そんなに可愛いとも思えない私の顔を
とても綺麗だと言うあなたが嫌いだ

ひねくれたことを言って困らせているのに
君は素直な方が似合うと返してくるあなたが嫌いだ

ホワイトソースを焦がして茶色くなったシチューを
旨い旨いと言っては食べ
熱を加え過ぎて身が小さくなったアサリの酒蒸しを
止まんないと言ってはパクパク食べてくれるあなたが嫌いだ

自分は撮られるのが苦手だからと私の写真ばかりを撮り
プレゼント選びが苦手だからといつも私の欲しいものを
一緒に買いに行ってリボンを掛けて渡してくれるあなたが嫌いだ

プロポーズをしてくれたのに返事を先延ばしにした私を
いつまででも待つと静かな目で答えたあなたが嫌いだ

もう決心していたのに喜んでくれる顔まで浮かんでいたのに
突然遠くに行ってしまったあなたが嫌いだ

あなたの顔が見たいのに笑っている顔が大好きだったのに
形見分けで頂いたあなたのケータイには
楽しそうな顔をした私の写真ばかりがあって
自撮りの一枚すらないあなたが嫌いだ

素直になれずひねくれたことしか言えない私を
黙らせてしまうほどの優しさで包み込み
私の反応に合わせて
焦らず丁寧に愛してくれたあなたが嫌いだ

こんなにも大嫌いなのに
思い出せば泣いてしまってちっとも私に忘れさせてくれないあなたが

嫌いだ