【12/12】「老害の人」を老人が沢山いる本屋で読んだ感想 【22歳夜勤フリーターの日記】

 珍しく夜寝て朝起きるサイクルだったので近所の本屋に行き「老害の人」という小説を立ち読みした(実際は店内にソファーがあったので座ったが)。平日の午前中という事もあり高齢の方がいっぱいいる中でこんなシニアに真っ向から喧嘩を売ったタイトルの本を読むのにはかなりの勇気を要したし、おじおばの目に”老害”の2文字が入ったら最後、僕の残り寿命を余すとこなく吸い取られてしまうので彼彼女らに見えないよう終始表紙を床に向けて読破した。3時間くらいかかっただろうか、読書ペースはかなり遅い方だと思う。途中何度かけん制のいらっしゃいませを喰らったが、自分が何も買わず長居する厄介客である自覚を持ちつつ罪悪感を感じながらも完読するまでソファーにへばりついていた。すみません………。

 火の玉ストレートなタイトルに邪な好奇心を抱いて読んだけれど、いわゆるいわゆる「老害」と言われてる人たちの気持ちや”その人”たらしめる行動原理について詳細に記されていて、老害に関する解像度が上がった感じがして面白かった。いわくお年寄りは、若者や社会から面と向かって言われない者の「戦力外扱い」されている自覚があるそう。無理やりあてがわれた散歩や趣味に飽き、壊れてしまった者から現役に戻ろうとして若者に求められていない人生訓を上から浴びせたり話し相手が欲しくてクレームをいれたりするのだとか。不器用スギィ!奴らは加齢にともないプライドも高まってるから若者と対等な関係に立つことができず、上からいったり文句をつけるという方法でしかコミュニケーションをとれないのだ!好きな子にちょっかいかけるキッズLv100(闇堕ち)。
 そのようなぶっ壊れシニアを生まないためには”役割”を与えるのがいい的な文脈があった。つまり生きる意味がない人がああいった所業にでてしまうのである。存在理由を得られればやりがいが生まれ、クレームだとかエンドレス武勇伝だとか非生産的なだけでなくクソ迷惑な奇行に走らずに済むのですね。何もせず過ごすにはまだ長すぎる残り時間の使い道があれば老害をまき散らさずにすむんだ。

 面白シーンとしては、YouTubeという単語を聞いて「年寄りにチューブは縁起が悪いじゃろ」と言っておきながら自分たちが呼称するときは聞き馴染みのある「チューブ」呼びする…という一幕があった。この新しい言葉を覚えようとせず自分の領域にあるもので呼び替える高齢者あるあると縁起悪い呼び方で定着させるんかいというところに一抹の「ほっこり」があった。この気持ちは一体…その他「何億回も聞いた武勇伝を始めて話すかのように語りだす」や「自分語りしたいだけなので相手の話は全く聞いていない」など解像度の高い年寄りあるあるは面白かった。第三者視点で見る老害は面白い。

 それでもって、「老害」カテゴリに該当する人たちへの理解は深まったが、彼らの事情は加味しても悪質ムーヴを受けてムカつくことに変わりない。がまぁ1割程度の同情はしてやろうと思う。
そして闇堕ちしていない聖なるご高齢の方々には一層のリスペクトをもち、親切を心がけようと思った。

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