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世界経営者会議レポート(日本マクドナルド サラ・エル・カサノバCEO)

マクドナルドのハンバーガーは好きですか?

私は、普通のハンバーガーの表面をカリカリに焼いて食べるのが好きです。
子どもの時に行ったマクドナルドは、セットについているおもちゃと、店内にある遊具で遊ぶのが楽しかった。
そして、今は困ったときの駆け込み寺として活用しています。

このように、「そこにあるのが当たり前」の存在となっているマクドナルド。
そのマクドナルドを生み出したのは、創業者のレイ・クロックさんと、日本マクドナルドの創業者である藤田田さんです。

レイ・クロックの自伝、「成功はゴミ箱の中に」の中に、今回の世界経営者会議でも登壇されたファーストリテイリングの柳井さん、そして、ソフトバンクの孫さんの対談が収録されています。
レイ・クロックさん、藤田田さんに、お二人とも大きな影響を受けたことが、本の中に記されています。

(柳井さん)
本の中にレイ・クロックの印象的な言葉が載っていて・・・。
「Be daring(勇気を持って)、Be first(誰よりも先に)、Be different(人と違ったことをする)」
これこそ商売の真髄だと思って、手帳に書き写したのを覚えています。

(孫さん)
日本の場合、ノウハウは「タダ」と思われがちですが、経営ノウハウは権利であり、お金がもらえる対象だと書いてあった。なるほどと感心したのを覚えている。そして、藤田さんは日本に移植したマクドナルドのシステムをすべてレイ・クロックさんから教わったという。

引用元:成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝

柳井さん、孫さんという世界的経営者に多大な影響を与えた、レイ・クロックさん、藤田田さんが生み出した日本マクドナルド。
そんな日本マクドナルドを、現在率いているのがサラ・エル・カサノバ社長兼CEO。
期限切れ鶏肉の使用問題、異物混入問題などで、一時はドン底まで落ちた業績をV字回復させたスゴイ経営者です。

そんなスゴイ経営者からのメッセージは、

マクドナルドのビジネスはピープルビジネスであり、これからもピープルビジネスであり続ける

という、顧客、従業員など、マクドナルドに関わる全ての人々を幸せにするという、創業時から変わらぬ想いでした。

人生100年時代をとらえる健康と食のビジネス

世界経営者会議では、タニタ社長の谷田千里さん、エニタイムフィットネス社長兼共同創業者のデーブ・モーテンセンさんとともに、

豊かな社会を支える食事・運動・ヘルスケアデバイス

をテーマに、3人のプレゼンテーション、そしてディスカッションが行われました。

サラ社長兼CEO プレゼンテーション

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マクドナルドのビックマック、ポテト。これらの味は50年前と変わっていません。
でも、それ以外は変化しています。
ライフスタイルの変化、SNSによるつながりの変化、寿命が伸び、定年が延長されたことで、シニア世代は孤独と向き合い、定年後の人生を考えるようになりました。
そんな中でマクドナルドは大きな役割を担っています。

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マクドナルドは人と人とのつながりを生み出す場所です。

ハンバーガーを提供するビジネスではなく、ピープルビジネスを提供しています。
おもてなしを提供し、雇用を提供し、社会に対する恩恵を返すということを提供しています。

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各店舗では、労働力が多様になりました。高校生から主婦、リタイアした人まで、多くの人が働いています。
8,600人のシニアが働いています。91歳の人もいます。この方は9ヶ月前にマクドナルドに入ったばかりです。こうしたシニアの方の、定年後のライフスタイルに合うように雇用を提供しています。マクドナルドのクルーの一員としての地位を提供しています。

シニアの方が仕事についていけるか心配ですか?
マクドナルドには徹底的な教育プログラムがあるので、心配ありません。
チームとしてお互いを助け合っています。

また、さらに新しいプログラムを導入しました。
プレミアムシニアの方が、それぞれのペースで学べる体制ができています。

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マクドナルドでは、人と人との関わりが最も大切で、社会貢献を実感できるのです。

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マクドナルドが大切にしているのは、人と人との対面のつながりです。これからもピープルビジネスであり続けます。

私の父は、現在81歳です。カナダに住んでいます。
マクドナルドに週3回通って、友達と世界の問題を解決するための話をしているそうです。
世界の問題というのは口実で、ただ友達と話がしたいだけでしょう(笑)
ですが、マクドナルドは気取らない場所、だからどんな世代の人もそこに集うのです。


Q.マクドナルドの環境問題への取り組みついて

企業が社会にどのように恩恵をもたらしているか、若い世代は関心があるでしょう。マクドナルドも世界的企業の一つとして、それに対応する必要があります。
自分たちの事業規模をもってすれば、子どもの栄養やプラスチック問題によい影響を与えることができるでしょう。

日本ではパッケージ&リサイクル(※)という取り組みをしています。
これからもフードサービスセクター全体の課題をリードしていきます。

※パッケージ&リサイクル
「プラスチックカップから紙カップに変更」
「プラスチックバッグの削減」
「ハッピーセットのおもちゃリサイクル」
など、環境負荷の低い素材を使用し、またお客様にもリサイクルを身近に感じてご一緒に取り組んでいただけるような活動

引用元:日本マクドナルドHP

Q.91歳の従業員に対し、どのような動機づけをしているのか?

