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気付いた時には既に猫

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今まで出会った猫たちの事をつらつらと
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ミーたち

 猫の話をしよう。私が初めて猫に出会ったのは、たぶん3~4歳の時だ。その頃、私たち一家は、祖父の家に引っ越して同居することになった。ちょうど、3つ上の兄が小学校に入学するタイミングだった。

 新しい我が家となった祖父の家は、「田舎の農家」という形容がぴったりとくる家だった。平屋建ての母屋は無駄に広く、芝生の生えた庭も同様に広かった。庭の一角には祖父の趣味の狩猟のパートナーである犬が2匹と、生ごみ

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ふさふさしっぽのボニョ

 我が家に初めて「ミー」ではない猫が来たのは、小学校の3~4年の頃だったと思う。私の住んでいた地域は田舎という事もあり、近所づきあいがかなりフランクで、どこかの家で犬が産まれたり猫が産まれたりすると、とたんに地域にそのニュースが知れ渡った。

 すると、私を含む小学生の一団は、飼うわけでもないのに放課後に仔犬・仔猫の見学ツアーを組み上げ、その家へと押しかけては仔犬や仔猫を撫でたり抱き上げたりしてい

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大分の狂犬タイガー

 中学1年の夏休み。私は初めて一人で電車に乗った。中学生でやっと電車とは、遅いのである。そしてその遅いのを気にしていた私は、勢いで新幹線と飛行機にも乗ることにした。中学生になったのだから、これくらいはひとりでやらねばならぬ。楽勝だろう、という謎の使命感と根拠の無い自信を胸に、静岡から伯父のいる大分までの一人旅を敢行することにしたのだ。経路は電車で静岡—東京、羽田空港から飛行機に乗って東京—大分だっ

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やぶ睨みの老ミー

 うちには常に3~4匹のミー達が出たり入ったりしていたのだが、不思議とどのミーも、”最後までうちにいた”という事は無い。ある程度の年齢になると、一様にどこかへ巣立って行ってしまうのか、姿を見かけなくなるのだ。

 そんな中、ただひとりだけ、かなりの期間うちに居続けたミーがいる。それが、やぶ睨みのミーだ。

 やぶ睨みのミーは、私が小学生の頃にうちの納屋で産まれた全身真っ白な猫だ。正確な兄弟の数は覚

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ストーカー猫ニャオン

 私にとってミー達は、どちらかというと「祖母の猫」という印象だった。初めて「私の猫」と意識した猫は、社会人になってから我が家に迷い込んできた一匹の猫だった。それがニャオンである。

 ニャオンと出会ったのは、社会人になってから3~4年経ったころだと思う。大学を卒業し、地元の会社に就職した私は、実家に戻っていた。しばらくは猫とは縁もなく過ごしていたのだが、ある日、一匹の猫が我が家に迷い込んだ。

 

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真っ白のメイさん

 小説や漫画・アニメ、それにゲームなどの創作の世界では、黒猫は良く見かけるが、白猫はあまり見かけない印象がある。でも、私が出会った猫たちは逆で、黒猫とはあまり出会わなかったが、白猫とはちょくちょく縁があった。ミー達の中にも白猫はいたが、黒猫はいなかった。そういう血統だっただけなのかもしれないけど。

 余所の猫でも黒猫にはあまり縁は無かった。その代わりといったら変な話だが、白猫には縁があった。その

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高貴なるそら殿

 いろいろな猫と関わってきた私と我が家だが、現在我が家に君臨しているのが、そら殿である。そら殿はアメリカンショートヘアの血が入っていると思われる雑種のオス猫で、非常に高貴なお姿をしている。オレンジ色の毛並みは艶やかで、天気のいい日に外を優雅に歩いていると、その姿は金色に輝いて見える程だ。

 そら殿との出会いは、例によって我が家へとそら殿が迷い込んできたのがきっかけだ。今よりも一回り小さかったそら

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