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ガチャの歴史と終焉までのXデー【ゲーム運営】

2018年ぐらいから徐々に加熱してきている、海外で話題にされている【ルートボックス】(ランダム型課金アイテム)に関するの話題です。

「ルートボックス」とは?

「コンピュータゲームにおけるルートボックス (loot box)とは、ランダムに選択される更なる仮想アイテムを得るために消費可能な仮想アイテム」のことです(wiki引用)。


オンラインゲームでのガチャ文化の重要度について

ルートボックスは一般的にデジタルゲームにおける【ガチャ】に該当するもので、ランダムで仮想アイテムなどを入手する仕組みのことです。ではなぜこのガチャが禁止になるほど話題になっているのかについて、この記事では触れていきたいと思います。


【1】「ガチャ」の定義

日本でのサービス例をベースにご紹介いたします。ちなみに「ガチャ(NHN Japan社の商標登録)」と、「ガシャ(バンダイナムコ社の商標登録)」は明確に異なります。ここではデジタルゲームにおける「アイテム課金販売方式」における「ガチャ」について触れていきます。

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【2】ガチャの始まり

では実際「ガチャ」はどこのタイミングで導入されたのか、その走り、考えはどこから来たのかについて順番に触れていきたいと思います。

【3】ゲームで存在するビジネスモデル

一般的にゲームの課金方式は主に5つ存在します。
※複合型は記入していません。

A:パッケージ販売
B:月額課金
C:従量制課金
D:アイテム課金
E:シーズンパスなどのサブスクリプションモデル

そのうち、使った分だけ課金がされるという「C」の従量課金モデルはほぼ存在しなくなりました。

従量制モデルは過去、インターネット自体の利用時間や利用方法に制限があった時代のビジネスモデルと相性が良かった点はありますが、今やパケットも使い放題、ネットも自由に使えるということが当たり前になったので、今の時代にはそぐわないビジネスモデルとなり、ほぼ存在しなくなりました。

昔はダイヤルアップ、テレホーダイでゲームをプレイしたりしていました。Dreamcastのバーチャロンとかガンダムとかまさに従量制課金モデルの走りだった気がしますね。


【4】アイテム課金発展の歴史と理由

「D:アイテム課金モデル」は、アイテム1つがいくらという固定販売のケースもありますが、ガチャなどもここに含んでお話をしたいと思います。ではなぜ、ガチャモデルがこれほどまでにスタンダードになったのか。それはビジネスモデルとある国民性などにも影響を受けたことが原因です。


■日本発のガチャ課金は「メイプルストーリー」

ちなみに、「アイテム課金は、2001年9月に韓国と中国にてリリースされた韓国MMORPG『The Legend of Mir 2』が、アバター用の服装のアイテムに課金制を敷いたのが最初のケースである。」とはwikiの談です。日本のオンラインゲームで実装されたタイトルが「メイプルストーリー」で、2004年4月だそうです。


4-1.アイテム課金が流行した理由「違法対策」

これは特に韓国、中国、台湾での事例をベースにお話ししますと、ゲームの違法コピーなどが国の問題として捉えられ、認証方式や収益手段の1つとして月額課金、従量制課金、アイテム課金を導入したことがきっかけといわれています。

これは日本国内でも少しだけ似たような現象が起きました。家庭用ゲーム、PCゲームも含めてコピーされる問題が大々的にニュースになったことがあります。日本のマジコン問題がゲームのコピー問題として大きくニュースなどでも取り上げられたことは記憶に新しいですが、いわゆるそういったゲームのコピー対策としての1つとして導入された施策と言われています。

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4-2.アイテム課金が流行した理由「集客目的」

こちらはマーケティング観点でのお話になります。今やオンラインゲームはダウンロード完全無料。その後の収益モデルはほぼアイテム課金が当たり前になっています。「FAINAL FANTASY」「ドラゴンクエストX」「PSO」「信長の野望Online」など、今でもパッケージ、月額制、一部ハイブリッド在りのゲームはありますが、それらはすべてビッグタイトルかつ伝統あるゲームで知名度もがっつりあります。ゆえにパッケージ+月額制などの少額決済でも商売が成り立つ、運営が成り立つモデルであると言えます。

