従来のチームと異なる点

複数リーダーのチームリーダーシップ

現代のチームには、既存の目標ではなく、気づきや新しい発見によって変革目標を掲げなければならないという点以外に、もうひとつ従来のチームと異なる点があります。それは、リーダーがひとりだけではない、つまり、全員あるいは多数がリーダーであるという点です。

環境も複雑で、変化や多様化も激しい現代は、メンバー全員が多種多様な背景を持ち、それぞれが卓越した専門力をもっています。こういったチームを、ひとりのリーダーが率いることは不可能であり、むしろ、全メンバーの特性や専門力を余すところなく引き出せるような「潜在力を引き出すリーダーシップ」がチームの成長や変化には不可欠だといわれます。

図表:従来のチームと異なる点

相互リーダーシップ

リーダーシップの働きを端的に表す表現に、「行く先を決めて、行き方を保証する」というものがあります。つまり、リーダーは目標を定めて、目標達成できるまで必要な指導育成を行うということです。

目標の内容や目標達成に必要な指導育成内容は、リーダーシップのコンテンツであり、目標を決めるというステップ、目標達成までの行き方は、すべて手順でありプロセスです。そこで、リーダーシップには、コンテンツを示すという行動とプロセスを示す行動があることがわかります。このようなコンテンツを提供するリーダーシップは「コンテンツ・リーダーシップ」、プロセスを提供するリーダーシップは「プロセス・リーダーシップ」と呼んでいます(「行動科学入門」生産性出版、2005年)。

チームは、全員あるいは多数が、程度の差はあっても、それぞれの分野の専門家だと考えることができます。どのリーダーも自分の専門力が必要とされる場面々々で、コンテンツを示す行動をとったり、プロセスを示す行動をとることになります。

メンバーの間でそういった相互作用を通して、チーム活動に必要なコンテンツやプロセスを提供しあい、チーム目標達成に近付いていくことになります。それぞれが、ある場面では、コンテンツのリーダーであり、ある場面ではプロセスのリーダーであり、また、ある場面ではコンテンツのフォロアーであり、ある場面ではプロセスのフォロアーになります。

このように、メンバーたちがお互いにコンテンツやプロセスの専門力を出し合い、達成に近付こうとする過程は、メンバーたちがリーダーシップをお互いに発揮しあっている「相互リーダーシップ」の状態だと考えることができます。

チームレディネスを知るための2つの軸は、「意思決定」と「コミュニケーション」ですが、相互リーダーシップに対するチームレディネスは、チームにおけるそれぞれの「共有度」だと考えられます。

図表:相互リーダーシップにおけるチームレディネス

複数リーダーのチームリーダーシップより抜粋

リーダーシップを難しく考えずに、いつもの行動がリーダーシップ、「だれもがリーダー」学習を提唱しています。わたしたちが長年かけて培ってきた知恵と知識を拡めたいと思っています。