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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その4)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇1ターン目

◇◇◇

遭遇ダイスチキンハート: 1d13 = (2)
ニンジャスレイヤー

 読者の皆様には第3の目を用いてネオサイタマ市街区域を俯瞰してみていただきたい。『ビアー牛』『カワエン』『ロクデモ不動産』『借金持越しチャンス』のネオン広告で装飾されたビルの辺りだ。するとそのビルの屋上で腹這いになり、冷たい重金属酸性雨に背中を打たれながら手に持った写真を眺める男が見えるだろう。ソウカイヤに所属する中堅ニンジャ、チキンハートである。

◆チキンハート (種別:ニンジャ)  DKK:1    名声(ソウカイヤ):24
カラテ    10	体力   13(18)
ニューロン  7		精神力  14(19)
ワザマエ   13	脚力   8/E(通常移動マス+2)
ジツ     5		万札   57

攻撃/射撃/機先/電脳  10/13/7/7
回避/精密/側転/発動  13/13/13/12
即応/緊急       5/0

◇装備や特記事項
 所持品 :『オーガニック・スシ』『オーガニック・トロスシ』『トロ粉末』『ZBRアドレナリン』
 スキル :『●連続攻撃2』『●連射3』『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』
      『◉常人の三倍の脚力』『◉ランスキック』『◉疾駆』
      『☆◉ヘンゲ・マスタリー』
      『◉知識:ミニバイオ動物』
 ジツ  :『☆ヘンゲヨーカイ・ジツ』
      『★肉体切断』『★★グレーター・ヘンゲヨーカイ・ジツ』		
 装備  :『家族の写真』
 サイバネ:『▶︎クロームハートLV1』
      『▷第二の心臓』

『●気力体力の充実(体力+5、精神力+5)』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【チキンハート】
 ソウカイヤのニンジャ。戦闘時には膝から下を鶏の足に変化させ、足技で巧みに戦う。更に切り札として竜の翼に蛇の尾を持つ鶏の怪物にヘンゲする。
◆殺◆

 彼は優し気な瞳で眺めていた写真を大切そうに懐へ仕舞い、顔を前に向けた。その視線の先には……色付きの風となって赤黒の軌跡を宙に描く男、ニンジャスレイヤー。そして白髪の大男を軽々と背負ったままビルからビルへと飛び移る少女、ドラゴンチック。どちらもソウカイヤと敵対する油断ならぬニンジャだ。

 ブレードブレイカーやヘルカイト、あるいは他の上昇志向の強いソウカイニンジャたちならば手柄を立てるチャンスだと意気込んだであろう。だがこの場にいるのはプレッシャーに弱く、自己評価の低い小心者、チキンハートだ。「スー……ハー……」彼は何度も何度も深呼吸を繰り返した。

 クナイを持つチキンハートの手が緊張でぶるぶると震える。彼はもう片方の手で胸の内で暴れる心臓を抑え込んだ。(落ち着け……落ち着け……やれることをやればいいんだ。何も難しい事じゃない)徐々に、非常にゆっくりとした速度ではあるが、彼の呼吸は少しずつ安定していく。そして彼のメンタリティが平時とほぼ同一状態となった、まさにその瞬間!

「イヤーッ!」チキンハートはクナイ・ダートを天高く放り投げ、勢いよく立ち上がると高速カラテ演武を行う!クナイが重力に引かれて落下してくる!「イイィヤァーッ!」チキンハートは目の前に来たクナイをニンジャスレイヤー目掛け、強烈に蹴り飛ばした!鶏のそれにヘンゲした脚で!鋼鉄の流星が空気を裂きながら死神に迫る!迫る!

チキンハート『対抗判定:ワザマエ』:
13d6>=4 = (2,6,2,6,4,1,6,5,6,4,2,1,5 :成功数:8)

ニンジャスレイヤー『対抗判定:ワザマエ』+
『◉スリケンの見切り(1)』+『◉ツヨイ・スリケン(1)』:
14d6>=4 = (6,2,3,6,1,3,5,6,4,3,5,1,2,1 :成功数:6)
ニンジャスレイヤー体力11

「ヌゥーッ!?」間一髪紙一重回避!クナイはニンジャスレイヤーの肩の肉を抉り、その奥にあったネコネコカワイイフクスケの電飾人形看板を破壊した!あと少し反応が遅れていればクナイはニンジャスレイヤーの心臓を貫いていたであろう!

