メメントモリ

新卒で入った会社の先輩が、早逝された。

長く会っていなかったが、社会人になりたての頃、その暖かい言葉や大らかな笑顔に励まされたシーンがいくつかあり、告別式に足を運んだ。

当たり前だけど、そこにはもう先輩はいない。

生前の彼を悼む皆のための会なのだ。

広い式場にも入りきらない、大勢の悲しみが渦巻いていた。

代表の方のあいさつで「色々、これから恩返しをしたかったのに、もうできない」というのがあった。

わたしは、先輩との関係においては、うけとる一方であったと思う。

返す先を失った「良さ」は、他に宛てて返していくしかない。

人柄や生き様や信仰の如何に関わらず、

死は等しく、皆におとずれる。

その時、自分は、

どれくらいの「良さ」の貸しを、世界に残せるだろうか。

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