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Usual Suspects

カルロス・ゴーンって、何十億の役員報酬を偽ったり、何億円もの個人の別荘を買って子会社投資と偽ったり、何千万円もの経費を流用して家族旅行に行ったり?ニュースを聞いた寸感は、よくこれまで表に出なかったもんだね、だったのですが、何しろ彼ってトップに君臨して長いし、NISSANの財務諸表上はその金額はマテリアルではないし、腹心の関係者意外はその証拠に触れる人もいなかったんでしょうね。

彼は、自分がそれだけの価値を会社にもたらしたと思い上がっていたのでしょう。内部告発で発覚したと聞きますが、それがなかったら彼の独裁は続いたかもしれない。翻っていうと、スケールは違うけど似たようなことをしている人は、世の中結構多いと思います。

国籍職種を問わず、高潔な人はどこまで偉くなっても高潔であるし、倫理観の緩い人はあらゆるレベルでフラウド(不正)を働く。

会社員を10年以上している人なら、ああ、うちの社長もセコいレベルで同じことやってるわとか。この同僚、今は権限ないけど偉くなったら絶対に調子に乗るな、とか。浮かぶでしょ、顔。

パフォーマンスについての本人の自覚と客観的な評価のバランスの問題もありますが、そういう人が上に着座してしまった組織の現場には、なんともいえない閉塞感が漂います。権力を持つ人が、普通以上に高潔な倫理感を持つことは、大事。すごく大事。

実は、この、トップの倫理というものについて、わたしは長らく執着的な個人的関心を寄せ続けています。内部統制そのものではなく、リーダーの倫理観と企業パフォーマンスの関係について。

前職でAccounting&Compliance部門にいたときには、幅広い企業コンプライアンスや企業ガバナンスについての外部講習を受ける機会がありましたが、それらは堅苦しいくせに肝心なところがふわっとしていて。知りたいのは、そっち…仕組みがどうという話じゃないんだな、と思いました。

目下マイブーム(?)のキャリコンの試験範囲には、モチベーション理論・リーダーシップ論もいろいろあるのですが、ブレーク&ムートンの「マネジリアル・グリッド」も、フィドラーの「コンティンジェンシーモデル」も、ポーター=ローラーの「期待理論」も…わたしのもやもやに答えてくれる学者さんは、いまのところ見つかっていません。

今回、詳しい内容スルーですみません。リンク先読んで試験対策してね。

なんかいい書籍や理論を知っている人がいたら是非教えていただきたいけれど、倫理の問題はそもそも、捕まえる傍から逃げていく The Usual Suspects (皆さんご存知の容疑者)ってことなのかな。

個人的な手触りの話だけど、職位が高いのに高潔すぎて不器用なくらいの人に出会うと、脊髄反応で全面的応援に回りたくなります。逆の人を見ると「なんでそうなった?」という疑問と好奇心で、気持ち悪いのに横目でチラチラ観察しちゃう。ま、どちらも特異点だけど。

楽観的なことを言えば、時代の変化の中で、対話型とか風通しのよさとかが今後の企業の存続条件になっていくならば、会計制度やコンプライアンス・システムの網の目をかいくぐるこの手の倫理違反も、成り立ちにくい方向に進むのかもしれません。

どなたさまも、ハッピーなライフキャリアを。

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