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なつかしのファンファン

出版業界の売上といえばデータを見なくてもその右肩下がりっぷりが想像できちゃうが、そんななかでも最近児童書だけは伸びているという話を小耳にはさみ、ググってみたらそれらしい記事があった。

Sourceはこちらの調査。書店販売における2006年と2017年の対比、かつ金額で、確かに児童書は確かにのびていたようだ。スナップショット、ネット販売は集計対象外、点数でも伸びているかという視点もあるし、「好況の背景には新人や個性派作家の活躍、子や孫へのプレゼント需要、教育的投資の増加、新規版元の参入など様々な要因がある」てことであればなおさら、諸手を上げて伸びてると喜べるほどではない感じもする。

なぜ、それに興味をもったかというと、正月に実家で過ごしていたとき、自分が子供の頃に読んでいた古い絵本にヨーヨーが夢中になっていて、やっぱりいいなあ~、と思ったからである。

義実家にも偶然同じシリーズがあって、そちらでも読んでもらっていたのは「ファランドール絵本」。海外の有名な絵本作家の翻訳版。既に廃版。

わたしやっぱり、動物を必要以上に擬人化した絵柄とか、漫画・デザインのような線と色で見せるものとか、大人受けを狙ったシュールなお話しとか、知育に凝ったギミック絵本とかより、こういう、繊細な筆致で自然豊かな世界が描かれている絵本が大好きなんだよなあ。

新しい絵本でもいいものは出ている筈だけど、今時書店には並ぶのって、分かりやすい本ばかりだよね。

エリック・カールやレオ・レオニも確かにいいけど、やっぱり分かりやすいのだ。分かりやすいから、みんながそれを買うから、書店も棚に平積みにする。しかし、本当の世界の豊かさちゅうものは、全国の本屋がはらぺこ芋虫を揃えることではないはずなんだ。

で、冒頭の話を思い出し、もし本当に児童書が伸びているなら良質な古典絵本を復刻する動きが出てきてもいいんじゃないかなんて思ったんだけど、

やっぱり、少子化という巨大津波が先に見えているなかで、この市場イイですよー、だれかやってえ!と声高に言うには、ちと弱かった。

とか考えているうちに、ファランドールではないけどこれまた子供の頃に特に好きだった絵本「ファンファンとふね」、デッドストックがAmazonで出てたので、値が張ったけど、つい、新年の大人買いをしてしまった。届いたのを読んでみたらやっぱりとても好きだった。それに、絵がめっちゃかわいい。ヨーヨーに読んであげたら、すごく気に入ってくれた。講談社さん、もう一度あのシリーズ、出して!

この素晴らしき世界が完全に失われてしまう前に、デジタル・ストックにできないものかしら…日本語版ともなると著作権とかのめんどくささの極みでどうにも手がつけられないのかな。

ねえGoogle、あんたがほんとに世界の知を司るというならば、このやわらかな心の原風景を、なんとか滅びから救ってはくれないか。





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