それらと比較して、一般的なオンラインゲームはパッケージ販売を知名度は上記タイトルと比較しても比較にならないほど売れないケースがほとんどです。すなわちパッケージ販売をしても採算が合わない、赤字であるケースがほとんどです。そこで取り入れられたのが「基本無料」というマーケティング手法に合わせたビジネスモデルの誕生です。

ビッグタイトルはパッケージで6800円とか、PCだったら7800円とかを購入しなくてはいけません。今ではかなり格安でスターターパックとかで手に入ることはありますが(というか、今はほぼビッグタイトルも無料ダウンロード+無料期間がデフォルトにはなってきた)、オンラインゲーム黎明期の2001年~2004年頃、一人でも多くの人にプレイしてもらうために生まれたのが「プレイ無料」というサービスの始まりでした。これがめちゃくちゃキャッチ―で広告を打てばものすごく新規が獲得できました。

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【5】原則無料のゲーム、どこで回収をするのか?

じゃぁどこでお金を回収するのかという観点に戻ります。そうすると、上記のビジネスモデルのところに戻りますが、入り口は無料です。人はそこそこ入ってきます。が、ここでもう1つの問題が浮上してきます。

「月額課金」だと一人の収益上限に限界が出てきます。無限に人が入ってきたり、放っておいても人が入ってくるような知名度もない。そうだ、一人単価をアップしよう!

「アイテム販売」の始まりです。


【6】ビジネスモデルの基本

ビジネスとは、ゲームに限りませんが、
a:顧客数 × b:課金率 × c:課金価格 × d:継続率(LTV)です。

「a:顧客数」の確保が難しいオリジナルネームのゲームタイトルでは、家庭用ゲーム等やビッグタイトルと比較して広告での獲得コストが高くなりがです。じゃぁどこで収益を上げやすいのかに視点を移した際、努力で変えられるのは「b:課金率」「c:課金価格」「d:継続率(LTV)」の箇所になります。

結果どうなったのかといいますと、顧客単価が大幅にアップしたということでした。

通常、高い価格を払ってもらうのは、ファンサービスの1つという見方が捉えられます。パッケージやCDも似たような手法がありますが、中身は同じでも、パッケージが違ったり、特典が違ったりすると一人当たりの客単価がアップします。これに似たようなビジネスモデルをオンラインのデジタルケースで実践したということですね。


話を戻しまして「アイテム課金が流行した理由、その3」

4-3.アイテム課金が流行した理由「顧客単価の向上」

ここでこの理由が大浮上してきます。上記で記載しましたが、アイテム課金をすることで顧客単価が上がりやすくなりました。これに伴い1つの販売手法にさらにスポットが当たるようになりました。

「ランダム型アイテム販売」=ガチャ です。

運営ノウハウが年々蓄積され始め、その傾向は過激さを増し、常に常にガチャの姿形が変容し、アイテム更新頻度もアップし、それにあわせたイベントモデルやゲームデザイン、ランキングやギルドで競い合う対戦ゲームが登場するようになりました。


【7】ガチャモデルのメリットデメリット

〇メリット
ガチャモデルはメリットとしては、少ないユーザー数でもゲームデザインや手法次第で高い収益性を上げることができ、会社やプロジェクトとしては黒字化できるというメリットがあります。つまりは巨大資本でなくてもそこそこの収益性を確保できる工夫ができるという点が最大の強味です。

×デメリット
課金をしたくなるようなゲームデザインが似たような形式、フォーマットがデフォルトになりすぎたという点です。これにより課金しやすいポイント、課金設計をしやすいゲームデザインがある種一般化されすぎてしまい、オンラインゲームとして収益性の成り立ちやすさ、成り立ちづらさなどから、RPG要素の弱いカジュアルゲームの開発がやりづらくなったとも言えます。


