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紙に描いてある...その威力( ˇωˇ )

ヘッダー画像はもう10年以上前、当方がマンガアシスタントだった時の仕事場の机の写真です。なんかパソコン漁ったら出て来た。しかしおそろしくきたねえな(;'∀')。介護職員を経験した今では許せない汚さだ(笑)
いまはもちろん、もうちょっとマシな机で仕事してますが・・・w

その当時でも性能の著しく低い、トイカメラで撮ったものでしょう。たぶん2010年前後。

いや、今日はそんなことを話したいんじゃなく…

実は先日。とあるマンガ家センセイの生原稿を1枚、お譲りいただけました。昨日届いて、いま額に入れて飾ってます。作家さんはベテランのTセンセイとおっしゃる。許可とってないんで画像の掲載は控えますね

しばらく前からT氏はXにて、ご自身の生原稿を売りますとポストされておった。当方子供のころ読んでたギャグ作品もあって、「なぬ、どれどれ」と見てみたらこれがおそろしく安いのである(-_-)。センセイ、いくらなんでも安すぎると当方逆に声をかけられないでおりました(それでなくとも何かのプロに声をかけるのは緊張します。ネットで作家さんや何やにほいほい絡める人種の神経が当方にはあまり理解できません😅いわんや軽口叩く心境をや…若いのかなあそういう人w自分なんかこのnoteでも未だにキンチョーしているのだ(笑))。

余談ですがこないだ、別の某有名マンガ家センセイがボツ原稿だか書き損じだかをオークションにだし〇百万の高値がついたなんて話がありました。これが原稿だとマズイらしい。というのは、ベテラン作家さんになれば生原稿は数千枚にものぼるが、その1枚ですら何百万の価値があるとなったら資産とみなされゼイキンが殺人的なことになってしまうのだそうだ😅資産は持ってるだけで課税対象ですからね。それで出品は「原稿」ではなく書き損じになさったらしい。(…しかし原稿は常識で考えて「資産」とまでは…と思いますがねえ。課税は売買成立時だけでいいじゃん。)

Tセンセイの生原稿が安いのもそんな理由かしら。それとも別の理由か、当方には伺いしれませんが(お聞きするのも無礼かと聞いていない)まあとにかく安いのである。掲載当時の原稿料の5〜10分の1くらいではなかろうか。90、00年代前半はまだ出版景気良かったし…(憶測)。

それでもやっぱり気になるので、蛮勇をふるってXに「購入希望です」と書き込んでみた。以後は直接のやり取りで無事手元に到着した…という経緯です。代金も振り込んできました。

でね。原稿を拝見して、驚いちゃったんですよね。

その原稿はギャグ漫画の1枚。会話シーンで背景はないし、集中線と描き文字だらけの迫力一辺倒なページなんですけど。おじさんと男子高校生のギザギザのフキダシと握り拳と汗と涙が乱れ飛んでるページなんですけど(笑)

まあこの原稿のキレイなこと('∀`)!

こう言ってはアレですが、Tセンセイはいわゆる「絵が美麗」で例に上がるような作家さんじゃないんです。ギャグで勢いのある作風で。それがねえ、実物見たらあに図らんや、美麗なんですねえ仕上げが…。

一例ですけど、ベタに塗りムラがない

マンガは印刷にかけるとみんな黒ははっきり黒になってますが、原稿の時点では黒の部分もけっこう濃淡があるんです。ほらサインペンとかマッキーとかで広範囲塗ると薄いとこできるでしょ。筆ペンでもできるわな。あれがないんだ('∀`)ゆっくり丁寧に塗ってある。

以下に悪い例を示しましょう。これは当方が20代の頃描いた原稿。

黒い中に、ムラが見えるでしょう。印刷すれば真っ黒ですけど。この筆の跡がなくなるくらい丁寧に塗ってあった。

もう一例。枠線の四隅に修正が全くないんです。きちっと四角に囲ってある。これもね、やるとわかるけどちょっと急ぐとすぐはみ出すんです。慎重すぎるとダマになるしね。デジタル原稿かどうか見分けるにはコマの四隅見りゃわかる(デジタルは角が鋭利に尖ってます)ってくらいなもんで…そのはみ出しがない。すごい丁寧なのね。

以下に悪い例を示しましょう。これも当方が20代の頃描いた原稿。

枠線の太さがバラバラ(タチキリといういちばん外側の線はわざと細くしてるんですが、普通の所までバラバラだ)で、ちゃんと閉じてない場所があり、はみだしている。しかも直し忘れている。余白もきたねーし(-_-;)。こういう根性ではイケナイ、何を描いても締まらない。

Tセンセイのは勢いよく、ガシャガシャ動くギャグ漫画なのに、筆致は確実で心こもってるんだなあとしみじみカンドーを致しました( ˇωˇ )。思わず正座したね😅

これもねえ、やっぱり、あんま言いたかないですが

紙に描いてあるからこの良さが伝わる

んじゃないかとどうしても思いますね。いやデジタルだって描くのに手間かかるのは一緒ですけど、それをモニターで見る、いやプリンターから出したものでもこの威力は伝わらないでしょう。

手で描いたモノであることそのものの威力と言うか。インクの存在感と言うか。余白に汚れがないとか、消しゴムがしっかりとか、物体だとそういう細部に美が宿ってしまうんで…(たった今ヨメさんが原稿見に来て、当方が何も言う前に「キレーな原稿だねえ〜」と言いました。やっぱ分かんだね)

いまのデジタルネイティブ世代がひとつだけ本当にもったいないと思うのはここ。

プロの紙の生原稿を手に持つ機会が少ない


のは…ほんと、一度でいいから持って見てほしいと思います。すごいんです。別に絵の上手さに注目はしてなかった作家さんの原稿でも、本物持ったら考え変わりますよ。重いもの原稿が。トーンも何も貼ってなくても重いんです。カロリーが高い(笑)。

普段ステンレスやスチールの包丁使ってて、たまに鉄の出刃持つと重いでしょ。あの感じ。あ、こりゃ切れるぞっていう…。

特に、これからもアナログでやってこって人は…この頃よく探すと売ってるセンセイがたまにありますので、原稿保護の意味も兼ねてですね、ぜひ1枚持っておくのをオススメします(あ、でも常識的な値段で売ってるのにしてくださいね。高くて数万円くらい。当方が今回購入したのはもっと全然安かった。あんま高いのは動機が不純なものになる)。しかし時代だなあ、生原稿買うなんて20年前じゃちょっと考えられませんでしたが…。

ではお粗末さまでした(*・ω・)*_ _)ペコリ


たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)