【Rush Gaming 振り返りシリーズ③】Rush Gaming CoD部門の「お金」の話

お金の使い方に見えるチームの意志
人や組織は、とにかく金使いに思想や考え方が出ると思います。良いとか悪いとかではなく、特徴としてあらわれる。何も考えていない場合は、何も考えてないということが伺えるし、考えてる人にはその考えが出る。
ということで、Rush Gamingという組織、元をたどればWekidsという組織の、お金についての考え方、また選手やスタッフの待遇等について参考までに書きまとめようと思います。

お金は資源なので、資源をどう配分して今後発展しようと考えてるのか自分なりに述べる事で、私のような若造に対して苦言や助言をしてくれるスーパーマンに出会える事にも淡い期待を抱いています。(通年仲間を募集中です)また制度や待遇などをある程度明らかにすることで、Rush Gamingに興味を持ってくれる人財が増えてくれたら、本望です。

最初に前置きしますが、間違った事もたくさんあると思いますし、去年は正しいと思っていたけど微妙で今年変えることを決意したことも多くあります。また今年の制度設計も、これはうまくいかない、と思ったらまた変えます。柔軟にこのあたりは変えてく予定です。またあくまで、しがない中小企業で、多くの予算がなく、言ってしまえば弱者の立ち回りであることを念頭に、何か参考になれば幸いです。

前提となるビジネスについて
eスポーツクラブの収益源は主に4つ、①パブリッシャー様からのプロリーグ出演費(ゲーム単位で違う)、②パートナー企業様からの協賛費などを始めとする広告費、③タレントとしての出演費やスポットでの広告費、④ファンの方々から直接収益を上げるグッズ・チケット費などがあります。
でこれは去年からずっと変えていない方針ですが、最注力は④グッズ・イベントなど、ファンの皆様から直接お金を頂く部分です。ファンの皆様から直接頂戴した金銭に対して、それ以上の価値を提供することで積み上がる売り上げです。現在最も相性がよく喜ばれているのがアパレルで、今後は更にイベント等での体験価値提供も力を入れていきたいと思っています。

↓この子がご飯を食べさせてくれています。
https://wekids.stores.jp/

余談ですが、人気が原資となる部分は時間はかかりますが最も本質的だと思っています。弊社の理想売上構成は、パートナー協賛費:自社ECを、1:1あるいは1:2にすることで、去年ベースでは1:2、来年はこのままだと1:1に転じてしまいそうなのですが1:2に出来るよう、まずは提供できる価値を増やすことに注力したい今年です。

お金が本当にないときに、何に使うのか(使ったのか)
まず初期ですが、私達にとってRush Gamingとは、「スタートアップ」「社内ベンチャー」であり、0から何かを生み出す投資事業という位置づけでした。(程度は違えど今もそうです)
なので当然予算は本当に無く・・。Wekidsの利益を原資にして当然スタートさせますが、当たり前ですが予算なんてほぼないと思って始めました。お金なんて無駄に使ったら一瞬で消えます。なので、いかに少ないお金で、大きなインパクトを出すか。が最重要課題でした。(これやりすぎると人財流出しますので注意)
※前提になりますが、根本的に強いチームと最初契約して、それがベースでスタートしてるので獲得コストは一旦カウントしないでおきます。(実際はチーム契約に至るまで1年以上リーダーのGreedZzにスポンサーしていて、そこからの元チームとの関係性があるので、普段から人財投資をしていることが大事だなと思いつつ)

今も昔も変わらない予算の使い道
①生産性を向上させるもの、環境に投資する
選手やスタッフの配信&練習環境、クリエイターの仕事環境に関する機材提供などは二つ返事で購入し、提供or貸出します。例えばですが、ウェブカメラやらマイクやらAdobeのソフトウェアの月額契約費やら、その他諸々椅子やら、人によってはMacBookやら最近だとPS4Proとか、あとはCoDだと毎月大概誰かのコントローラーが壊れますね・・
あとはスタッフ部門だと良いカメラとかレンズとかスペックマックスに盛ったMacBook Proなど。上げたらキリがないくらい他にもあって、結構毎月かかります。
※当然本当に必要なら、です。持ってるのにただ新しくしたいから新調したいです、みたいなのはあっても断りますが、基本そういうズルとか嘘とかつく人は誰もいなかったです。

衣食住がある程度担保されてることも、生産性の向上に繋がるとおもってるので、オフィス周辺の都内一人暮らしであれば家賃補助が月3万円、オフィスにくれば無料ランチ提供をしています。(提供が無い日は1回1000円までランチ代が補填されます)基本的にオフィスにくれば飲む食うに困らないようになっています。※これらは、Wekids社のシステムでもあります。

