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ハイヒールをはくとかはかないとか

わたしは若いころは好んで7センチ以上のハイヒールをはいていた。だって足が長く見えるし、気分が上がるし。

しかし、あれは体に無用な負担をかけるものなので、妊娠を契機に履かなくなったらもう復帰できなくなって、皆、クローゼットに眠っている。

でも、最近、社則でハイヒールを強制するのを国として規制すべきとかどうとかいう議論を見て、それを就業規則に入れるような会社が実際にあるということのほうにびっくりした。慣習じゃなくて、強制?まじで!?どんな職種が一体ハイヒールでなきゃいけないっていうんだい?

というところからの連想でちょっと思い出したことを、書く。

それは、会社の中のえらい人(男)が自分の秘書(女)に対して、「これを読んで勉強をしたまえ」といって男性雑誌の秘書特集を渡して、渡されたほうは「失礼極まりない!」と、裏でめちゃくちゃ憤慨しているというシーンである。

チラ見したその記事というのは「出来る男を支える、出来る女(※美女)」みたいな特集だった。記憶では「月刊秘書」みたいな露骨なタイトルだったけど、検索してもヒットしない。GOETHEの秘書特集が近いイメージだよ。

秘書とは確かに、常に上司の希望をそつなく先読みして、さりげなく気づかい、無理も手配し、接客の際には会社の顔として美しく立ち振る舞うことが求められる仕事であるに違いない。(であったとしても、別にハイヒールでなくてもよかろうとは思うが)

しかし、これは、例えば営業課長が新人にコミュニケーション力の本を渡して頑張れと言うのとか、マーケティング部長が統計調査の本を渡して勉強しなさいというのとは、ちょっと違う。

100歩譲って、上司の思惑としては、その記事の中に書かれている純粋な「スキル」を求めていたのだとしても。

紙面がまず、抜かりなく装った美人秘書のグラビアをバーンと打ち出したものなのだ。インタビューの内容というのがまた「デキル男性とは・・・可能性を信じられる人だと思います!」的なんだ。・・・なんだ、なんだ。いや、ネタとしてはいいんだけど。

エグゼクティブ秘書のお姉さんたちというのは、常日頃より、気を使いまくりだし、美容と身だしなみにだって人一倍コンシャスで、そもそも素敵な人種なのである。(少なくともエクセルとにらめっこしていて化粧を忘れる私のような職種とはくらべものにならぬ)

なのにそんなもんを上から目線で渡されたら、比較されるなんて心外!屈辱!わたしが出来てないとでも言いたいわけ?何様のつもりよ!となる。それまであったはずのリスペクトさえも剥がれる。

男性諸君だって、女性の上司からファイアーマン・カレンダーを渡されて「こんな風に仕事のできる男になってね」って言われたら、えっ、って、思うよね。体を鍛えることも消防士の仕事に不可欠な要素であるにちがいないれど、意識が向くのはそっちじゃない。ちょっと極端だけど、受け取る側はそういう感じなんだと言いたい。

ジェンダー的な魅力を磨く系のことは、自分が好きで追求していたとしても、反対側から指示されたくはない。ましてや上司からって!

偉い人なのに、どうしてそんなことが想像できないんだろう?と(しかもそれは一組だけの話ではなかった)、プリプリしているお姉さんを目の前に「こりゃあ腹が立つねえ」と同情しながら、内心わたしは不思議だった。

特定のセグメントの夢・甘え・妄想全開なそういうコンテンツがあってはならぬとは言わない。そういうのが好きなら、浸るが良い。好きな者同士で酒を傾け語り尽くすが良い!

けれど、くれぐれもお偉方の皆さん!自分の秘書あるいは部下に「こうなって」なんておしつけないように。それ、無防備すぎ。

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