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ビットコイン証拠金取引

1.ビットコイン証拠金取引とは

ビットコイン証拠金取引とはビットコイン(らしきもの)を対象とした証拠金取引です。

証拠金取引とは、証拠金を担保とした差金決済を扱う取引でありレバレッジを効かせることが一般的です。ここで差金決済とは、現物と代金のやりとりをするのではなく、決済した時点での損益の差額を授受する取引です。現物のように受け渡し日を考慮する必要がなく、スピーディな取引が可能です。

要するに、ボラの大きいビットコイン(らしきもの)をさらにレバレッジを効かせて売買させる、という非常に危なっかしい金融商品(らしきもの)です。


2.いったい何を売買しているか

さて、上記に「ビットコイン(らしきもの)」と書いた理由について説明します。

ビットコイン証拠金取引を「BTCFX」、「BTC-FX」などと呼んでいる場合があります。まず「BTCFX」ですが、これはビットバンクの登録商標であるため、一般に使うことはできません。ビットバンク社は、これを「ビットコインの先物証拠金取引(Future eXchage)」の商品名であるとしています。こちらは一応「先物」の証拠金取引です。

次に「BTC-FX」ですが、こちらは登録商標にはなっていないため一般にはこのような表記が使われます。国内ビットコイン取引所のbitFlyerもこのように表記しています。しかしbitFlyerの扱うBTC-FX(Lightning FX)は、現物でも先物でもありません。「よく分からないけれどとりあえずビットコインのようなもの」をみんながこぞって売買しているだけです。FXと名付けているのは外国為替(FX:Foreign Exchage)の証拠金取引を連想させ、USDJPYを売買するようにBTCJPYを売買する、というイメージを定着させるためだと思われます。bitFlyerはこのFXが何の略であるか一切の説明をしていません。

BTC-FXは株式とは異なり現引きも現渡しもなく(後述)、先物のようにSQもなく、ETFのように連動させるための運用があるわけでもありません。どれだけあるかも分からない現物との准裁定取引に身を任せた不安定な商品であり、結果として現物価格と30%以上も乖離してしまいました。そして12月17日にはbitFlyer側がよく分からない対策を講じると発表してよく分からない暴落も起こってしまいました。


<参考:BTC-FXの現引き・現渡しについて>

実際にはBTC-FXからの現引き・現渡しによる決済は可能ですが、1BTC~100BTCの範囲で1週間に1度までという制約があり、しかも手数料が20%も掛かるというありえない仕様のため誰も利用していないと考えられます。
bitFlyerが急に対策を講じると発表したのは、乖離幅が手数料の20%を超えるとBTC-FXショート→BTC現渡しで裁定が行えるからです。上記の制約に従って100BTCを+30%乖離幅で現渡しすると手数料を差し引いても10%であるおよそ10BTC分の代金が得られます。
当時の時価で2000万円程度であり実際に裁定が行われそうになったのかもしれませんが、当然ながら主催者特権を発動して現渡し申請を棄却していると思います(何せ現引き・現渡しは問い合わせフォームでの申請なので・・・笑)。

さらに、BTC-FXのスワップは買い建てと売り建てともにマイナス金利(つまりどちらを建てていても支払いの義務が生じる)であり、年利換算すると14.6%という暴利です。これはとても金融商品と呼べるレベルではなく、税金の区分が雑所得と言われても仕方がないような気がします。

「一般の感覚からするととても手を出す気にはなれないような商品」なのですが、一度コミュニティが出来てしまえば自然と発展していくものなのでしょう。


3.bitFlyerの提供する市場

bitFlyerの提供するBTC-FX(Lightning FX)は、莫大な手数料(BTC入金→証拠金換算、BTC-FX→現引き・現渡し)によって外界の仮想通貨市場とは隔離された空間となっています。 この市場は原則として顧客同士のマッチングの場なのですが、当然ながら「一部、当社(bitFlyer)が売買の当事者となる場合がある」と謳われています。さらに「提示価格が市場の実勢と大幅に乖離したり不公正な価格形成に基づくと判断される場合、提示価格を無効とし顧客の約定を取り消しできる」とも謳われています。

