システムトレード、特にトレンドフォローのススメ No.2
免責:このnoteの全ての記事は情報の正確性や投資の利益を保証するものではありません。投資を含む全ての判断はあなたの自己責任です。
前回記事
3:なぜトレンドフォローを勧めるのか
前回の記事でシステムトレードを勧めた。今回はシステムトレードの中でもトレンドフォローを推奨する理由を解説する。
3.1:トレード手法の分類
システムトレードの手法は大きく分けて2つ、細かく言うと3つある。トレンドフォロー(順張り)、カウンタートレード(逆張り)であり、それらを組み合わせる押し目買い(戻り売り)である。
3.1.1:トレンドフォロー
読んで字のごとく「トレンド(傾向)をフォロー(ついていく)」スタイルである。相場が上昇すれば買いで入り、上がり続ける間はポジションを持ち続け、上昇が収まればポジションを解消して利益を得る。この手法の基本的な立場は「トレンドは継続する(事が多い)」である。
3.1.2:カウンタートレード
トレンドフォローとは逆の考え方である。つまり「トレンドは継続せず、平均値に帰っていく」という考え方の元にトレードを行う。平均回帰手法とか逆張りとも言われる。勝率が高い(約80%)が、後述する理由から勧められない。
3.1.3:押し目買い、戻り売り
トレンドフォローとカウンタートレードを組み合わせた考え方の下でトレードする手法。まず長期的なトレンド方向を確認し、上昇中なら買いトレードのみを行い、下落中なら売りトレードのみを行う。大きなトレンドが上昇している中、一時的に価格が下落したら買いで入り、反転するのを待つ。価格が利益目標に達するか損切りポイントに達したら手仕舞いする。売りはこの逆である。
3.2:なぜトレンドフォローを勧めるのか
上記3つのトレード手法のうち、私が最も推奨するのがトレンドフォローである。次点で押し目買いである。カウンタートレードは推奨しない。というよりも止めるべきである。
理由は単純である。カウンタートレードは儲からないからである。過去10年分の15分足のデータで1500~8000回程度のトレード回数が発生するようなパラメーター、日本円と米ドルのペアで様々な条件でバックテストを行ったがカウンタートレードはほぼ全ての条件で利益が出なかった。
トレンドフォローではバックテストで収益を上げることが出来た。押し目買いでは長期的なトレンド方向をかなり厳選することで利益を上げることが出来た。
複利で資金を伸ばしていくことを目標にする以上、まずは1枚のみのトレードで利益を上げる手法を確立する必要がある。カウンタートレードはその条件を満たさない。
3.3:なぜカウンタートレードはだめなのか
そもそも利益が上がらない(上げづらい)カウンタートレードであるがそれ以外にも推奨できない理由がある。それは以下の点である。
3.3.1:損切に技術が必要+大量の資金が必要
高い勝率を誇るカウンタートレードであるが、一度相場にトレンドが生まれてしまうとずっと含み損を抱えて耐えることになる。そうすると、それに耐えるだけの大量の資金が必要になるし、必然的に高いレバレッジ(資金管理の範囲内で最適化されたポジションサイズという意味である)で資金を回転させることが出来なくなる。
それを避けるために損切幅を小さくすると今度は勝率を下げることになる。カウンタートレードで適切な損切幅を選択するためにはある程度の数学の知識とバックテストのデータが必要になる。
3.4:押し目買い(戻り売り)に優位性はあるのか?
上述した通り、押し目買いはトレンドフォローとカウンタートレードを組み合わせた手法である。
しかし実際のエントリーはカウンタートレードに従って行われる。トレンドはエントリーを厳選するためのフィルターとして機能する。
そのため利益を上げることが難しい、というのが出発点になる。フィルターを厳しくしてエントリーを厳選する、エントリー後一定時間して利益が出ないようなら撤退する、利益目標を浅めに入れて勝率を上げる、といった工夫を追加することで利益をあげられるようになるが、戦略の中心にはせず、あくまでもサブシステムとして扱うべきである。
3.5:続、なぜトレンドフォローを勧めるのか?
上述した「カウンタートレードがだめな理由」の裏返しがそのまま「トレンドフォローを推奨する理由」になる。つまり、
1:利益が出る
2:損切りと相性が良い
3:資金効率が良い+少額の資金から始められる
である。
3.5.1:利益が出る
すでに述べたが、私が行ったバックテストではトレンドフォローは利益が出る。私自身はテストを行っていないがこれはFX市場のみならず他のコモディティ商品、債権、株式市場でも確かめられているようである。
なるべく信頼できそうな本や教科書をあたったが検証で利益を上げているシステムトレードはほとんどがトレンドフォローである。カウンタートレードで利益を上げているものはほとんどないか、複雑なフィルターでエントリーを絞る必要があった。
3.5.2:損切りと相性が良い
トレンドフォローは価格が上がったら買いで入る。その後、予想に反して価格が下落したら損切りをして反対方向にエントリーし直す。非常に単純である。
カウンタートレードは損切りを実行する前に「反転を希望する」必要があり、戦略とバッティングする。また、そのせいで損切り幅を大きく取る必要がある。
3.5.3:資金効率が良い+少額の資金から始められる
トレンドフォローは損切幅を小さく取れる。それはつまり(適切なポジションサイズと資金管理の範疇であれば)大きなレバレッジ、小さい資金で効率よく資金を回転させることができるということである。
結語と次回予告:
以上がトレンドフォローを勧める理由である。次回は具体的なトレンドフォローの紹介をバックテストのデータを提供しながら解説していきたいと思っている。
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