「ニンジャスレイヤー=サン!」「オイオイオイ!マッタナシか!」「大事ない!身を隠せドラゴンチック=サン!」ニンジャスレイヤーはガンドーが狙われないようドラゴンチックへ指示を飛ばす!

 だがその頃、チキンハートは既にビルの屋上から姿を消していた!彼は両脚をヘンゲさせたままビル壁やネオン看板の上を滑るような速度で激走する!深追いは決してしない!このままヒット&アウェイに徹するべし!

◇◇◇

遭遇ダイスグロウコブラ: 1d13 = (3)
デスドレイン

「へへへ……どこに隠れたんだァ?それとも、もう逃げちまったかァ?」デスドレインは鼻をクンクンと鳴らしながら廃ビルの廊下を進んでいく。彼は先程までイキのいい獲物で気分よく遊んでいたが、獲物がこの廃ビルに逃げ込んだところで見失ってしまったのだ。途中で出会った不運なホームレスを「つまみ食い」しながらデスドレインはこの命懸けの鬼ごっこを楽しむ。もちろん命を懸けるのは獲物だけだ。

 ……だが、デスドレイン自身もまだ気付いていないが、彼もまた追いかけられている身であったのだ。デスドレインの遥か後方、廊下の角から顔だけを出して邪悪なる死刑囚の背中を見つめる影、皆さんご存じ、グロウコブラだ。

(ウーム。死神やドラゴン・ドージョーの娘っ子を探しておったが、妙な相手を見つけてしまったものよ。まったく自分のことながら高すぎる観察力と行動力も考えものであるな。まるで太陽のような輝きと引力の強さがこうした厄介事まで引き寄せてしまうのだ。それにしても、この極めて優れたソウカイニンジャであるグロウコブラのニンジャ第六感があの男はヤバイと警鐘を鳴らしておるわ。思えばこの神懸かり的直感には今まで何度も助けられたものだ。鍛え上げられた肉体に蓄えられた知識、カラテとニューロン、力と技のタイ・ジイめいた調和。それが一流のニンジャであるための最低条件だが、それだけではあくまで一流どまり……その更に上の領域である超一流には届かない。超一流の世界とはすなわち、人知及ばぬ何か……ブッダや運命といった超越的存在を味方につけた選ばれし戦士のみが生き残ることを許されし魔境。つまりこの極めて優れたソウカイニンジャであるグロウコブラのような)以下略。

(つまり!あの男をここで捕えてしまえばこの私のソウカイヤでの評価がうなぎ上りという寸法よォー!)どうやらグロウコブラの長ったらしい考察は彼の中でそのように結論付けられたようだ。

「シューシュシュ!SHHHHH!」グロウコブラは下半身の関節を外し、蛇のような動きで廊下を高速移動!無防備な背中を晒すデスドレインに対し、大火に飛び込む虫めいたアンブッシュを仕掛ける!

グロウコブラ『対抗判定:カラテ』+『◉◉タツジン:コブラカラテ(2)』:
8d6>=4 = (2,4,3,1,5,5,5,5 :成功数:5)

デスドレイン『対抗判定:カラテ』+
『『★★★◉不滅』(3)』『★★アンコクトン肉体再生(2)』:
6d6>=4 = (2,5,1,1,5,4 :成功数:3)
デスドレイン体力10 精神力13

「アア?」デスドレインは背中にぶつかった感触に首だけを回して後ろを見た。何やらメンポの下でも分かるほどにムカつく笑みを浮かべた男が、自分の背中に得意げにチョップを突き刺している。「なに、お前?」「クフハハハ!ドーモ、ソウカイヤの極めて優れたニンジャ、グロウコブラです!貴様はもう終わりだ!観念するがよい!」

「アー……俺はデスドレインだけど。誰よアンタ」「クフハハハ。そうやって余裕ぶっておられるのも今のうちだ!このグロウコブラのコブラカラテによって打ち込まれたチドク・ジツが貴様の中で猛威を振るっておるわ!貴様の肉体は毒で朽ちてゆくのみバカナー!?」

 グロウコブラは愕然として絶叫した。デスドレインの肉体に黒い粘性の液体が泡立ったかと思うと、グロウコブラが埋め込んだ毒を濾過して排出してしまったのだ!「とりあえず死んでおくかお前」「アイエエエエエ!?」更に膨れ上がった暗黒物質の泡がグロウコブラへと押し寄せてくる!

