お茶の試験_85度

お茶の温度は人それぞれ

台湾茶のいれ方をご紹介するときに、この茶葉は何度くらいのお湯で何分蒸らして・・・というお話をさせていただきますが、じゃあそれを守らなかったらどうなるの?と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そこで実験!お茶をいれるお湯の温度を変えた時に、どのくらい味と香りに変化があるか梅花さんちで試験した内容をお見せしちゃいます。

大人の実験気分で、ご一緒にお楽しみいただけたら幸いです。

3段階の温度のお湯で実験!

 用意したのは一般的な台湾茶、5gの茶葉を180ccのお湯で蒸らすことにしました。お湯は75℃、85℃、95℃の3種類を揃えました。

 上の写真が1分経過した時の状態です。

 一番左の、75℃でいれたお茶は茶葉がほとんど開いておりませんが中央の85℃とその右隣の95℃のお湯でいれたお茶は茶葉が開き始めているのがわかります。台湾茶は5gの茶葉で3煎くらいは楽しめるお茶なので、普通はこの辺りで1回お茶を注ぎきって2煎目のお湯に入れかえます。

1煎目は香りを楽しんで、2煎目からは移ろっていく味わいの変化を楽しむ、とてもゆったりとしたお茶なんですよ。

 今回は実験なので、このまま5分置いておきます。


5分後、茶葉はだいぶ開きました

 5分を過ぎるとかなり顕著で、一番奥(右)の95℃で煎れた茶葉はほとんど茶葉が開ききってお茶の中は茶葉でいっぱいになりました。中央の85℃はようやく半分といったところ、手前の75℃で煎れたお茶は5分経過してもまだ茶葉が開きません。

 このようにお湯の温度は茶葉の開き具合に大きく影響を与えるんです。
早速この状態で試飲をしてみました。

 飲んだ時の香りやお味については、好みもあるのでなんとも言えないのですが、75℃のお湯で蒸らしたお茶は青々しい香りが目立ち、味わいという面では劣ります。(お茶やさんの世界では「水っぽい」と表現したりもします)

 85℃で煎れたお茶は比較的味わいと香りのバランスも取れていて、爽やかなお茶を楽しみたい方はこちらの仕上がりも好まれるかもしれません。

 95℃、こちらが一般的に凍頂烏龍茶に薦められる温度ですが味わいがしっかりとしていて飲み応えがあります。逆に、爽やかな香りをもっと楽しみたい場合にはもう少し温度を下げて、例えば90℃くらいでもいいかもしれませんね。
 ちなみに東方美人や日月潭紅茶など、華やかな香りを重視するお茶は90℃を勧められているお茶やさんも多いです。参考にしてくださいね。

結局お茶の温度は何度がいいの?

 どのお茶も美味しく仕上がるベストな温度、というのは実のところありません。お茶の仕上がりは季節によって変化する気温や茶葉の量、さらには飲まれるかたの好みによって大きく変わるからです。

 時々「買った茶葉がハズレでした・・・」というようなお話も聞きますが、もしかしたら煎れ方をかえてあげることで美味しくはいるようになるかもしれません。ハズレを引いてしまった~とガッカリする前に、実験気分でいろいろ試してみるのも楽しいですよ♪

 これは一例ですが、台湾茶をいれる時の温度はだいたいこんな数字が目安になっています。

・中~重焙煎の味わいのしっかりしたお茶・・・95~100℃
・軽焙煎の香り豊かなお茶・・・95℃
・華やかな香りの台湾紅茶や東方美人・・・90℃
・甘みのある緑茶や白茶・・・70~80℃

 焙煎の具合をいわれてもイメージが沸かないかもしれませんが、じんわりとした味わいのあるしっかり目の凍頂烏龍茶や鉄観音(軽焙煎に仕上げられているものもあります)は沸かしたての熱湯で、爽やかな香りが自慢の文山包種などは軽焙煎なので火から下ろしてやや置いたお湯(95℃)を、華やかな香りを生かしたい日月潭紅茶や東方美人茶は90℃くらいが目安です。

 でもあくまでこれは目安なので、お好みに合わせて変化をつけて試してみて下さいね。

ようこそ、茶迷の旅へ!

 台湾茶をいろいろ飲んでみて、そろそろ自分好みのお茶を探したいな・・・と思われた方は、一つの茶葉をお湯の温度を変えて煎れてみるのはいかがでしょうか?
 最初に飲んだ時とはまた違った、全然新しいお茶の扉を開くことができるかもしれません。お茶は生き物、一つの茶葉を取ってみても、雨の日だったり夜だったりといれるシチュエーションも変えることで、前とは違った味わいを楽しめるかもしれませんよ。

 お茶のお店の人が薦める煎れ方はあくまで「こうしてみたら?」くらいのご参考程度です。最終的には自分の好みの味や香りを探り当てて楽しむのが一番なので、ぜひ「自分はこうしたい!」というベストバランスを探してみて下さいね。


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