不道徳な私たち
ガラスに付いた雨滴は
雨が止まったときの姿
駐車した車の中は
薄紙のような沈黙
私たちは知らなかった
真剣になるタイミングを逃したら
あとは不幸になる二人だということを
呪われた習慣とは
離れたところに自分の車をとめて
この人の車に乗り移ることを言うのだろう
不道徳な私たちは
身内につく嘘が上手になり
不道徳な私たちは
顔は背けていても指は繋いでいる
不道徳な私たちは
終わりにしようと口で言いながら
不道徳な私たちは
体は求め合うことを考えている
シリアスな話し合いの最中に
ガラスに付いた雨滴同士が繋がり
捩れた筋を引く
それともこの人は知っていたのだろうか
私たちは幸せを捨てた二人であることを
時間の凝りはほどけている
決心はとうに揺らいでいる
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