【8】感情を極度にあおる、計算されつくされた
ガチャモデルの横行

さてガチャはもともと射幸心、射的性を煽るにはうってつけのツールではありますが、ここに収益性、ゲーム性を計算しつくして大問題になったのがいわゆる2012年のGree社によるコンプガチャ問題、他、ソーシャルゲームの異常なガチャの低確率設計でした。

当時大問題になったのは、リアルでも違法としている絵合わせの件であり、これがデジタル上でも実装されていたことが発端で、違法とみなされ、消費者庁等がざわざわしたことから、ガイドラインまで制定されたものでした。

今更突っ込む気もありませんが、このガイドラインは穴だらけなうえ、会社単位のローカルルールで運営するという極めてゆるゆるルールは今も変わりありません。当時、真面目に運営していた自分たちが本気で馬鹿を見たなという憤りばっかり感じていました。

それはさておきですが、この絵合わせの件や、確率表記をしないことが当たり前で通っていたオンラインゲーム、スマートフォンアプリ上で問題が多発。日本では自助努力によってガチャの確率表記を行おう的な活動が開始されましたが、しばらく沈黙する企業が続きました。

しかし、2017年、「ヨーロッパでガチャは違法じゃないか?」という件が起因して、スマートフォンパブリッシャーであるgoogle、apple側が規約にガチャ表記をすることを発端に、ようやく全タイトルでガチャの表記が行われるようになりました。


【9】渡るアプリはガチャばかり

「だってしょうがないじゃないかぁ」

いや、そんなこと言うてる場合かと。上記のように、ガチャはとりあえず確率表記はされているものの、いまだにそのビジネスモデルはほぼ変わらず進行しており、次から次へと新商品の展開。

イベントとの組み合わせが継続されています。まぁそれはそれで別にいいとは思いますが、路線変更をできないかといくつかテストケースとしてのビジネスモデルやゲームデザインにチャレンジしているゲームもぼちぼちでてきました。

できればそういうゲームや企業さんに本当に頑張ってほしいと思いますし、できれがさっさとガチャはなくして新しいビジネスモデルやゲームが出てきてほしいなというのが心からの願望ではあります。

ただガチャがあるからこそ面白いなというゲームもあるというのも忘れてはいけないです。ガチャってやっぱり面白いですし、レアアイテムをゲットした際って喜びは大きいです。ただそこにもゲームとしての限度があるなと思いますし、ファンでもっとお金を払ってもいいと思えるならば、別の手法論でファンの欲求を満たせるようなサービスが生まれればとも思っています。

【10】アプリからガチャがなくなる日は来るか? 

ガチャはギャンブル性、依存性が極めて高く、射幸心などをいくらでも煽りやすい点も1つの原因として、エンドユーザーにとっては依存性と破滅性が高いので、考慮すべきではないか?という話題が世界各所で継続して話題になっております。

また、ガチャやランダム型アイテム販売に関しては、カジノや賭博に該当するということで国として禁止されているケースも徐々に出てきました。

一方、日本に関してはこの辺り、特にデジタル、オンラインゲーム業界などについての法整備はいまだ緩く、ガイドラインも抜け穴のまま変わらず、法的拘束力もないものが多いままです。


■「ガチャは違法」なベルギーでスマホ版「どうぶつの森」と「ファイアーエムブレム」がサービス終了

しかし、アプリの世界では、アプリ配信のプラットフォーマーであるgoogle、appleがNGと言ってしまえば、それに習わないとリリースすらできないという状態になります。ゆえに、アプリの世界でガチャがなくなるのかどうかについては、Google、Apple先生次第というところです。

そしてこの2つの巨大プラットフォーマーの世界では日本だけでなく、世界のルールを鑑みた結果からルールが構築されていきますので、世界の動きが日本にも適用されるのは想像に難くないということです。
任天堂が2つのスマートフォン向けゲームをベルギーでのみサービス終了と発表しました。理由は、ベルギーでは賭博関連法に基づきルートボックスは違法であると認定されたためだとみられています。

