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そのトレードスキル、本物??

UKIです。
今回はちょっと煽りを入れたタイトルになってしまいました。比較的ライトな記事ですので気軽にお読みいただければ幸いです。

みなさん、最近トレードの調子はいかがでしょうか?絶好調という方もいれば、イマイチという方もいるでしょう。私は以前より「トレーディングは殆ど運ゲーである」と主張しています。トレーディングは少し勝ちが積もれば気持ちが大きくなり、「こんなん絶対負けないじゃん」「もう会社辞めてもいいんじゃね?」というふうに思ったりします。

ではそのパフォーマンスが本当に実力なのか、それとも運なのか切り分ける方法はないのでしょうか?これを統計的に確認する方法はいろいろあるのですが、今回はその中でも簡単な「ブートストラップ法」について紹介します。時間のある方は是非とも試していただければと思います。今回、ブートストラップ法についての詳細説明は割愛し、その手順だけを紹介します。本理論に興味のある方は以下のリンク(wiki)や参考書籍をご参照ください。

ブートストラップ法(wiki)

参考書籍:テクニカル分析の迷信
     ※非常に高価な本ですので購入はお勧めしません。


STEP.1 トレードの損益データを用意する

ご自身の直近のトレード損益をエクセルで準備します。以下、注意点です。

・できるだけ多くのデータを準備します。少なくとも100件は必要です。
・これらの損益は、仕掛け方や保有時間など、できるだけ同じ条件に基づいたトレードであることが望ましいです。
・損益の単位は%でも円でも構いません。全て同じ単位で統一してください。


STEP.2 バランスカーブと平均値を確認しておく

ここでは、一例としてある損益を準備しました(乱数で作りました)。バランスカーブは以下の通りです。

サンプル数は100件です。かなりいい感じのバランスカーブですね。トレードの初期では少しヨコヨコですが、途中からグングン右肩上がりになっています。トレードに慣れてきてコツが掴めてきた、というところでしょうか。
損益の平均値=1トレードの期待値は+0.185%あり、申し分ないでしょう。


STEP.3 ブートストラップサンプルを作っておく

ブートストラップ(復元抽出)するためのサンプルを作ります。個々の損益からSTEP.2の平均値を引いておくだけです。L列とM列に作りました。M2セルの数式に注目してください。以下のような単純な式ですね。

M2セル:=B2-$E$16
M3セル以降はM2セルをコピペ


STEP.4 復元抽出のサンプルNoを取得する

O列に以下の数式を入力します。

O2セル:=ROUND(RAND()*99+1,0)
O3セル以降はO2セルをコピペ

数式の説明ですが、RAND()は0~1の乱数を生成します。
従ってRAND()*99+1は、1~100の乱数を生成します。
ROUND(***,0)を使って小数点以下を四捨五入して整数にしています。


STEP.5 復元抽出した損益を取得する

STEP.4で得られたサンプルNoに従い、VLOOKUPを使って損益を取得します。

P2セル:=VLOOKUP(O2,L:M,2,TRUE)
P3セル以降はP2セルをコピペ

数式の説明ですが、O列に表示されているサンプルNoの損益をL:M列から取得してきます。

最後にR2セルに復元抽出した損益の平均値を計算しておきます。

R2セル:=AVERAGE(P:P)


STEP.6 STEP.4~5を繰り返し行う

実際の作業としては、エクセルに何か入力するとRAND()の数値が変化するため、STEP.4~5が半自動的に行われます。その都度、R2セルの損益平均の値を記録しておきます。
マクロを組める方は1000回くらい試行すればよいでしょう。マクロを組めない方は、都度コピペを繰り返して100回くらい試行して下さい。数分で終わる作業です。
今回は中間をとって200回ほど試行しました。


STEP.7 結果を検証する

さて、ここからが本番です。
E16セルで計算している実際のトレードの期待値と、復元抽出を繰り返したときの期待値群U列の最大値とを比較します。

実トレードの期待値:0.185%
復元抽出群(200試行)の期待値の最大:0.246%

結論として「この方のトレードスキル(実力)は幸運に対して勝っていない」と言えます。

今回の試行を簡単にまとめると、
 ・期待値が0のトレードを、
 ・200人が繰り返すと、
 ・運の良い人は0.246%の期待値を得ることができる。
 ・すなわち、期待値0.185%では実力か運か判断できない

確率分布から考えると、「期待値0.185%では全く実力がないとは言えないが、絶対に実力があるとは言えない」といったところでしょう。


おわりに

簡単にまとめてしまいますが、直近でいい成績が出ていてもそれを自分の実力と勘違いするとひどい目に合う、ということです。市場は水物であるためなおさらです。
確率的な思考を忘れず常に気を引き締めてトレードに向かう姿勢が大事だと考えています。

おしまい。