位 / 3700曲中 というありがたい結果で、最後のルーキーとして幕を下ろすことができました。
応援いただいたファンの方・クリエイターの方・友人には本当に感謝しております。
さて、この「失格」という楽曲、歌詞に強い思いを込めて作った楽曲でもあり、自分としては忘れられない楽曲となりました。
大前提として、私の楽曲の歌詞に「正解」は存在せず、受け手の好きなように解釈していただいて構わない、という信条のもと
それでも、どのようにしてこの楽曲が出来たか知りたい!という声はある程度耳にしていたので
話せる範囲でお話しできたらと思います。
1.「失格」というタイトルができた日
僕は楽曲を作る際、ほとんどの場合タイトルを決定してから制作にとりかかるようにしています。
もっと言うと、「この楽曲で言いたいこと・メッセージは何か」を決めて
それを端的に文学的・芸術的に表現し落とし込む言葉を探すところからスタートします。
本作「失格」に関しては、実は去年の9月ぐらいの段階で既にタイトルは決定していました。
失格、という言葉をWeb辞書で調べると、以下のように説明されています。
今回がルーキーとして最後の出場(ラストルーキー)であり、ルーキーとしての資格を「失格」するタイミングであったこと。
私生活において、いくつかの点で人に迷惑をかけ、大人として、社会人として、自身が「失格」であると感じる出来事がこの時期の自分に多かったこと。
活動を通しての出会いが増えた中、一部のわかりあえない人に対して「失格」だと、感じてしまったこと(これは、自分が大人になるべき部分だと思います、そんな未熟な自分に対しても失格を感じます)。
これらの出来事を表すのにピッタリな熟語として、「失格」を選びました。
故に、この楽曲で伝えたいメッセージは1つではないとも言えますし、上に列挙したすべて、またはそれ以上のことを包含しているとも言えます。
2. 可不, 知声, 歌愛ユキの3人にこの歌を託した理由
Vocalとして、可不、知声、歌愛ユキの3名に歌ってもらうことにしました。
デビューした世代的なものも関係していると思うのですが、可不ちゃんには多くの楽曲で歌を担当していただいているため、僕の中では迷わず起用することにいたしました。
知声さんにも同様の感情があり、また前回のボカコレ楽曲でも歌っていただいていたため、今回も引き続き起用させていただきました。
歌愛ユキちゃんは今まで僕の楽曲で1度しか登場していません。
それなのになぜ登場したのか。
理由は「新たなステージへの一歩を踏み出す」ことを表現するのに、彼女の歌声が必要だったからです。
強風オールバックやリレイアウターなど、昨年VOCALOID界隈にて大きな存在感を出していた歌愛ユキ。
昨年11月に発表した僕の1stアルバムにおいてもリードトラックを歌っていただいたのは歌愛ユキでした。
この楽曲は僕にとっての「贖罪」も込めているので、今まで通りの自分ではなく(今まで通り可不ちゃん・知声さんやミクさんに歌って表現してもらうだけではなく)、前に進むための1人が必要だったのです。
故に、アウトロは可不ちゃんや知声さんではなく、ユキちゃんの歌で終わります。
また、彼女が「小学生」であるのも、自分の中では大きく関係しています。
これからルーキーというボカロP期間が終わり、自分より大きなボカロP達と同じフィールドで音楽を続ける必要があるこのタイミングは、学校を卒業するときに感じたような気持ちと何となく似てるな〜と思っていたりもしました。(これは個人的なものなので、共感されないかもしれません)
そうした意味でも、私にとってはピッタリのキャラクターだったのです。
3.「失格」の意味は曲の前半と後半で少し違う
この楽曲、何度も「失格」という単語が出てきますが、実は前半と後半で少し違った意味を持たせています。
ざっくり言うと、前半の「失格」は、贖罪すべき「罪」「業」としてのニュアンスが強く
後半の「失格」は、誰もが持つ「罪」「業」として「向き合わなければならないもの」としてのニュアンスが強いです。
サビで「失格だと。」で終わる場面が2ヶ所あるのですが
MVにおいて、最初のサビでは黒背景、白文字だったのに対し
最後のサビでは白背景、黒文字にしたのも、ニュアンスを変えたい意図があったからです。
結局人は生きていれば大なり小なり悪いことをするし、迷惑をかけるし、誰かを幸せにしたら誰かを不幸にしていると思います。
前半では、失格している自身を自責したり、贖罪したりといった範囲で「失格」を語りますが、
後半は「まぁ、みんな失格してるし俺もしてるから心配しないでくれ〜!」
みたいなニュアンスになってます。
何度も言いますが、歌詞の解釈は受け手の好きなように解釈してもらって構いませんし、上記は自分が言語化できる範囲で込めたメッセージに過ぎないです。
言葉を紡ぐ中で、上に記載した内容以上のことは必ず含まれてます。(僕が知覚し、言語化できないようなことです)
なので、作者の凵さんが言ってたメッセージが正解だ!それ以外の解釈は勘違いだ!ではなく、
聴いてくださったあなたが、作者の僕自身も見えてないこの曲に含まれたことを捉えてくれると、より面白い楽曲になるかな〜!と思っております。
おわりに
色々と書いてしまいましたが、とにかくこの楽曲が多くの人の心に残るものとなり本当に感謝しております。ありがとうございます。
サウンド面はまだまだなので多くを語らないことにし、歌詞やこの曲で表現したかったことについて主に言及しました。
まだまだやりたいことはたくさんあるので、今後も精進します。ではでは。
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