②魅力をアップさせる事への投資
ヘアサロン代は結構重要事項として捉えています()人にもよりますが大体1人1~2万円くらいかかります。髪の毛どうこうしてる余裕あるなら違う事しろよって思われそうですが、正直いって見た目は、このお仕事において相当関係性があると思っています。他、希望する人は、月1万円まで追加でジムにいったりだ、キックボクシングのレッスンを受けるだなんだという運動のサポートなどもここに入ります。その他毎月じゃないにしろ、ファッション関連のサポート(洋服やらスニーカーの購入など)も予算を決めて行います。

③コンテンツ制作体制への投資
①、②を頑張っても、これがないと全く意味がありません。チームとして選手の写真をとったり(プロの方にお願いしたり、自社でやったり)、番組を作ったり、動画やその他諸々を作ったりももちろんですが、更に選手本人たちがコンテンツ制作(ストリーマー活動)をやりやすいように、制作関連の技術指導、また一人ひとりの数字が伸びるように、助け合いながら組織的に取り組んでいます。そしてコンテンツ制作への投資とはそれすなわち、制作スタッフへの投資でもあります。であるがゆえに、制作チームとして働いてるスタッフへの報酬は優先します。

強いチームになりたいからこその、ビジネス
Rush Gaming は選手・ストリーマー兼業体制が色濃く世間に知られており、勘違いされやすく悲しいのですが、「YouTubeばかりやっていて強くなろうという活動がおろそかなのではないか」と外からは感じる人もいるようです。しかし、外国人コーチに少額ですがシーズンラスト3ヶ月30万円契約でアメリカから分析してもらったり、Wekids側の社員をつけたり、強さへの投資をしていないわけではないという事をほんのちょっとだけ言いたい()です。(勝っても賞金じゃビジネスにならないのに、です)
そして選手のみんなに、少しでも伝わればいいなと思うのは、コンテンツ制作部隊(動画や広報など)に投資してるのは他でもなく、それが長いスパンで必ず「強いチームを作る」に繋がり、選手が選手活動に集中しやすい環境作りに近づくからです。チームが人気になりビジネスがしっかり周るからこそ、そのチームには予算が生まれます。予算が生まれれば、良いコーチを雇う事も、獲得しづらい選手を獲得することも、はたまた海外での合宿などの練習機会も生まれます。選手に良い現役生活を送ってもらいたい、心の底から思えば思うほど、ビジネスとして現実的に持続可能性があるスキームを常に模索することは避けられない。Wekidsが無理して選手給与を優先し、他に予算をさいていなかったら、去年はよくても来年がない。去年のコンテンツ重視の戦略は、間違っていなかったと思っています。

選手の給与(チーム創設当初)
※コールオブデューティー選手に限った話です。
最初期のeスポーツ選手としてのベース給与は月0円でした。
ですがとはいえ当時から、上記で書いた福利厚生、保険やら医療やらも含めて、都心だと少ない人でも1人なんやかんやで月10~15万円くらいはかかっています。また、学生・社会人以外のフルタイムの選手は、日中は「自分が仕事をしていると認識がある時間は、時給1000円で勤怠表に記入すれば報酬が支払われる」というルールにしておきました。何が仕事で仕事じゃないのか、は結構認識のズレが多く、都度確認しあってもらったのですが大変反省点が多かった制度です。(なので年度の途中から辞めています)
例えば仕事に入る作業は、チームのブログを書いたり、全日の練習の振り返り資料を作ったり、チームとしてコミュニティに貢献できそうなノウハウ動画を作ったり、週に1回か2回くらい配信することなどです。
CoDプロチームは、選手への給与は基本自社で稼いで捻出しなくてはいけないので、かなりシビアです。ここは同じチームとはいえ、参加リーグ(ゲーム)にだいぶよるので、仮に弊社がLoLチームなりシャドバなりクラロワなりでやっていれば、当然リーグの予算次第でここは大いに変わる事になります。

選手の給与(中盤〜終盤)
スタートアップ最初期で売上がない時期は上述の通りですが、途中売上もたちはじめたのもあり、検討と紆余曲折を経て、全選手に月額制度の導入を試みました。おそらくこの時期が選手からしたら一番「うまー」な時期だったかもしれません。
選手によりますが、月15~25万円程度の固定給に、更に上述の福利厚生がつくという体制に変更しました。
奇しくも、直接的な関係性はないにせよ、チームとしては戦績が振るわずスランプに陥りはじめたのもこの時期で、金銭的な環境の向上が状況を良くしてくれればよかったのですが、突発的なこういうタイプのお金は、残念ながら多くの場合、問題の解決にはならないということを再認識した時期でした。

・・いえ厳密にいえば、こういうお金が問題解決にならないだけで、お金の制度で解決出来る問題は他にもたくさんあり、今年はそれを踏まえて制度をガラリと変えています。
この当時のお金に関する色々は、精一杯努力をしたつもりですが、至らぬことも多く、選手達には苦労をかけました。申し訳ない気持ちと、それについてきてくれたことには今でも本当に感謝しています。