「アイエエエ!こ、これで勝ったと思うなよーッ!」グロウコブラは全身の関節が存在しないかのような動きで壁のヒビ割れた隙間に逃げ込んだ!グロウコブラはすんでのところで脱出成功!コンマ5秒前まで彼が立っていた地点をアンコクトンが洗う!

「なんだアイツ……あーあ、シラケちまった」デスドレインは当初の獲物を追いかけることにも飽きてしまい、また新たな暇つぶしの道具を求めてビルの出口へと向かった。

◇◇◇

遭遇ダイスデスクランチ:
1d13 = (6)
ブラックヘイズ

 グロウコブラとの交渉を終えたブラックヘイズは下水道の地下通路で次の交渉相手と対峙していた。だが、今度は先程のような適当におだてていればいい相手との会話とは訳が違う。何故なら、この交渉は突発的な遭遇に端を発しており……しかもその相手は見るからに危険な相手であったからだ。

 そう、見ただけで危険だと分かるのだ。なにせ、その相手はワニの頭を持つニンジャだったのだから。彼の名はデスクランチ。ヨロシサンの研究施設を脱走し、ソウカイヤに所属を移したバイオニンジャである。

◆デスクランチ (種別:ニンジャ/バイオニンジャ)  DKK:0  名声(ソウカイヤ):8
カラテ    10	体力   20
ニューロン  7		精神力  8
ワザマエ   4		脚力   6/N
ジツ     3		万札   4

攻撃/射撃/機先/電脳  10/4/7/7
回避/精密/側転/発動  10/4/4/-
即応/緊急       3/0

◇装備や特記事項
 所持品 :『ZBRアドレナリン注射器』
 スキル :『●連続攻撃2』『●マルチターゲット』『●時間差』
      『◉バイオニンジャ化』『◉頑強なる肉体』『◉不屈の精神』
      『◉知識:下水道』『◉知識:バイオ系メガコーポ』
      『◉狂気:薬物依存症(バイオインゴット)』『◉◉狂気:捕食衝動』
 ジツ  :『☆謎めいたニンジャソウルLv3』
 装備  :
 サイバネ:『▲▲戦闘用バイオサイバネLV1』『▲▲戦闘用バイオトルソー』
      『△△肉体切断(ロブスターアーム読み替え)』
      『△捕食バイオ器官(吸血バイオ器官読み替え)』『△ニンジャ肉消化器官』		
 生い立ち:『○純正バイオニンジャ』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【デスクランチ】
 ヨロシサンで産まれたバイオニンジャ。ワニの肉体に人の知能を持つ。脱走して下水道に潜んでいたところをチキンハートにスカウトされ、ソウカイヤに入った。
◆殺◆

ブラックヘイズ『交渉判定:ワザマエ』+『◉交渉:駆け引き(2)』:
10d6>=4 = (3,6,1,1,1,3,5,3,2,6 :成功数:3)

デスクランチ『交渉判定:ワザマエ』:
4d6>=4 = (5,1,5,3 :成功数:2)
ファンブル発生せず

「なるほどね、グロウコブラ=サンの奴とそんな約束を。ハ、ハ、ハ。まったくチョロい奴だよ」「……ああ、まあな。だがどうやらあんたは簡単に誤魔化されてくれないらしい」「そんなことはない。ただのワニを買い被りすぎだよ。ハ、ハ、ハ」デスクランチが嗤うたび、彼の牙がカチカチと音を立てる。ブラックヘイズの眉間に力が入る。

「……オーケイ。当分はあんた達にちょっかいをかけない。それでいいか?」「別にどうしろと言うつもりもないんだがね。お前さんがそうしたいならそうするがいいさ」「ああ、そうさせてもらおう」ブラックヘイズは早々に会話を切り上げ、その場を後にした。

