すべて集合体のせい 【エッセイ】
テレビを観ていた妻が、突然わっと小さな悲鳴を上げて、キモっ、と呟きながら、すぐ横にいる私に「見て見て!」と、袖をまくって自分の腕を近付けてきた。妻が私に見せようとしているのは、たった今、自分の腕に発生したばかりの鳥肌なのである。
よくあることだった。私は妻が、またテレビで「何か」を見付けてしまったのだなと思った。
「ちょっと、今の何? ゾワゾワする……」
妻は自分の頬を両手で挟み、身震いを抑えながらテレビ画面を凝視していた。私はそんな妻の腕の表面に現れた鳥肌をしげ