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死の都のエッジまで

砂のような日差しが降る
肌に食い込み刺し続ける
ここはまるで死んでしまった都市
脂を混ぜたような重たい汗が
瘡蓋のように乾涸らびた唇を
横一文字に這い進む

死の都
君のいない町は全部そうなのさ
心の狭いおれを笑ってくれ
性別を捨ててしまった君を
どうしてもおれは愛せないから
アスファルトの輻射熱よ
溶け出しそうなおれを攫ってくれ
ヘテロにしがみつく
おれが時代遅れだというのなら

本当の自分に目覚めた
君の本当がわからない
服装を入れ替えて
身形を取り替えた君がわからない
いなくなってしまったのは君ではなく
頭の古いおれの方だったのさ

死の都のエッジまでおれは歩く
正直さが批難されるのなら
もうここにいる理由はない
憐れんでくれよ
嘲笑ってくれてもいい
乾涸らびた唇で口笛を鳴らすよ
虚空に空気音
音痴で下手くそでも
これが正直なおれの歌なのだから



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