上記のニュースが示しているところもありますが、欧州などはそもそもガチャは違法だろうという風習があり、それが浸透するのは時間の問題です。そしてそれはすぐに欧米にも浸透し、世界的にそのルールが適用されるのも……。


■ゲーム開発者はできればガチャを避けたいと思っている

一方で、ユーザー視点からは、ガチャに関する批判、不満が募りやすい時代になりつつあります。そのため、生粋のゲーム開発者などはできればガチャを組み込まないゲームデザインを作りたいと思っているっていう声はよく出る話です。


■企業側もガチャに代わるビジネスモデルを模索している

ここ最近、「これはガチャではありません」とか、「新しい課金モデルを組み込んでいる」とか、「ガチャがないアプリ」などがキャッチコピーなどになっているアプリもちらほらニュースで見かけることが多いかと思います。海外はガチャ禁止の地域もあり、世界はガチャが緩やかな規制対象になりつつある


■ガチャのルールを守るかは会社判断

アプリの世界では、Google、Appleの規約制定により、ガチャの出現確率表記が現状世界統一ルールになりました。とはいえ、おおざっぱな確率表記のみを行い、詳細な確率表記を行わないタイトルや、二重抽選のようなことをさせてあいまいにさせるタイトルはいまだに健在です。

実際問題、このルールは最低限の表記でプラットフォームの申請さえ通れば表記の詳細をするのかどうかは会社の判断にゆだねられていることになります。オンラインゲーム協会という団体が一応の細かいルールを設けてはいますが、そこを厳格に縛るルールは存在しておらず、排除制限等の権限もありません。

たとえば団体に入っていない会社のタイトルはそこは適用されていないことなどもあり、問題多数のままの状態がいまだ継続しているのです。なお、ガチャのルールでは穴の穴を抜きまくっている上場企業アプリも存在しているなど、いまだガチャサービスの闇が深いのは確かです。


【11】これからはガチャに代わるビジネスモデルが必須に

1つのタイトルには莫大なコストがかかりやすい昨今において、アプリを日本国内だけで利益回収するのは結構厳しい時代になってきました。

そのため、世界展開を視野にいれたサービス開発を行うことになってきます。しかし、世界はガチャへの目が厳しくなり、プラットフォーム側が禁止だといえばすべてのアプリからガチャが一掃されることになります。

開発側、運営側はその部分を意識してゲームデザイン、課金モデルの模索、検討開発が必須になる時代がくるかと思います。


【12】ガチャが禁止になればゲームジャンルは増える?

ガチャが禁止になれば、残念ながらゲームタイトルはかなり数が減ると思います。理由としては、開発費が回収できなくなるタイトルが数多く出てくるからです。少人数で収益を上げられる可能性があるのは特定条件で収益を上げられる手法がある場合です。またアプリに関してはプラットフォームの手数料がとても高いのも原因の1つとなるでしょう。

しかしその一方で、それでもアプリを作ろうとする会社、開発者は、今市場にないゲーム性やビジネスモデルにチャレンジすることを決意し、それにコミットした人が資金を出すわけですから、新しいゲームジャンルが生まれる可能性は高くなるかもしれません。


【13】結論とこれから

結論からですと日本においてはガチャモデルは今しばらく続きそうです。とはいえ、ある日突然、これは違法だ!とGoogle、Appleが規約を変更した瞬間にガチャを適用しているアプリがリリース禁止に追い込まれてしまいます。開発者側や各会社は今から次の手を考えておく必要性は必須であり、今後のゲームデザインとビジネスモデルを検討しておくフェーズであると言えます。

少なくともガチャを出す傾向はもう暫く続きそうではありますので、ガチャを回しても顧客満足度を高めることができる施策や、気軽にガチャがトライできるゲームデザインなど、各種楽しんでいただく設計を仕込んでいく必要があると思います。

それ以外では、ゲーム外の収益や満足度を高める工夫や、シーズンパス、固定販売、サブスクリプションモデルなどを取り入れて、ユーザー満足度を高めつつ、用途に合わせたサービスを用意していくことも大事ですね。


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