「失敬だねえ……そんなに避けることもあるまいに」一人場に残ったデスクランチは緑色のヨーカンめいた物体を取り出し、一口で飲み込んだ。迅速に行動したブラックヘイズの判断は正しい。獣の前にいて安全な時は、獣が腹を空かせていない時だけなのだから。

※ブラックヘイズは今後の自分の遭遇ダイスでソウカイニンジャが出た時、ダイスを1度だけ振り直してもよい。(シナリオ中ずっと有効)ただし、振り直しをした場合は必ず振り直した後に出たニンジャと遭遇すること。

◇◇◇

遭遇ダイスリストレイント: 1d13 = (6)
ブラックヘイズ
ちょっと待ってブラックヘイズ=サン人気過ぎる

 下水道地下通路、浮浪者が作ったものと思われるビニールやダンボールなどの残骸で出来たテントの中、デスクランチから逃げるようにして距離を取るブラックヘイズを見張る男が潜んでいた。全身に大小様々な鉄の輪を装着した奇妙な出で立ち。彼の名前はリストレイント。リー先生に雇われた傭兵ニンジャである。

◆リストレイント (種別:ニンジャ)
カラテ       7		体力	8
ニューロン    7		精神力	7
ワザマエ      9		脚力	4/N
ジツ         4		万札   20

攻撃/射撃/機先/電脳  7/9/7/7
回避/精密/側転/発動  9/9/9/11

◇装備や特記事項
 装備:鉄の輪(体力+1)
 スキル:『●連続攻撃2』『●連射2』『●マルチターゲット』『●時間差』
     『◉タクティカル移動射撃』『◉スリケン乱射』
     『◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ』(『痛打+1D3』を与える(『回避:H』)
 ジツ :『☆小拘束具投擲』『★大拘束具投擲』

『☆小拘束具投擲』:
 自分の手番開始時に【精神力】を1消費し、「難易度:HARD」で発動判定を行う。
 発動に成功すると、戦闘終了まで術者のスリケン投擲に以下のルールが追加される。
 ・『スリケン』による攻撃が、ダメージ1と『回避ダイスダメージ1』を与えるようになる。
 ・術者の使用する『スリケン』による射撃に対して、敵は回避難易度の軽減を行えなくなる。

『★大拘束具投擲』:
 手番「攻撃フェイズ」に「その他の行動」として発動を試みられる
 (【精神力】2消費、発動難易度:NORMAL)。
 発動に成功すると、術者から見えていて6マス以内の敵1体を直ちに巨大な手錠で拘束する。
 敵はこれに対して『回避:HARD』が可能。
 回避できなかった敵は、リストレイントの次の手番開始時まで『拘束状態(脱出:U-HARD)』となる。

※リストレイント=サンのデータはフロストバイト=サンとブラックヘイズ=サンのデータを参考に作成しました。

ブラックヘイズ『調査判定:ワザマエ』』:
8d6>=4 = (1,5,5,3,3,2,1,4 :成功数:3)

リストレイント『調査判定:ワザマエ』:
9d6>=4 = (4,3,2,5,6,4,4,5,5 :成功数:7)

「上手くやったもんだな。まさかリー先生からの依頼を受けてすぐにソウカイヤのニンジャと渡りをつけるとは」リストレイントは同じ傭兵ニンジャであるブラックヘイズの手腕を素直に称賛する。しかし自分の方が一枚上手だという確信も胸の内に抱きながら。

「悪く思うな。これがビジネスの世界だ。無能は淘汰され、有能な者だけが生き残るのさ」リストレイントは誰に言うでもなく、得意げに語る。彼は空き缶拾いに向かった浮浪者が戻って来るより早く、音も無くテントを出てブラックヘイズの追跡を続行した。

※ブラックヘイズは次回遭遇判定時にニンジャスレイヤー、ドラゴンチック、ニンジャスレイヤー?と遭遇した際、そのターンをリストレイントに横取りされてしまう。これはグロウコブラから横取りする分も含む。(次回1回のみ)

フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その5)へ続く