要するに、この市場はbitFlyerがやりたい放題にできるわけです。普通の金融商品であれば金融商品取引法で禁止されるような行為でも、仮想通貨は金融商品取引法の適用外であるため通用しない可能性もあります。

当然、顧客からの信用失墜のリスクや詐欺罪などの他の刑法の適用の可能性があるためそれほどの無茶はできないと考えられますが、どのみち他の金融商品に対して危なっかしい商品であるという事実は変わりません。


4.システムトレード目線で考える

(1)アノマリの存在する可能性
さて、ここまで盛大にディスってしまいましたが、それゆえにシステムトレードとしては魅力的な市場にもなりうるのです。

繰り返しますが、bitFlyerの提供するBTC-FXは外界の仮想通貨市場とは隔離された空間であり、BTC-FXの参加者のみで喰い合いをしています。その参加者とは、殆どが個人投資家であるはずです。

また、莫大な手数料に阻まれて他取引所との裁定も行うことができません。ゆえに市場は非効率でありアノマリやテクニカルが機能する可能性が高いのです。


<参考:bitFlyerの米国展開について>

bitFlyerは11月から米国展開を開始していますが、これが大きな取引高増加に繋がるかは不透明です。bifFlyerは自社のことを「World's largest Bitcoin exchange」と謳っていますが、BTC-FXの出来高をBTC現物の出来高へ挿げ替えてしまうのは無理があるような気がします。

BTC-FXは日本の取引所が勝手に設置している閉鎖空間ですので海外のヘッジファンド等からの資金流入は殆どない筈であり、個人投資家が取引量の殆どを占めると考えられます。


<参考:BTC-FXにおける裁定行為について>

ここで言う裁定とは、取引所Aで購入→取引所Bへ送金→取引所Bで売却、という真の裁定行為です。BTC-FXでは莫大な手数料が掛かるため、これを行うことができません。実際の市場には現物とBTC-FXを比較してロング/ショートする准裁定行為を行うプレイヤーやbotが存在しているため、これが復元力となっていると考えられます。


(2)ストラテジーの一例

下記のグラフは、テクニカル指標として出来高と直近の騰落率を使ったストラテジー(簡単に言うと短期の逆張り)の資産曲線を示します。トレード数が多く非常に綺麗な上昇曲線となっています。期待値は約0.02%ですが、フィルタリングによってトレード数と期待値のバランスを調整可能です。

しかし、実際にこれをbot(自動売買)で回収するのはなかなか困難なのです。bitFlyerはサーバの遅延の影響で、意図した約定が難しい場合があるからです。ではbotでは回収できないアルファを回収しているのは誰なのか・・・?

1つの仮説としては「人間のトレーダーが回収している」というものです。不安定な局面では、人間が張り付いてトレードしたほうが有利なのかもしれません。デイトレで高い日次勝率を実現しているトレーダー達も、図らずともこのようなエッジに基づいてトレードしていると考えられます。

また他にも仮説はあるのですが、これ以上口に出すのは止めておきます。下手な水掛け論には意味がないからです。


5.おわりに

以上、否定的な内容が多かったかもしれませんが、私自身はBTC-FXに手を出してみて非常に収穫があったと考えています。それはやはり「お金」ではなく「経験」です。

APIを実際に触ってみてHFTまがいのアルゴリズム構築を経験できたことが何よりの収穫です。これは株式取引やFXでは経験できないことです。また、その過程においてフォロワー数も増加し本サイトの情報発信媒体としての価値も多少なりとも高まったことも収穫の1つです。

今後も継続してbotの改良を行っていく予定です。botでしっかりとした収益が出せるようになれば、損益曲線やトレードテクニックの公開を行うつもりです。