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帝国の崩壊

私がいつもいく美容室では、数年前から紙媒体の雑誌を置くかわりに、タブレット端末でd-magazineを見られるようにしている。

そして普段、雑誌を買う習慣のない私は、そこでまとめてファッションや髪型や化粧品のトレンドをパラパラ眺めるのだけれど、先日行ったときに、女性向けファッション誌の中の男性(イケメン)インタビューの特集記事で、肝心の肖像がグレー抜きの幽霊みたいな、異様な紙面(画面)になっていて「なんじゃこりゃあ?」と驚いてから、それがジャニーズのタレントだったので、そうか、ジャニーズはまだ電子媒体NGなのか。と思い当たった。

企業でマーケティングしてた時、タレント起用にあたって、事務所によっては「電子媒体への転用は別料金!」という設定があって、特にジャニーズは厳しかったような。しかしそれは10年前の話だよ?今のこのご時世で、それはあまりに時代錯誤だよ・・・終わってるな。

と思ったら、その数週間後にジャニー氏が亡くなられたという報道に触れて、実に、一時代の終わりを感じた。

で、その幕閉じを待っていたかのように「元SMAPへのTV出演に関して圧力をかけた」かどでジャニーズ事務所が公取の注意を受けたという報道。ジャニーズは否定しているらしいが、TVサイドのいわゆる忖度だったにせよ、あの騒動後の脱退メンバーの露出減は、疎い私でも察するくらい露骨だった

今年あたり、日本でもオンライン広告費がTV広告費を抜く見通しである。

私がGoogleに入社した2011年には、オンライン広告費は、まだ全体の広告費の1桁%しか占めていなかった。当時の毎年の対前年成長率から概算すると、確かに10年もたずにそうなるとはいえ、なんだか早いなあという気がする。

好景気なようで不景気な日本の企業広告予算のパイはそんなに増えてはいないであろうことを思うと、TVも大手代理店もいよいよ苦しい時代になったものだ。芸能に関するお金の潮流がガラッと変わってきているし、芸能界にもコンプラのメスが入るしね。

みんな、古いものに執着せず新しいものに目を向けなければ、いよいよ生きていけなくなりつつある。過去の産業革命も、こんな肌感覚だったのかな。

この生態系の大変動が一段落するまでにはまだしばらく混乱が続く気もするけれど、従来の潮目に乗ってイケイケで伸びてきたコンバージョンゲッターやデジタルエージェンシーも、これからが本当の勝負だね。

インテルの伝説的経営者アンドリュー・グローブが「パラノイアだけが生き残る(Paranoid Survive)」の原版を著したのは、今から20年以上も前の事。ジョブスもまだ失脚からの復活未明で、ラリー&サーゲイもザッカーバーグも無名だった時代。

私は新卒でアップルジャパンのサポート部門に配属されて、パーツPricingを担当していて、HDDの小型化とCPUの進化が等比級数的に進んでいるということの意味を、実務の上でリアルに感じていてその本を知ったのだけれど、比較的最近、日本語の復刻版が出ているようだ。今読んでもなお、なにかのインサイトに満ちているのかもしれない。

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