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Winter Is Coming! - レヴィンソン

東京大学の柳川教授が唱える「40歳定年説」が、最近話題です。

急激な変化に晒された企業側が終身雇用制を維持できない状態になってきている一方で、働き手の人生は100年時代とか言われている。いい感じのライフ・キャリアを積み続けるために、40歳というエネルギーのあるタイミングで、一度、人生後半戦に向けて本格的に学び直しをするのは多くの人にとっていいことですよ、という話。個人的には大変共感できます。

ただ、この「40歳前後に自分と向きあうことが大事」という視点自体は、実は、目新しい話ではないんですね。

キャリコン学者リストのなかでは地味な方ですが、成人の発達理論においてはレジェンドな、ダニエル・レヴィンソンという心理学者がいます。

レヴィンソンは人生のステージを4つに分けて考え、それぞれのステージを春夏秋冬の四季に例えました。さら各ステージの間には、それぞれ4~5年間の「過渡期」が存在して、そこでは生活構造を根本的に見直すことが課題になるのだと考えました。(エリクソンの影響を色濃く受けています。)

その理論を図にまとめました。(こちらから大きい画像をDLできます

こうしてみると「人生100年時代って」…冬が長いね…。

レヴィンソンが特にハイライトしたのは、夏から秋にかけての「人生半ばの過渡期」です。

40歳以降の中年期(秋)と言うのは、身体が衰えに向かうことを自覚するようになり、外界との関係においても、長年かけて築いてきたものが、この先失われるのではないかという潜在的な恐れが生じます。

したがって、「人生半ばの過渡期」では、「若さと老い」「破壊と創造」「男らしさと女らしさ」「愛着と分離」などの葛藤と向かい合い、真の自分に統合していくことが大事だというのです。

ところで、今回このコラムを書くためにちゃんと調べるまで、わたしはレヴィンソンは中年男性に特化した研究をした人なのかと思っていました。

なぜわたしがそんな誤解をしていたかって、レヴィンソンはその有名な理論を「男の人生の季節」(The Seasons of a Man's Life)と言う書籍のなかで述べていたからなんですね。

それで、なんとまあキラキラ感のないテーマ選びかとひそかに感動していたのですが(だってそのセグメント、子供でも女でも年寄りでもないってわけで、ないがしろにされがちですよね。)実際は、レヴィンソンは35歳‐45歳の男女にインタビューを行って、基本的な発達段階に男女の違いはないと考えていたようです。(ただし、”dream”には性差が出ると言っていました)

彼は、シリーズものとして「女の人生の季節」(The Seasons of a Woman's Life.)を書く途中で亡くなってしまっていたんです。最終的にそちらは奥さんが仕上げて世に出したようですが。

とにかく、転職を考えるにしてもしないにしても、男も女も等しく、「40歳前後での自分の棚卸しは大切」というわけです。

レヴィンソンはそれを秋を迎える準備として説いたわけですが、人生100年時代となると、長い冬に備えるために、いや、願わくば、豊穣の秋をできるだけ長く楽しむために・・・より真剣に考えたほうがよさそうだよ。

Winter Is Coming!(by GOT)


どちらさまもハッピーなライフキャリアを。


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