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フカヒレを戻して食べた日

後回しにしているものがめちゃくちゃ増えている。

例えば積み立てNISA。
若いうちから始めた方がお得と聞いたので25歳の時に口座を作るだけ作って、そこから5年間放置している。
放置理由にもこれといったものは無いのだが、強いて挙げるなら「なんとなく興味が無くなった」である。
昔から熱心に調べたり観たりしてた物に対して、突然興味がプツンと無くなることが多い。
積み立てNISAも一口も買うことなく新NISAが始まってしまった。

他にも任意保険。
一人暮らしでそれなりの年齢になってきたので安い物でいいから何か加入しようと思い立ち県民共済のパンフレットを手に取ったものの「痛風発症者は加入できまへん(意訳)」の一文を目にしたことで「こらあかんわ」と匙を投げてしまった。
痛風に罹っても入れる保険があるのかもしれないが、そこにかける労力も気力もない。

日々のタスクの消化に精一杯で、余力があったらやりたいことがどんどん積み上がっていく。
正義正義、今年で31歳。
余力どころか日々の生活のために必要なMPはこれから右肩下がりになっていくことは間違いない(HPではない、体力的な問題というより精神力の問題)

今のうちにこう、余力を増やすための訓練をしておくべきなのだ。
そう、なんというか、後回しにしてきたタスクを達成するという余力が無いとできないことをクリアすることで余力を使いこなせるようにならなくては…。


というわけで。


フカヒレを戻して食べることにしました。

こちらは昨年11月、出張先の気仙沼で購入した乾燥フカヒレとなります。
気仙沼といえばフカヒレ!と思い、軽い気持ちで買ってみたものの…。


戻すのに丸一日かかることが買ってから判明。

丸一日!?
調理にとかじゃなく食べられる状態に戻すために丸一日!?
この大タイパ時代に食べ物を戻すために丸一日!??

やれやれ、フカヒレという奴は只でさえ高級品なのには時間まで奪っていくのか。
こんな傲慢チキな野郎を私の胃に住まわす訳にはいかん!と意固地になって早数ヶ月。
置いておけば置いておくほどにフカヒレの重みが増していく。

ここはひとつ、後回しにしてきた事に手をつけるファーストステップとしてフカヒレを作るしかあるまい。
そもそも賞味期限もあるからいい加減手をつけないと…。

という訳でフカヒレを戻して食べるまでをまとめていく。


まずは中身を取り出してみる。


戻す前はこんな感じ。
カラッカラに乾燥させたエイヒレみたいなルックス。
匂いも魚介類特有の生臭さがほんのりと感じられた。
鮫は結構足が早いと聞いたことがあるけどフカヒレもその例に漏れず腐りやすいとかあるのかな。だとしたらこの匂い大丈夫かな。
流石に大丈夫か、乾物だし。


懸念もほどほどに、フカヒレ版桃園の誓いも済ませたところで早速戻し作業に取り組んでいく。


沸騰した鍋の中にネギとショウガ、酢を入れて弱火でじっくり煮込む。
ちなみにこの時、レシピ手順をちゃんと読んでいなくて10分くらい経ってから火を弱めて酢を投入している。
自分の適当さに嫌気がさしつつもフカヒレは不可逆、再び乾燥することはないのでこのまま調理を進めるほかないのだ。


40分後…(「28日後…」みたいに言うな)


エイヒレのようだった見た目が、一般的なフカヒレのイメージに近いルックスになってきた。姿煮に入ってる奴だよコレ。


とはいえ、このままではまだまだ食べるには固い状態なのでここから煮汁に漬け置き戻していくことに…。


冷蔵庫で寝かすこと半日…。


水を含んでよりフカヒレらしくなってきた。
コラーゲン感も見られるようになってきて、箸で摘まむとプルプルがわかる。
しかしこれはまだ完全に戻す前の過程の状態。ここから更に半日かけて完全な状態に戻していく。


ボウルを一旦開けてみると底の方にゼラチン質の凝りが。
まさしくコラーゲンの塊である。これ掬って食べたら数日分のコラーゲンにはなりそうだ。
こんなところでも貧乏性が発揮されて困る。


器と水を変えて更に半日置いたものが…


コレだ…!!(1,2,3)



なんだか白舞茸みたいになってしまった。
急に庶民的なルックス。いや、マイタケも大好きなんだけどさ。


まあ何はともあれ無事フカヒレも戻せたのでここからはフカヒレを戻す作業に取り掛かっていく。
それにしてもこんなダイレクトに商品画像を載せてしまっているレシピも珍しい。

まず一品目は「フカヒレの姿煮」
フカヒレと言えば姿煮、姿煮といえばフカヒレ(カレイでも可)
フカヒレ知らずして憤らず、また君子ならずや。
ここはまずベタを知っておこう。


鍋に水、中華スープの素(レシピの写真は創味シャンタンだったが我が家は香味ペースト派)を入れて沸騰させ、フカヒレを入れた後にオイスターソースを加える。
フカヒレ自体には味は無いと思われるのでここはしっかり味付け。


軽く煮えたら水溶き片栗粉でとろみをつけて、仕上げにごま油で風味付けすれば完成!
時短の為に小松菜(チンゲン菜の代わり)も一緒に煮込んじまえ。


続いては「フカヒレスープ」
市販のフカヒレスープにフカヒレをぶち込むというドーピングを図ります。


コイツぁもう至ってシンプルに!
スープとかちてフカヒレ入れて卵入れて完成!!


姿煮と比べてフカヒレの所在が明らかにわかりずらくなっていますが、大丈夫です。フカヒレはちゃんとここにあります。



さぁ、我が家の食卓がやまだかつてない高級感あふれるものと相成っています。
これが100均の皿と100均の丼じゃなければもっと高級感があったのですが。

こうなりゃもうブルジョアジーな姿勢なんか持たずに貪ってやりましょう。
では、実食。


まずは姿煮から…!!




うーむ、なるほどなるほど…。

食感は所謂「ぷるぷる」としたコラーゲン然とした食感、というより「にじゅりにじゅり」とした歯触り。
コラーゲン系の弾みのある食感と繊維質な歯触りが混ざり合って独特の食感を感じる。
これが30年間宮城に住んでいながら知ることのなかったフカヒレの食感なのか。乾燥フカヒレだから実際とはちょっと違うかもしれない。そもそも煮込み方ちょっとミスってるし。
何はともあれ、新しく知ることが増えるのはいいことだ。


続いてはフカヒレスープを楽しもうと…。


いやフカヒレどこ?
溶けた?角砂糖と一緒に溶けた?


あったぁ!!よかったぁ!!
まるで土砂の中に落とした指輪を見つけたような気分。

ちなみに味は普通に美味しい中華スープでした。凄いねニチレイ。


という訳で、乾燥フカヒレを戻して食べました。
調理時間実質1日と2時間(実働2時間)もかかるフカヒレ料理作りでしたが、重い腰を上げて作ってみたことで「フカヒレの食感はにじょりにじょりしている」という気づきも得られました。
やっぱりやってみないと分からないことばかり。やる後悔よりやらない後悔。人生挑戦とは言ったもの。


という訳で、これから5年間放置し続けた積み立てNISAをそろそろ始めようと思います。
まずは銘柄の調査から…。


以上、「フカヒレを戻して食べた日」でした。
ありがとうございました。


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