とにもかくにも、去年までのRush体制、つまり全員に選手とストリーマーの1人2役を「強く」求めるがゆえに生じた不協和音がありました。
それら課題を解決し、新しい報酬体系に今年はチャレンジしています。

端的にいうと固定給制度をもう一度辞めます。

今年の新Rush Gaming(CoD部門)の報酬体系
※途中でまた破綻しそうだったら考え直しますが一旦これで走ります。

前回の記事で少し触れましたが、eスポーツ選手とストリーマー活動、それらの塩梅を、自分で選べるような、グラデーションをつけてあげる事にしました。YouTube活動を頑張るもよし、頑張らないのもよし、しかし頑張れば個人メリットが”増幅”するようなスキームにしました。また、”目指す理想”としての人気選手の給与設定も明確化してみました。それがこちらです。

Call of Duty チーム Eスポーツ選手
・基本月給なし
・福利厚生あり(※上述のため省略)
・その他インセンティブあり
- YouTube動画インセンティブ:Youtube広告料×0.5
※スパチャなどは入らない
- ストアクーポンインセンティブ:自身のクーポン利用数×500円
・賞金配分:獲得金額の1/6 (出場選手5+チーム1) ※会社も含めてみんなで分けよう、という計算

これはつまり、選手としての月給はないけれど、活動をする上での環境投資、福利厚生は受けられ、またYouTube活動を頑張る事もできれば、例えば自分で月5万円のYouTube広告売上があれば、2.5万円追加でチームがインセンティブを払ってくれる、というものです。
つまり、Rush Gamingに入るだけでYouTube活動による売上が1.5倍になるというメリットの提供です。そして月給払ってあげない代わりにといってはなんですが、超マジでメンバーの苦労が報われるよに、チームとして数字を上げます。ハセシン、グリードという2大ストリーマー(グリは選手兼業)がおり、そしてチームで必死にコンテンツづくりに投資してるからこそ、Rush Gamingに入り努力すれば、伸びる。そういう環境をこれからも作っていきたいです。チームを選ぶ側の選手にとって、Rush Gamingの魅力が「お金」ではなく、将来への希望とチャンスである事、それが私達の目指す理想の環境です。(事実、新メンバー2名は、彼ら自身の努力があってこそですが、入隊直前と入隊後では各種数字が2〜5倍に上がっています。

さて末尾に有料で、eスポーツ選手兼ストリーマー報酬体系を公開しました。条件を満たさないと契約できませんがキャリアとして成り立つ報酬制度だと思います。気になる方は、有料でご覧ください。

最後に
Rush Gaming CoD 部門には、本当に強いチームになってほしいし、必ず日本1位を奪還してほしいと心から思っています。本当に。しかし同時に、その私のエゴと、みんなの自尊心を餌に、生活の糧もなくゲームしかできないという人を生みたくないというのも、かなり強い本音です。なので学生には学校にいって学業を両立して欲しいし、社会人の場合は日中は程度こそあれど働く事をすすめます。また、Wekidsという親会社の環境を大いに活用してやる、という意気込みの人にきてほしいです。英語のプライベートレッスンが無料で受けられる(自分でやったら1レッスン1~2万円レベル)環境や、そもそもバイリンガルが多い環境の活用、デザインなどの制作などのスキルアップをしようと思ったらいくらでも先輩がいます。またWekidsでのインターン業務や、Rush Gamingの運営スタッフとしての仕事を経験するのもいいです。本気でやれば、かなり社会人経験になりスキルもつきます。少人数精鋭だからこそ、まだまだ活用出来る事は大いにあるはず。もしかしたら少々口うるさい社長がいるかもしれませんので、それは好みによります。うざいし練習にだけ集中したい、他のことはしたくないし言われたくもない、という場合は、この環境はおせっかいなだけだと思います。
一人でも多くのeスポーツ選手が、引退後も幸せであれるよう、なんとか今後も、努力したいなぁと思っています。

Rush Gamingのこと好きかも!応援!
という方は是非、新しいパーカーもみてみてください!笑
https://wekids.stores.jp/items/5bb590dc5496ff1ce800025a


Rush Gamingでは、本気で世界レベルを目指す選手とスタッフを、各ジャンルで求めています。(競技的にも、ブランド・ビジネス的にも!)
https://www.rushgaming.co/

▼以下有料

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【Rush Gaming 振り返りシリーズ③】Rush Gaming CoD部門の「お金」の話

ularatter 西谷麗(Ulara Nishitani)@Rush Gaming / Wekids

2,000円

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ありがとうございます!結構これが楽しみで書いてたりします!
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