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マンガが、クラウドファンディングをするためのいくつかのノウハウと失敗について<後編>

前編では、スティーブズが、かかわった2つのクラウドファンディングの経緯と、リターンが滞ってしまった話を書きました。その続きです。

あれこれ描いて、報告して、発送して、という作業は、わかっているのですが、通常の仕事と並行してやろうとするとなかなかしんどい。クラウドファンディングの運営側もリターンの実行に関しては「がんばってください!」という他なく、まあ、なんとかするしかありません。
時間がないなら、まわりに頼もうということで、発送などの事務作業は可能なかぎり外注化し、散らかった進捗の管理のためにスタッフを雇いました。要するに編集者的な動きをしてもらったわけです。「いつまでにこれをやってください」「ここにサインをしてください」といった交通整理をしてもらうと、状況は少しずつ改善されていきました。
これでようやく似顔絵や外伝、広告漫画といったクリエイティブな部分に関しては、楽しく手を動かす心の余裕が生まれました。よかった……。
これからクラウドファンディングを始める人は、リターンのコストをちゃんと見積もった方がいいですよ。たぶん想定の3倍くらい。

そのリターンが、あるていど先が見えたところで、いよいよ現在、行なっている「スティーブズ完訳プロジェクト」の登場です。

Kickstarterは、アメリカのサービスです。昨年(だったかな? 今年?)から日本語にも対応していますが、まだまだ日本のユーザーは少なく、アウェイです。目標は33,000ドル。CAMPFIREさんやFAAVOさんであれば、中の人たちも知ってるし、日本のサービスである分、応援してくれる人たちも多く達成する可能性も上がるとは思います。まわりにもそう勧められました。ただ、ここはひとつ英語圏の人たちに通じるか試してみたくなりました。日本で多少なりとも知名度がある芸人さんなり、アーティストが単身渡米する心境に近いのかな、と思っています。

なにしろリターンの設定から難しい。作中登場権や広告漫画というのは、国内での知名度に頼ったリターンなので、アメリカでは期待できません。またクローズドなパーティなども、旅費交通費を考えると、ちょっと現実的じゃない。Tシャツなどといったグッズも海外となると発送の手間がかなり増える。使える手札がここまで少ないと、なかなかゾクゾクします。
あれこれ考えました。

・印税おすそ分け権
翻訳が終了後、Amazonなどで販売する場合、売り上げの1〜数%を得る権利です。投資した人が、強制的に中の人になってしまう点もおもしろいし、出版のビジネスモデルとしても、試してみたいと思いました。
ところが残念。この手の投機的なリターンというのは、KickStarterの規約で禁止されてます。

・自分で自分のプロジェクトに投資
話題作りと早期達成を兼ねて、やろうかと思ったのですが、こちらも規約でNG。実はこっそりやっている人もいるっぽいのですが、まさかこっそりやらなくちゃいけないほど、アンフェアな行為だとは思いもよらず、断念しました。

・米Amazonでの英語版STEVESの販売
2018年12月14日12時現在MANGA部門で8位です。それなりに読んでもらっているようなんですが、始めたのがつい先日。うっかりしました。リーチを増やすためにも、もっと早くから始めればよかったかな、とも思っています。

なかなかの逆境です。なので、いつにも増して、いただく応援の声が沁みます。

Only 70 hours!!
The goal is still far away. But the power from backers are with us ! May the Steves with you.

あと70時間!!
まだまだゴールは遠いですが、私たちにはバッカーの皆さんの力があります。「Steves」が皆さんと共にありますように。


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