ウサミツヨシ

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最近の記事

IPOへの苦難の道 ~33~

-Ⅰの部の作成上の注意- いや~、今回はめでたい記事でもあります! 長らく関与していたクライアントがついに!ようやく!やっと!上場することになりました! 僕自身も3年近く上場から遠ざかっていたので、久々に上場できて感無量です。 他の案件も結構ピークが重なって、8月が結構地獄でしたが、なんとか乗り切ることができました(笑) ってことで今回特にⅠの部の作成上の観点から東証からご指導を受けた事項について、語っておこうと思います。 あ、ちなみにⅠの部とは上場後は「有価証券報告

    • IPOへの苦難の道 ~32~

      -稟議とは一体- 最近「稟議」とは一体何だ?を考える機会が多かったので、それについて書きたいと思います。 というのは、稟議って結構実際に実行した後に稟議が回って事後に決裁(俗にいう「事後稟議」です。)されることがどこの会社でもちらほら見られます。 実はこの事後稟議は結構厄介でして、IPO審査上、厳しめに見られます。 実際に東証の審査でも過去2年ほどの事後稟議の件数、発生理由、それぞれの再発防止策について聞かれたりしております。 てことで、なるべく事後稟議となるものを減

      • IPOへの苦難の道 ~31~

        -社内規程のおそろしさ- いやー、規程っておそろしいですねー。過去に自分が作った規程に牙をむかれました。ブーメランです。 今回は規程のちょっとしたこういうところに注意しようという部分について解説します。 まず、”規程とは何ぞや” というところですが、規程は会社のルールです。 ルールがないと皆好き勝手やっちゃうので、組織は上手く回らなくなってしまいます。 ということで会社には必ずルールとして規程が定められています。皆さんも会社の規程というものを是非確認してみましょう。 結構

        • IPOへの苦難の道 ~30~

          -経営者の覚悟- IPO業務に携わり始めた皆さん、これから携わろうとする皆さん、 一体何から始めますか? これまで数々のIPO案件に関わり、辛酸を舐めさせられたこともある僕の経験上オススメしたい最初の一手は、 ずばり 関連当事者取引を調べよう! です。 よく規程から制定していきましょうという人も多いです。確かにその通りです。 …が! そんな形式面を整える前に、物事の本質をまず見極めにいきましょう。 何を隠そう、この関連当事者取引調査、 経営者のIPOへの覚悟を

        IPOへの苦難の道 ~33~

          IPOへの苦難の道 ~29~

          -ストック・オプション発行実務- IPO準備会社が必ず発行すると言ってもいいストック・オプション(SO)。新株予約権とも言われるが、今回はその発行の実務と注意点について解説します。 まず「SOとはなんぞや?」ですが、簡単に言うと「自社の株式を割安に買える権利」のことをいいます。 上場する前の株価が低いタイミングでの株価で株式を買うことができる権利が与えられるため、上場した後に権利行使することで、市場よりも低い価額で株式を取得することができます。 SOについては無償での発

          IPOへの苦難の道 ~29~

          IPOへの苦難の道 ~28~

          -J-SOXのリスクアサーションとは- 最近よくJ-SOX業務やっとります。 やっててつくづく思うのは、"なんか明確に決まったルールもないしふわっとした業務だなぁ"です。 特にリスクの判断の部分! これ完璧に個人の判断によって変わります! なので、J-SOX業務をやられてる方は自信を持って言ってやってください。 「これが私にとってのリスクだ!」と。 特に僕がよく迷うのは、実在性と網羅性の部分。 あ、ちなみにJ-SOX上は以下の観点からリスクを識別します。 ・実在

          IPOへの苦難の道 ~28~

          IPOへの苦難の道 ~27~

          -報連相の大切さ- この仕事をしていると報連相の大切さに気付かされることがよくある。 今回はクライアントの報連相の渦の中に巻き込まれた経験を踏まえて報連相の大切さについて解説したいと思います。 ところで、皆さん報連相って知ってますよね? 社会人になったら真っ先に習うことかと思います。 社会人の祈りの言葉「ホウ・レン・ソウ」 そう 「報」=「報告」 「連」=「連絡」 「相」=「相談」 のことです。 大体IPO目指す会社に関わると必ずこの当たり前のことを一切やらない人が1人

          IPOへの苦難の道 ~27~

          IPOへの苦難の道 ~26~

          -審査における過去の資料の大切さ- いやー、久々の更新です。 ちょっと忙しくてという言い訳をしてみたりしてみなかったり。。笑 ということで、今回は 審査対応における過去の資料の大切さ! について、最近改めて感じたことを書き留めておきたいと思います。 IPOの証券審査や東証審査に向けての申請資料で誰もが頭を悩ませ苦しみながら作る資料の筆頭がⅠの部、Ⅱの部と呼ばれる資料となります。 審査質問はこのⅠの部、Ⅱの部を審査官が読み込んで疑問に思う事項について作られていきます。

