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25歳になった今も、100円の大きなミラーが手放せない。

巷でよく言われる、"美人は荷物が少ない"を最初に言葉にした人に対して、悔しくなるくらい上手いこと言うなと嫉妬する。

そんな私はといえばいつも、自分の上半身と同じくらいの大きさのトートバッグを肩からぶら下げている。美人への道のりはまだまだ長い。

大きなトートバッグの中には、財布・携帯・ハンカチ・メイクポーチ・普通のポーチ・モバイルバッテリー・ノート・筆箱・Macbook…と本当にそんなに使う!?と突っ込まれるほど入っている。心配性だからたとえ使わなくても入れておきたい、ただそれだけ。


その中でも、学生時代から欠かさずに入れているものがある。

100均で売っているミラーだ。手鏡じゃなくて、一発で顔全体が映るサイズのものじゃないとダメ。高校生の時からずっとこのサイズのミラーを入れている。どうしてもバッグの中ですぐに割れてしまうので、高いものを買うのはやめた。


かの有名な女優さんは何かのインタビューで「このお仕事をするまで、私自分の顔を鏡で見るという行為をした記憶がないんです!」と笑っていた。


一方で誰もが知ってるアイドルグループのリーダーだったあの子は、まだ中学生だったオーディションのメイキングの中で、「前髪くずれてないかな?」「私の顔変じゃない?」と、大きなミラーで何度も確認していた。


「自分の顔って可愛くないよな」と物心ついたときから思っていた。両親にはたっぷり愛情を込めて育ててもらったし、イジメにあっていたわけでもないけどなんか思っていた。

中学生になると、思春期も関係していると思うけど余計その考えは強くなった。胸ポケットに小さなミラーを忍ばせて、休み時間のたびにトイレで「変じゃないかな?」と確認した。


"可愛くなりたい"だなんで贅沢なことは思わないから、"普通"でいたかった。自分のことなんて誰も見てないとわかっていても、その思いは消えない。

何度も自分の顔をミラーで確認する行為は、世間的にはナルシストだと捉われがちだけど、ちがうと思う。何度も確認しないと、「私、変じゃないかな?」と不安になるから。


メイクに興味を持ったのは、その頃から。

メイク特集の雑誌を何冊も近所のスーパーの本屋で買ってもらって、穴があくぐらい読んだ。読モが使っているコスメの中でも特に安いコスメを試して、研究した。メイクをした顔で外に出る勇気は中学生の私にはまだなくて、家でひたすらメイクをするだけ。家族にだって見せない。


それは高校卒業まで続いた。大学生になるまで常にほぼすっぴん。地元が田舎だったってのもあるし派手なタイプでもなかったから、フルメイクばっちし!で過ごしている友人はあまりいなかった。

大学に入りメイクをして外に出るのが当たり前になってからは、長年の努力の賜物のおかげで「私の顔変じゃないかな?」と思うことはなくなった。「メイクで普通に変身してできてるな」って感じ。

25歳になった現在、まったく気にならないかと言われたら嘘になる。電車に乗る前に時間があればトイレで身なりを確認してしまうし、大きな風が吹いたらバッグの中から大きなミラーを取り出してしまう。


時代は令和になったというのに、女性がメイクをしたりお洒落をする行為に対して、「異性にモテたいからだろ!」と本気で思っている人が一定数世の中にいることに、心の底から驚いた。

そういう人も中にはいるだろう。だけど個人的には、少しでも自分に自信が欲しくて、自分を好きになりたくて、努力している人の方が多いんじゃないかと思ってる。(超主観だけど。)


メイクをしないとその日のスイッチが入らないので、1年のうちの360日くらい私はメイクをしている。


私にとってメイクは生活するためのスイッチであり、自分に自信をつけるための魔法。だから私は、今日もメイクをする。