丹後水中プロジェクト始まるぞ！

うみの考古学ラボ

2022年7月31日 17:44

もうすぐ8月。

丹後で水中遺跡の調査が始まります。

クラウドファンディングを3月～4月の間に行い、無事に目標額を達成。高校生のあやさんや他のチームメンバーと一緒に頑張ってきました。

いよいよです。

高校生のあやさんが始めた企画…ご存じない方は、コチラをご覧ください！

8月の調査は、主に潜水と水中ドローン、10月には探査機器を使用した船からの調査を予定しています。

スケジュール

8月6日に移動・集合。

7日に調査開始。その夜は、インスタライブを予定しています。そして、8日の夜は、メンバー全員で会議をしますが、この様子をライブ配信。2日間の間、京丹後市の海岸あちこちを見て回って情報を集め、どこが最も調査に適しているかを考えます。ライブ配信をすることによって、みなさんに、水中遺跡を探すプロセス、何を見ているのかを学ぶことが出来るかと思います。9日以降の調査計画がここで決まります。

9日～11日は、ライブ配信会議で決まった調査をたんたんと進めます。この間、もしかしたら、現場からライブ配信をするかもしれません。ツイッターなどで情報を発信します。現場に行ってから…。

11日の夜は、再びインスタライブです。調査終了の配信です。意外と短い調査期間ですね。

12日には、現地にて説明会を行ないます。久美浜の西、旭漁港から行います。朝10時にメディア向け、13時半からは文化財担当者向けの説明会。こちらもライブ配信を予定しています。

調査内容

7～8日は候補地点の下見です。水中遺跡調査のポテンシャルを探ります。水中考古学調査のポテンシャルは、やはり水中遺跡の調査に関わった経験者、海からの視点を持って現場を見ることが必要です。

また、調査のロジスティクスも重要。あ、あそこに遺跡がありそうだ…そう思っても、アクセスできない場所だったり、海水浴場だったり。様々な要因を吟味し、調査場所を決めます。

これらの候補地の中から、数か所、詳細に潜水する場所を決めます。

今回は、主に潜水・水中ロボットを使った調査を実施します。ビーチコーミングなどで遺物が見つかれば、その分布から沖に沈船がある場所を割り出したり…。10月には水中探査機器を利用した調査を実施予定なので、その事前調査となります。

今回は、岸に近い水中遺跡・水際の遺跡の有無を確認します。例えば、昔の護岸の跡など。また、「岩礁ピット」や「もやい岩」も探します。舟・船を停泊させるための遺構です。これらは、民族事例として知られますが、あまり考古学調査（位置の記録）が成されたことがありません。旭漁港にもやい岩があると言われていますが、どの位置にどれほどあるのか、詳しい情報はありません。今回は、それらの情報の記録になります。

旭漁港については、調査範囲は、こんな感じ。潜って遺物がないか、また、もやい岩などの有無を確認します。位置情報を記録します。

詳しい調査個所などについては、うみラボ内のプロジェクト特設ページで紹介しようかと思っています。旭漁港は、江戸時代の積出港として機能していたことが知られています。また、間人（たいざ）なども古代～中世にかけて機能した湊でした。箱石浜には、弥生の遺跡などなど。京丹後には、知られざる水中遺跡が沢山あるのかも。

まとめ…

今回の調査ですが、メディアの方などが、調査の様子を報道してくれれば、水中遺跡について考えてくれる人が増えるかと思っています。実は、それが一番の目的なんです…。

というのも、世界の水中遺跡のほとんど(おそらく95％以上）が漁師・ダイバーによる報告や海の開発に先立つ探査により発見されています。いわゆる、海揚がり品が遺跡の発見に大きく貢献しています。残念ながら、日本には海揚がり品の報告の義務がなくネットで売買されています。多くの国では、犯罪行為となります。また、開発前のアセスメントも制度化されていません。まあ、これにより、日本で水中遺跡が発見される可能性は、他国に比べ95％ほど低くなっています～他国に比べ周知の水中遺跡の数が2~3桁ほど低いのは、このためです。

漁師さんなどは、海で何かモノを拾っても、おそらく最近のモノだと思って、すぐに捨ててしまうでしょう。でも、実は、三角縁神獣鏡や天目茶碗、三種の神器だったりするわけです。調査のニュースを見てくれれば、あれ、俺の拾った陶磁器、もしかしたら、貴重なものだったのか？と思ってくれるはず。そんな人が現れてくれるのを期待しています。

どんな些細な情報でも、考古学者にとっては、宝の地図に匹敵する情報である可能性も…。