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風と氷の大地を歩く | 世界の果て、パタゴニア #01

この旅行を企画したのは私ではなくて山好きの家族だった。

バカンスは海派で、せっかくの夏休みならとりあえずビーチに寝そべってこんがり焼けるのがいいと思っていた私は山にあまり興味がなかった。山といえば林間学校で行ったくらいしか記憶になくて、だからこそ泥だらけの思い出しかなくて。

でも、今回の旅でそのイメージはぴかぴかに塗り替えられてしまった。

今回は世界中のトレッカーが憧れる聖地、パタゴニアに行った時の話。

アルゼンチンのブエノスアイレスから約3時間、エル・カラファテ国際空港に向かって降りていく飛行機の中。さっそくターコイズブルーすぎる湖が見えてきて目を見張った。

下調べをしなさすぎたのだけれど、まさか空港からしてこの様子とは。もしかしてパタゴニアってものすごい大自然なんじゃないかと期待できる。

空港からは車に乗って、まずはトレッキングの拠点となるエル・チャルテンの街へ。

車窓から見る第一印象は、まるで別の惑星みたいなところだなと思った。
無数の大小の丸い草が風に吹かれてころころ走っているし、空には見たことのないすじ雲がかかっている。

それに、さすが風の大地と言われるだけあって、常に風が吹き抜けて荒涼とした大自然が延々と続いていた。

初めて見る、別の惑星のような景色

一番奥にそびえ立っているのが今回の第一目的地、フィッツロイ。

ここがあのパタゴニアのブランドロゴになっている山でもあり、世界中のトレッカーたちが憧れる聖地でもある。

ちなみに途中絶景ポイントがあって一度車から降ろしてもらったのだけれど、あまりの風と寒さに、降りたことをすぐに後悔した。

空が明るくて夕方くらいの気持ちでいたのだけれど、実はもう夜の9時頃。パタゴニア地方では10時頃まで日が落ちないとのこと。
夜は冷え込みが強いのでウルトラライトダウンでは全く歯が立たなくて、震えながら絶景を写真に収めた。

フィッツロイを見に行くゆるトレッキング

フィッツロイをのぞむ山間の街エル・チャルテンは、世界中からトレッキング好きたちが集まる国際色豊かな観光地だ。

でも、トレッキングコースは頑張らずに楽しめる初心者用から用意されている。

山登りの経験がなさすぎて何時間がどのくらいハードなのかもわからなかったので、今回は1番軽い往復4時間のトレッキングに挑戦することに。

結論から言えば、これは良い選択だったと思う。

街の端にある登山口からゆるトレッキングをスタート。

はじめこそ上りが続くけれど、しばらく頑張ればなだらかで歩きやすい道になる。そして登った甲斐があって、すぐにこんな絶景が見える。

途中からは緑の多い木立が多くなり、森林浴しながら進んでいくとふと視界が開ける場所が。

フィッツロイだー!
右手前の谷には氷河がチラリと見えている

カプリ湖と呼ばれる湖越しに見える景色。
2時間ほどかけてこのフィッツロイを拝むことができた。

フィッツロイ周辺は雲がかかることも多く、近くてもなかなか顔を出さないこともしばしば。
この日もうっすら雲がかかっていたものの、シャッターチャンスを待ってようやく写真に収めることができた。

達成感もあって、山ってこんなに綺麗なんだなーと純粋に感動する。

左右反転だけどちゃんと同じ形

さて、この先さらに山に向かって進むコースもあるけれど、我々はここでUターンすることに。

玄人のトレッカーになるとそのさらに奥まで行くらしいけれど、初心者としてはこのコースで十分満足。(さらに奥の湖まで行った知人はそこまで景色は変わらないので手前の湖でも十分だったと思う、と言っていた。)

空気がからっとしていてベタベタ感も全くなかったし、泥だらけにもならないし、私が苦手としていたたくさんの虫たちもいない。

さらに、気持ちの良い疲労感と圧倒的な自然の美しさで、この時にはすっかり山もいいなあという気分になっていた。

トレッカーの聖地の山グルメ

行きに2時間帰りに2時間、往復4時間の運動をしたところで、お昼ごはん。

朝一でトレッキングに出発したのでお昼には少し早かったが、徐々に開き始めた街のレストランの1つに入ることに。

アルゼンチンといえばお肉が有名だけれど、首都から遠く離れた山間の街だとどんな食事が出てくるんだろう。わくわくしていたら、メニューに美味しそうなスープを見つけてしまった。

スープってありきたりでどこにでもある料理に思えるのに、実は自分が住んでいる国にはほとんどスープを食べる文化がない。

大好きなのに普段は全然食べられないこともあって、他にはほとんど目をくれずにこちらを注文した。

レンズ豆とお肉のスープ。かぼちゃ入り。
スープというか、具沢山すぎてもはや煮込み料理に近いけど。

昼間でも風が吹くと冷たい中、レンズ豆と根菜がたっぷり入ったスープはたぶん大正解だった。お肉もごろごろ入っていて食べ応えがあるし、一品でも大満足。そして山に囲まれて食べるとなんだか一層おいしい気がする。

ちなみに決まった名前はなかったように思うが、他のお店でも同じようなものをちらほら見かけたのでもしかしたらこの土地の郷土料理なのかもしれない。

食後にはホットチョコレートも。自分で溶かすスタイル、ちょっと嬉しい。

そんなわけで爽快なトレッキングを終え、おいしい山グルメも食べて山の魅力が分かってきたところで、エル・チャルテンでの日程は終わりに。

次回は、風の大地から氷の大地へ。
エル・カラファテを起点として大氷河を見に行く旅に続きます。

追記

想定内ではあったのですが、しばらく更新が滞ってしまいました…!

なんやかんやで何ヶ月も過ぎてしまったのですが、書きたい気持ちはずっとあり…。その間にも大アマゾンの旅などをしてきて、テーマはいろいろと溜まってます。

少しずつですがまた新しい記事を書く環境が整ってきたので、マイペースに書き進めていきたいと思います。

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