トレーダーから絵師に転生する話(現在進行中)
こんにちわ、UKIです。
仮想通貨界隈では取引高が少なくなる冬の時代が到来していますね。
筆者は長らく専業トレーダーとして過ごしてきましたが、ここでいったん区切りをつけて別の道を模索中です。
今回のnoteではそのあたりの話をしてみたいと思います。
筆者の経歴
まず軽く自分のことについてお話します。
筆者は今年で40になります。
某大学の大学院修士課程を修了後、某大手企業にハードウェアエンジニアとして就職しました。
32のとき、8年間のサラリーマン生活に終止符を打ち、相方のHohetoとともに事業として自己資金の運用を開始しました。
我々は金融市場について素人でしたが、資産運用に計量的な手法(あらかじめトレーディングの期待値を算出して機械的な売買を行う手法)を適用し、これによって十分すぎるほどの成果を上げることができました。
年を取るに連れて時間の流れは早くなります。トレーダーに転身してから8年が経ちました。ちょうどサラリーマンだった期間と同じ8年です。
十分な収益を上げ、今後の収益システムの確立が完了しています。
転機が来ている。そう感じました。
32のときに経験した、あの感覚と同じです。
なにをするか?
ただし今回は32のときと異なる点があります。それは「経済的自由が確立されている」ということです。収入に縛られないため、かなり多くの選択肢が目の前に広がっています。
例えばあなたが40だとして、「もう働かなくていいから好きなことしていいよ」と言われたら何をしますか?
山月記の李徴の言葉が頭をよぎります。
『人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが何事かをなすにはあまりに短い』。
「…漫画」
「…漫画を描きたい」
なぜ漫画か?
ある分野に新規参入するとき、その分野においてある程度高いところまで登りたいという気持ちが自分にはあります。
当然承認欲求もありますし、何よりも攻略するその過程を楽しみたいからです。
しかし、ここでスポーツを選択するとどうでしょうか?
例えばサッカーでは?
サッカーではシニアリーグがあります。40すぎてサッカー未経験者がシニアリーグを目指す。これでよいのではないでしょうか?
ダメとは言いませんが、これはかなり厳しい気がします。
スポーツでは生まれ持った体格、反射神経、動体視力など、物理的な要件が必要になります。可能性は無限だとはいえ、いくら何でも無謀すぎるでしょう。
では漫画はどうか?
勘違いしないで頂きたいのは、単純に「サッカーよりも漫画のほうが簡単」などと言うつもりはありません。自分が考える有利な点として、
1) ツールの進化で作画の効率が飛躍的に上がっていること。
トーンが一瞬で貼れたり、素材も手に入りやすい。最近ではAIが背景を描くという話まであります。このため画力に関して言うと、TOP層と最下層の乖離が縮小してきているのではないか?
2) インターネットやSNSの普及により、週刊誌や月刊誌での連載しかなかった昔と比べて確実に間口が広くなっていること。
最近では「100日ワニ」や「100日退職」が注目を集めたことは記憶に新しいと思います。
視点と切り口次第で勝負できるのではないか?
この感覚はビジネスと似ています。
他の選択肢もあるでしょうが、そもそも漫画好きな自分にはこの選択が最も合っているのではないか。そう思いました。
環境を整える
やると決めたその日にiPad ProとApple Pencilを発注しました。作画ツールは少し調査してからClip Studio Paint EXに決めました。
初期投資額およそ25万円。
これで殆どプロに近いレベルの環境が一瞬で構築できました。とりあえず現代社会に感謝です。
か、描けない…漫画家すげえええぇぇぇ
さて、まず自分が手を付けたのは、人気漫画の模写からです。
題材として自分の大好きなHUNTER×HUNTERを取り上げました。本気で漫画を模写するのは小学生以来、実に30年振りです。
「なにこれ…レベルが違いすぎる…」
分かるでしょうか、自分のクソみたいなタッチと、それ対する富樫先生の繊細なタッチ、そしてその表情の深さ。
何よりも驚いたのが、線画が全く上手く描けないことです。Gペンで描いた線が根本的に違う。
バクマン。という漫画家を目指す漫画の中で、「Gペンが使いこなせない」という描写がありましたが、それを身をもって体験することになったのです。
「世の中には絵が下手クソな漫画はいくらでもあるからいけるやろ」。
こう考えていた自分を殴りたい。やってみないと分からないということは、世の中に山ほどあるのです。
いったん方針を転換
始めてから1週間。
なんと自分は漫画を読むのが嫌になってきたのです。
あれだけ好きだったのに。漫画開くのメチャクチャ憂鬱やん。線画がいっこうに上達しない自分は、ハッキリ言って絵を描くのも見るのも嫌になってきていました。
ここで一つの転機が訪れます。
それはツイッターのTLがMEGAMI_NFTの話題で溢れたことです。MEGAMI_NFTはイラストレーターのさいとうなおき氏によるNFTプロジェクトで、ちょうど初回Mint(有償でNFTを発行すること)が行われて多数の人がプロフィールアイコンをMEGAMI_NFTに変更していました。
ここで、自分はいったん漫画ではなくイラストを描いてみることにしたのです。そうすると1つの発見がありました。
あれ、これだったらまだマシに見える??
陰影をつけたカラーを乗せることで線画のアラが目立たなくなり、自分のド下手クソな絵でもそれなりに見えることが分かったのです。
少し上達してくる(上達した気がしてくる)と今度は面白くなってきます。アウトプットとして上半身カットのNFTを制作することを8月中の目標として決めたのでした。
NFTのコンセプトを決める
自分はトレーディングbot(自動で売買執行するプログラム)を作っていたので、「botを擬人化する」というコンセプトはすぐに決まりました。女性タイプのアンドロイドをモチーフにすることにしました(似たような作品がいくつもありますが)。
しかし、これをHohetoに話したところ、微妙な顔をされました。
「なんつーか、ボットってもさったいんよな」
# ボットはモサいからやめたほうがいい
このタグを今度から使うことにします。
OpenSeaでNFTを発行する
こうして、漫画を描くと決めてから1ヶ月弱、初の自作NFTをOpenSeaでMintし、絵師としての一歩を踏み出しました。これでツイッターアイコンを六角形にできるぞ、と。
これからもう一体制作してMintしてHoheto君にプレゼントします。
いらんと言われると思いますが。
今後
今回の制作では、手持ちの拙いスキルを何とか駆使して完成度を上げるための方法を考えました。正直、まだ絵は全然描けません。
全身が描けない。手や指が描けない、服が描けない、表情が描けない、老若男女の描き分けができない、コマ割りができない、パースのついたダイナミックな構図が描けない、動物が描けない、無機物が描けない、背景も描けない。
いろいろとやることは山積みですが、少しずつできることを広げていきます。楽しめなくなったらトレーダーに戻ることも考えます(というかちょくちょく戻ります)。サラリーマンを退職したときには元に戻る道はありませんでしたが、今回はそういうわけではないのです。
一番重要なことは、漫画を描いていてトレードのような脳汁が溢れる、あの感覚があるか?ということですね。一度きりの人生、どれだけ楽しめるかが重要です。
それでは気が向けばまたイラストをアップします。
漫画ロング!