実はまだ直接話しはしたことはないんです。
でも、各店舗を回ったときは、毎回全てのクルーと話すようにしています。

定年後のシニアのクルーは、何か貢献したいという想いを持っています。
何か貢献できると思うことで、若くいられると思っているのです。


会議では、この後、タニタ社長、エニタイムフィットネス社長のプレゼンテーションが続きます。

タニタの、「希望する社員を個人事業主にするタニタ式の働き方改革」については、自分のライフ・ワークである働き方改革の話であり、第1期生の方に直接お話を伺ったこともあるので、色々と書きたいことがありますが、それはまたの機会に。

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マクドナルドは、なぜV字回復ができたのか?

プレゼンテーションの後、モデレーターの方を交えたトークセッションが行われました。
V字回復を成し遂げた、サラ社長のリーダーシップに関するトークを抜粋してお伝えします。

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Q.マクドナルドは、なぜV字型の回復ができたのか?

答えはシンプルです。

食品の品質の問題が起き、お客様のロイヤルティーや従業員の士気が下がり、財務上の数字も大きく落ち込みました。
そこで計画をつくりました。顧客との関係を再構築するための。

私が入社して最初の17年間のマーケティングの仕事から学んだことは、

「問題が起きたときはお客さまの声を聞く」ということです。
それも広く深く。

この問題でも、お客さまに関する調査をしました。
47都道府県に行き、母親たちと話をしました。そうしたら、どこに行っても同じ回答が帰ってきたんです。

「オリジナルのマクドナルドを戻して」

という。
ハンバーガーが美味しい、近代的なレストランにしてほしい、他のお店でできない経験をまたさせてほしいといった声をいただきました。

この深いお客さまの声に基づいて、4つの柱をつくりました。

1.お客様の声をもとにしたイニシアチブをとること

目に見える変化を、メニュー、清潔さ、エンゲージメントでおこすこと。
マクドナルドを楽しいブランドに戻すことです。

2.レストランの近代化

店舗が少し古くなっていたので、2700店舗を近代化しました。

3.オペレーションをローカル化

国の工場から地域の工場に。
お客さまの声に近いところで意思決定できるようにしました。

4.リソースの効率化

リソースの効率を上げました。

これらによって、収益をあげようとしました。
業績がボトムになったとき、新しいことをしようとしたんです。
この事業の刷新計画は、お客さまの声を聞くと、非常によかったと言っていただいています。

また、計画は紙の上の言葉でしかありません。
人が実行しないといけないのです。
12万人の人が同じ方向に向かっていかないといけない。
そのため、インターナルなコミュニケーションを刷新しました。
フランチャイジー、マネージャーなど、4,000人のキーマンを集め、コミュニケーションをとるようにしました。
それまで6年間、一度もやってなかったんです。

4,000人に対し、新しいテーマを説明しました。

「パワー・オブ・ワン」

お客さまを満足させること、お客さまのために何ができるのか?
お客さまの声に耳を傾けること、システム全体が同じ方向を向かっていたらなんでもできるということです。
今でも、1ヶ月に2日以上は必ず店舗に行って話をするようにしています。

Q.日本で外国人、女性として活躍しているが、そのメリットとデメリット、また、リーダーとして一番必要な資質はなにか?

一言でいうと、多様性だと思います。
リーダーシップ、チームの多様性。

マクドナルドで働く人たちはお客様の代表でもあります。
マクドナルドは民主的なブランドです。色々な人を歓迎します。
そこでは、多様なリーダーシップ、チームを持っています。
リーダーシップ、チームの中に色々な視点を持ち込むことができます。

女性として日本で働いていて最も難しいことは、新聞に年齢が載ることです、サラ・エル・カサノバ(XX歳)と(笑)

男性であろうと、女性であろうと、一番大事なのは話を聞くことです。
色々な意思決定をする際に、話を聞かなければ、自分たちのチームの多様性を活かせません。

2015年に直接メールをくれた従業員がいました。「自分にはアイデアがあるが、上司には時間がないと言われた」ということでした。
私は「会いに来てくれ」と言いました。
そして彼女のアイデアを聞き、「それはやるべきだ」と言いました。
そしてそれを、その非常に若いグループがやってくれました。それが立て直しのきっかけになったのです。

リーダーの資質として必要なことは一貫性と持続性です。

私は最初マクドナルドに落とされましたが、社長に納得できない点をメールしました。
そうしたらマクドナルドに入れました。最も重要な教訓を学んだんです。

決して諦めないことを。

感想

サラ社長のプレゼンテーションは、とてもわかりやすく、話している内容が頭にすーっと入ってきました。
どん底の業績の中、12万人のクルーや従業員の目線を合わせ、V字回復を達成した経営者の言葉は、わかりやすく、ユーモアがあり、そして、「話を聞くことを、とても大事にしている」という一貫性がありました。

マクドナルドがどのように業績を回復させたのか、どんな従業員の育成プログラムなのか、今後の成長プランはどのようなものか。

サラ社長のプレゼンテーションを聞いて、マクドナルドにとても興味が湧いてきました。

今後どのように「ピープルビジネス」を発展させていくのか、今度調べてnoteに書いてみたいと思います。
とりあえず、週末、フィールドワークに行ってきます(^^)

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