飲みに行こうよは、魔法の言葉。
10代の時、会いたい人に、なんて言って誘ってたんだろう。
ドキドキしながら「映画行こ〜」とか、「カラオケ行こ〜」とか。あと、「お昼一緒に食べよ〜」とかだった気がする。
成人した今、絶対に誘い文句にはお酒がある。別にそんなに好きじゃないのに。
私が飲みに誘うときはお酒を飲みたいよりも、会いたい気持ちの方がきっと勝ってる。(酔いたい日もたまには、ある。)
そんなとき、お酒って便利!成人万歳!って思う。
会いたいは言えないけど、飲もうよだとなんか簡単に言えちゃう。
いっぱい悩んだ末、「今度飲みに行こうよ」ってあえて絵文字もつけずそっけないメッセージをする。そしたら、「良いよ〜。いつにする?」って、年に一度だけ動くトーク画面。
毎年お盆しか会わないふたり。一年ぶりの乾杯。
仲は良いのに、お互い当たり障りのない話しかしない。会社の愚痴とか、最近あったおもしろエピソードとか。
沈黙のたびグラスに口つけるから、いつも酔わないのにあっという間に頭がふわふわしてくる。
最後は「じゃあまた来年の夏ね。」って、お決まりのセリフでバイバイする。
もう好きとか嫌いとかそんな関係じゃないんだけど。なんか照れくさくて、会いたいなんて今更言えない。
そんな夏、私は毎年お酒の力を借りる。
"飲みに行こうよ"は、大人だけが使える、魔法の言葉だと思う。