          IPOへの苦難の道 ~26~

          IPOへの苦難の道 ~25~

          -関連当事者取引の追認- IPOを進める上でよく論点になる関連当事者取引。基本的には取引の妥当性、公平性を害する可能性があるため会社法でも取締役会の承認が求められます(明確には利益相反取引より広い概念ですが)。 IPOを目指す前は会社法のそんな規定を知らないケースがほとんどのため、取締役会で承認されずに関連当事者取引が行われていることが多いです。(まぁ、株主も身内で固めていることがほとんどのためあまり影響はないんですが) IPO上ではすでに行われている関連当事者取引について

          IPOへの苦難の道 ~25~

          IPOへの苦難の道 ~24~

          -在外子会社の反社チェック- IPOを狙う会社については反社チェックはつきもの。国内であれば暴力団排除条例等により、取引先に対して反社チェックは行う必要がありますが、国外においてはそのような条例に類するものがない場合等で取り扱いに困ったりします。今回は海外子会社の反社チェックについて解説します。 さて、それでは海外子会社で反社チェックはどうするかですが、実際に僕が経験した2パターンを紹介します。 パターン①・・・緑の証券 海外子会社の役員の反社チェックのみ。 パターン

          IPOへの苦難の道 ~24~

          IPOへの苦難の道 ~23~

          -経理機能の大切さ- 最近改めて"経理が出す数字って大事だな"と思うことがあったので、IPOにおいて経理がどれほど重要な役割を担っているのかを解説したいと思います。 僕自身も色々なIPO準備会社に関わる中で、やはり経理の部分にも関わる機会が多いですが、IPOを目指す会社って中小企業の会計なので基本ボロボロです。 そのボロボロの感覚に慣れすぎていました。 いやぁ〜、慣れっていうのは恐いですね〜。 ちなみに上場を目指す場合は金融商品取引法に則った数字を決められた期間に出せ

          IPOへの苦難の道 ~23~

          IPOへの苦難の道 ~22~

          -監査等委員会設置会社への移行- 株式会社の組織機関の変更っていざやろうとするとどうしたらいいのかわからない事項が多いかと思います。 今回は監査等委員会設置会社の移行について解説します。 ちょうど最近監査等委員会設置会社への移行のお手伝いしたので、自分のアウトプットのためにも手続きと注意点について語りたいと思います。 ではまず何したらいいかですが、具体的には下記です。 ①株主総会の開催 ②取締役会の開催 ③監査等委員会の開催 それではまずは①株主総会の開催についてを

          IPOへの苦難の道 ~22~

          IPOへの苦難の道 ~21~

          -予実差異管理- 予実差異管理、、読んで字の如く予算と実績の差異分析を行おうということですが、意外ときちんと出来てない会社が多いので、今回は予実差異の管理について解説したいと思います。 ではでは、何故そもそも"予実管理が必要か"ですが、 上場会社になった場合は会社の業績予想を投資家に開示しなければならないわけです。 ということで、投資家に「なんで予想とズレたんですか?」と聞かれたときに 「なんかわからないですけど、ズレちゃいました」 なんて言えないわけです。 もちろ

          IPOへの苦難の道 ~21~

          IPOへの苦難の道 ~20~

          -反社会的勢力のチェック- 反社、反社と厳しく取り締まられている昨今、IPO上も厳しくチェックされております。今回はIPO上における反社チェックのポイントについて解説します。 まず大前提ですが、IPOにおいては反社との繋がりは認められないので、もしグレーな取引先があれば取引の解消が求められます。 僕の経験では、ちょうど某赤い証券会社の審査機関中に反社チェックの状況の質問を受け、某赤い証券が引っ掛かったが、IPOの関係上は取引の継続をすることで取締役会の承認を得たという形

          IPOへの苦難の道 ~20~

          IPOへの苦難の道 ~19~

          -関連当事者取引の整理- IPOの準備段階において関連当事者取引は証券会社から解消を求められます。 今回はその関連当事者取引の整理について解説します。 そもそも関連当事者取引とはなんたるかですが、 これは「関連当事者取引の開示に関する会計基準」で定義されています。 簡単にいうと会社の役員や主要な株主とその親族が会社と行う取引のことをいいます。 この人たちは、会社の意思決定に少なからず影響力を持つ人たちという感じです。 ではなぜこの関連当事者取引の解消を求められるかで

          IPOへの苦難の道 ~19~

          IPOへの苦難の道 ~18~

          -未払残業代の精算- 皆さんの会社は残業代はきちんと支払っているでしょうか? 僕が今まで関係した会社で残業代をきちんと払っていた会社はほとんどなかったです。 今回はIPOを目指す際に論点となる未払残業代について解説します。 さて、まずはIPOを目指すならどのような労務管理を求められるかですが、 大体下記の事項を証券から依頼されます。 ・勤怠時間は1分単位で管理 ・過去2年間(2020年4月以降発生の未払残業代は3年間)にわたって従業員(退職者含む)の未払残業代の精算 ・

          IPOへの苦難の道 ~18~